農ある暮らしの中で

片田舎で過ごす 静かな農ある暮らしを色々な思いをこめながら日々綴っていきたいと思います。

穏やかな母

2011年08月17日 | 日記


畑を打つ母の背中の丸くなり




  穏やかな母になりけり傘寿かな   

 


  仕事から 帰ると家には誰もいない。
空ちゃんが、キョトンとした顔で私を見た。
「空ちゃん、ただいま。ねんねしちょったんかね。ごめん、起こしたね。」
空ちゃんの頭を よしよし撫でてやる。
「空ちゃん、ばあちゃん 畑じゃろう。」
空ちゃんは 尾を振りなが笑うような表情をする。
 
 畑に下りてみると 今日も義母は畑に出ていた。
「お母さ~ん、ただいまあ。ゼリー買ってきたよ~。食べる~?」
「○ちゃん、お帰り~。あ~ そりゃあ もらおうかねえ。」
母は、時間をかけて 畑から戻ってきた。
もんぺの 膝やお尻が泥で真っ黒になっている。
最近、足腰がだいぶ悪くなった母は 畑で這うようにして草を取る。
「ああ、こりゃあ 冷とうて美味しいわあ。ちいと多いいが、みな食べちょこう。すまんねえ、○ちゃん。」
「お母さん、無理しいさんなよ。」

 矍鑠とした気の強い母だったが、今年八十四になる母は 長い歳月とともに 随分と穏やかになった。

「ああ~ 美味しかった。○ちゃん、わたしゃあ、夕飯遅おてもええよ。腹がいっぱいになった。」
と、 言いながら また杖をつきながら畑に出ていった。

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