少し、日が長くなっているものだから、ここ最近、私がシゴトから帰ってから、近くの山の上のおそらく誰もいない公園へハヤコと散歩に出かけている。
私が期待するところは、「人がいない」というもので、嬉しいことに、やはり誰もいない。
もう少し季節が進めば、そうはいかないんだけどね。
そんな人のいない山の上の広場で、私とハヤコは、小さなボールを蹴っては取るという遊びをしていた。
その遊びなかで、私のヘマから、ハヤコをとんでもない目にあわせるところだった。
私が蹴ったボールが、ころころころころと広場の端を過ぎて、山の斜面に向かって下り始めてしまった。
ハヤコは、ボールと一緒に山の斜面を下りた、私は「ヤバイ」と感じる。
多少の下りは大丈夫だと思うが、たぶん、少しの下りを過ぎると、留まりがなくなる。斜面はそんなに緩くない。
ハヤコが広場から姿を消し、私はハヤコが消えた先に向かいながら足音を捉えようとする、斜面を下ったハヤコに向かってどう言ったか正確には覚えていないが、「ハヤ、行かんでいい」といった具合の言葉を口にしていたと思う、ハヤコを斜面下深くに転がすわけにいかないと、ちょっと慌てた。
幸い、斜面を下って4mか5mくらいのところでボールを捉えたようで、その姿にひとまずホッとして、ハヤコに帰っておいでと声をかける。
ハヤコは、ボールを咥えて、私のところへ帰ってこようと斜面を駆け上がり始めた。
ところが、下りはよいよいってやつで、上りはたいへん。
山の斜面、何気ない斜面に見えるけど、冬の間の落ち葉が深くて深くて、ハヤコの体が埋まってなかなか登ってこれない。
ハヤコは一度動きを止めるほど。
「ハヤコ、GO」と声をかけて、ハヤコはまた力を出して、広場まで帰ってきた。
明るいうちでも山の斜面なんて心細いものなのに、どんどん暗くなっていく中で、山の斜面を転がり続けることになると、非常にヤバイ。遭難だ。
私は、落ち葉にまみれて喉に何か入ったらしくしばらく派手な咳をしていたハヤコに、ごめんねー、ごめんねーと、何度言ったか。
ヘマは、とんでもないことを引き起こす原因だよ、そう痛感した今日の散歩であった。