読む必要ない?ブログ2012からもずっと

椎間板ヘルニアからの復帰をめざしてただいま絶好調静養中!

クラブライセンスを読む(6)

2012年07月16日 01時34分36秒 | クラブライセンスを読む

今年、Jリーグに「クラブライセンス」というものができまして、

一部のサッカー視聴者は、この制度でJ2下位や陸上競技場をホームスタジアムとするクラブの駆逐を期待しているみたいですが、
「クラブライセンス」とはいっても、一般的に知れ渡っているのは財務基準とスタジアム基準の一部分ぐらいだと思うんですよ。
というか僕もその程度しか知らないんですけど。

そこで、クラブライセンスを読んで、それをこのブログに記していこうかな思いまして、
「クラブライセンスを読む」というタイトルでこうして書いているわけです。本当にただ一読しているだけです。

ちなみに、クラブライセンスはこちらでダウンロードできます。

Jリーグ クラブライセンス交付規則・運用細則 (全116ページ)
http://www.j-league.or.jp/aboutj/document/documents.html


今回は第9章、施設基準の途中からです。


第9章 施設基準

第34条 [施設基準]

I.09 A等級 トレーニング施設
(1)ライセンス申請者(クラブ)は、年間通じてトレーニングに利用できる以下の施設を有していなければならない
   ・常時使用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面および屋内トレーニング施設
   ・クラブハウス
   ・メディカルルーム
(2)、(1)に定める施設についてはライセンス申請者が所有するか、あるいは施設所有者との間で
  ライセンス申請者が年間通じて利用可能であることが書面にて合意されていることが必要。
(細則)・トレーニング施設のピッチには夜間照明が設置されていることが望ましい
     ・屋内トレーニング施設とは、屋内ピッチや、クラブハウス・トレーニング施設内に設置されたトレーニングルームなど、
     屋内で何らかのトレーニング活動ができる環境があることを指す。
     ・メディカルルームとは、ドクター、トレーナー等による選手へのメディカルケアが可能なスペースと器具を有する部屋のこと。

I.10 A等級 アカデミーのトレーニング施設
I.09の基準と殆ど同じだが、細則が微妙に違う
(細則)・トレーニング施設には夜間練習ができるよう、夜間照明が設置されたピッチが設けられていなければならない。
     ・屋内トレーニング施設についての規定はI.09と同じ
     ・メディカルルームとは、ドクター、トレーナー等による選手へのメディカルケアが可能な機材を有する屋内の部屋または
     スペースのことを指す。
(細則)S.01(アカデミー申請書の提出、アカデミー選手の義務教育の保証)がアウトだとこの規定もアウト

※細かな違い
夜間照明のあるピッチ:I.09では「望ましい」としているのに対して、I.10では「設けられていなければならない」と規定
メディカルルーム:I.09「選手へのメディカルケアが可能なスペースと器具を有する部屋」
           I.10「選手へのメディカルケアが可能な機材を有する屋内の部屋またはスペース」

疑問:メディカルルームについて、I.09ではあくまで「部屋」で、部屋の中でメディカルケアを行うということになっているが、
    I.10では「屋内の部屋またはスペース」とあり、また、「ケアが可能なスペース」という記述もないため、例えばロビーの隅っこに
    機材置場を設定してそこがアカデミーのメディカルルームですよということにしても良いということになるの?
疑問:これらのトレーニング施設はトップチームとアカデミーの共同使用でも良いのか、別々に設けなければならないのか

I.11 A等級 スタジアム:基本原則
次の情報を含む試合運営に関する基本原則を定め、観客が読むことができるよう表示されなければならない。
・入場する権利に関する事項
・試合の中止または延期に関する事項
・禁止事項、自粛事項
・座席に関するルール
・スタジアムから退場処分となる行為
・緊急避難経路

