ダークな心が生じると、不愉快だ。
不愉快になると、自分の心のためにとてもよくない。
だから、そこそこ分かったフリしていつも不愉快になる気持ちから遠ざかるために、心の距離を置いて辺りを見る、そして、そのポジションは、とても孤独であったりするけれど、怒りに震えることは、そんなにない。
それがいいとかわるいとか、判定するにはちょっとムリな感情だと思っている。
歳を重ねながら手にしてきた自己防衛や諦め、ただ怒ればいいものではないことばかりの人間世界で、それでも、従順でいられないことは、あって、そういう感情は、冷静に努めようとすればするほど、冷たく冷たく心が離れて行き、更なる孤独へと突き進む。そして、その進んだ先、表に出せない感情は、ただの噂話となって陰を纏いながら、それぞれ違う場面での真実と真実を結び付ける。
とても、恐ろしいことだ。だが、それが、人間だ、と、不愉快になった心の片隅で、心の陰が何に繋がるのか客観的に考えると、敵は、身内からだと、妙に実感した。
そういう感覚、ただただ人間世界で意向の合わない衝突というのはよくあることで。
全く繋がりにくいかもしれないが、漠然と、考えた、そういう感情、人間と犬では。
犬には犬の心がある、それを無視して、人間の思い違いな感情を押し付けられると、犬は、人間の押し付けた要求を、聞きたくなくなるだろう。
そして、実際、聞く耳を持たなくなるだろう、聞こえないフリをするだろう、聞こえているくせに。
そうさせているのは、押し付けた者の不愉快な命令であって、従順に、なるわけがない。
聞こえているのに聞こえないフリをする、聞こえていないと相手に思わせるほどの徹底した態度、アンタの言ってること聞く気ないよと自己主張もせずに、涼しく無視。
身内が敵になる。飼い犬が敵になる、あるな、と、思った。