ちいさなちいさな いのりのことば

 * にしだひろみ *

いのちの暦

2019年09月19日 | Weblog
梅雨のころ

一輪のドクダミが

わたしの宇宙


小さな草花のなかに

真理があって

完全で


古木のそばにいるような

畏れに満たされた



盛夏のころ

ひと束のスギナが

わたしの安らぎ


深い薫りに包まれて

原始の森にいざなわれ


永遠の木陰で

いつまでも眠った



晩夏のころ

一枚のびわ葉が

わたしの希望


葉っぱからやって来る

強い力を受け取りながら


再び自由に歩ける日々を

心に描いた



初秋に入り

生きるすべてが

わたしの祈り


ありがとうを届けたい


あの一輪のドクダミに

スギナに

びわ葉に

たくさんの人々に



その道は

日常の行為のなかにこそ

あるのだとわかったから


晴れやかに

泣くような気持ちで

きょうを生きる

2019年09月02日 | Weblog
ある日

外があまりに静かなので

そっと窓を開けたら

秋が舞い込んできた


黄金に輝く稲穂

紺碧の空

燃え立つケイトウ


秋は

秋は

こんなに鮮やかだったかしら



大地に生い立ち

金色の唄をうたえなくても


紺いろの空を越え

銀河を渡れなくても


コスモスやケイトウのような

鮮やかな色を出せなくても


こうして窓を開けば

ちっぽけなわたしのまんまで

秋の一部