運営管理規定、観戦マナー、観戦ルールに相当する部分ですね。

I.12 B等級、(4)のみC等級 スタジアム:衛生施設
(1)スタンドには、どの席からもアクセス可能な場所に、男女別のトイレ設備を十分に備え、
  かつ、車椅子席の近くには多目的トイレを備えなければならない。
(3)1,000名の観客に対して少なくとも洋式トイレ5台、男性用小便器8台を備えなければならない
(4)Jリーグでは、1,000名の男性観客に対し、少なくとも洋式トイレ3台、男性用小便器15台および洗面台6台、
  1,000名の女性観客に対して少なくとも洋式トイレ28台、洗面台14台を備え、
  5,000人の観客に対して多目的トイレ1台を備えることが望ましい。
(細則)洗面台の数、洗面所に設置されたタオルまたは消毒液あるいはハンドドライヤーの数を計測する
    (※計測してどうするという規定はなし)

基準の中に「洋式トイレ」と明記されているのが大事なポイントですね。和式便所はダメではないと思いますが、ノーカウントになります。
クラブライセンス自体がACLを視野に入れたAFC基準をもとにしたものなので、これはおそらく海外のクラブと試合をするときのことを
考えてこう規定されているのでしょう。海外から来たお客さんに和式便所は都合悪いですしね。

疑問:ところで、この場合の「観客」とは、平均?最大?スタジアムの収容人数?

カターレ富山の場合・・・
2011年は平均3,275人、最大8,663人でした。
最低限必要なB等級の(3)を満たすためには
平均が基準だと、洋式トイレ16台、男性用小便器26台
最大が基準だと、洋式トイレ43台、男性用小便器69台
収容人数が基準だと、洋式トイレ126台、男性用小便器202台
が必要ということになります。

I.13 (1)B等級、(2)C等級 スタジアム:屋根
(1)観客席の1/3以上が覆われることが推奨される
(2)すべての観客席を覆うことが望ましい

ペナルティ付き必須項目なのに「推奨される」という言葉が使われているのが少し意味がわかりませんが・・・。

I.14 C等級 スタジアム:案内サインと動線
(1)スタジアム内外の看板は、Jリーグで定めた国際的に理解可能なピクトグラフ(絵文字的言語)で表記することが望ましい
(2)スタジアムの案内サインは、できるだけ高い位置に、日本語・英語の両方で表記し、夜間でも視認できるようにすることが望ましい
(3)スタジアムには視覚障がい者のための案内サインを設置することが望ましい
(4)スタジアムへの動線(通り道)およびスタジアム周辺、そしてスタジアム内には、異なるセクター(エリア)へ誘導するための、
  明確な案内サインを設置することが望ましい
(5)試合のチケットには、座席の位置が明確に確認できるように表示されていることが望ましい
  また、チケットに印刷されている情報は、スタジアム内外に設置されている案内サインと関連付けられるものであることが望ましい
(6)チケットの半券には、入場後に観客を誘導する情報が含まれていることが望ましい
(7)試合のチケットは席種別に色分けされていることが望ましい
(8)入場者を誘導するために、スタジアムの壁には案内図を表示することが望ましい

I.15 C等級 スタジアム:車椅子席
(1)スタジアムには、車椅子の入場者の付添人用の椅子を備えることが望ましい
(2)スタジアムには車椅子用のスロープを確保することが望ましい
(3)車椅子席は、観戦の際の安全が確保される場所にあることが望ましい
(4)車椅子席は、ホームとビジター(アウェイチーム側)に分けて設置することが望ましい
(5)車椅子席は、雨に濡れることなく、前列の観客により視野を妨げられない場所にあることが望ましい


施設基準は以上です。
「プロスポーツの試合運営を行う」「プロのスポーツチームとしてやっていく」という観点からの規定が多かったですね。

そうなんです、陸上トラック付きスタジアムの駆逐に繋がるような規定なんてないんです。
スタジアムのことを語る人って、大体「自分が快適に試合を観たい」という観点からしか語らないことが多い気がしますが、
それよりも前にやらなければいけない基本的かつ最重要なことがこんなにあるんです。


次は「第10章 人事体制・組織運営基準」からです。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クラブライセンスを読む(5) | トップ | クラブライセンスを読む(7) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

クラブライセンスを読む」カテゴリの最新記事