農ある暮らしの中で

片田舎で過ごす 静かな農ある暮らしを色々な思いをこめながら日々綴っていきたいと思います。

真紅の薔薇

2012年01月29日 | 日記


   洗濯ものを干しに庭に出ると 誰が木を切っているのか チェーンソーの機械音が響き渡っている。
 空を見上げると、太陽の日差しにどことなく春の訪れを感じる。
  止む事のないチェーンソーの音を聞きながら、ふと
 やぶやまさんは、今日も裏山で竹を切っていらっしゃるのかなあと思った。

  
  一月もあと二日で終わり 
 春が近づくにつれ、なんとなく気ぜわしく急き立てられるようで、落ち着かない。
 庭や畑の草取り そしてまた米つくりが始まるのだ。


  友人が 真紅のバラの花束を一抱え持ってきてくれた。
「広島からたくさん送ってきて 始末に困っているの。○○さんに花を生けてもらったら喜ぶので貰ってくれる?。」
「まああ、綺麗!ありがとう。」

 そういえば・・・花束といえば
夫が 一度だけ バラの花束を両手に抱えて帰ってきたことがあった。
もう十数年も前の事 何を思ったのか
「誕生日おめでとう。」
と言って 私にプレゼントしてくれたのだ。
「え~ うそ~」
 突然の事で、驚きと嬉しさと感激で、ありがとうという言葉が、すぐには出なかった。
それが最初で最後(いや最後じゃないかも)のプレゼントだ。
男の人が お花屋さんに寄って彼女、ではなく・・・古女房のために薔薇を選び花束にして包装してもらったという行為が、なんとも言えず
嬉しかった。 
 きっと 照れくさかったんじゃあないかなあ・・・
 あとにも先にも、たった、この一回だけのバラの花束が 私には忘れられず 
頂いた友人にも思わず話してしまった。

 友人から頂いた真紅の薔薇は、玄関や居間 廊下に飾られて、古い家も少し華やいでいる。

回想

2012年01月28日 | 旅行

 
  京都駅に降り立ち、東寺に向かった。
 空海が思い描いた壮大な立体曼荼羅をこの目で一度見てみたかった。
 山門はすごい人だかり
「こんなに多いの?」
足を進めてみると 月に一度の弘法市 参道には露店や骨董市が軒を連ね凄い人だかりだった。
身動きが出来ないくらいひしめき合っているので ああ、これでは無理だなあ・・・とまたタクシーを拾って駅に向かった。


 近鉄奈良線に乗り 奈良駅に降り立つと 京都駅とは一転静かな奈良の空気が漂っていた。
外は 雨が降っていた。500円のビニール傘を購入
駅前には、行基の像が迎えてくれる。
 行基は民衆を集めては仏教を説き また民と共に渡来の技術を持った行基は橋や用水路などを整備し
聖武天皇の廬舎那仏建立の際も、大きな力を貸してくれた。
行基の周りに集まる、遥か昔の当時の民の風貌や暮らしを思いながら 改めて行基像を仰ぎ見る。

 傘を差し両手に荷物を持ち、東大寺 興福寺へと向う。
しとしとと雨の降る中、奈良公園の鹿が道行く人々を見つめている。
今にも 喋りだしそうな まるで人間のような顔立ちをしている。
万城目学「鹿男あをによし」を思い出す。
逃げもせず 怖れもせず 普通に佇む鹿たちを見ると 奈良公園の鹿たちは人間界と共存出来ているのかと不思議に思う。


  六時 奈良ホテルにたどり着くと 夫はロビーで待っていた。
 格式ある建造物 こんな高級なホテルは私には 不似合だなと思った。
 雨に 濡れて身体が冷えていた。
 
 夜は 懐石を頼んでくれていた。 
 私は 奈良のお酒を頂いた。
 銘柄の違う日本酒大吟醸を熱燗と冷酒で二合ほど呑んだ。
 最初の熱燗は 冷えた身体に染み渡り なんとも美味しかった。
 夫は いつものノンアルコールビールとウーロン茶
 私だけが お酒を頂いて いつもごめんなさい。
 修論地獄から脱出した夫は安堵の表情が広がり 饒舌だった。
 私も 阿修羅像を見た感激を話した。
 二日目は 二人で春日大社 法隆寺を巡った。

  それにしても、日本酒は本当に美味しい。 
 

大人の流儀

2012年01月26日 | 読書


  最後の章を読みながら 愛する人との別れ・・・とは きっとこんなものなのだろうと、まだ経験したことのない私は思った。
 前妻夏目雅子との別れから25年 今まで一度も語ったことがなかった。
 現在の妻にも書くことを告げて
 初めて語られた文章は 出会いから別れまでの様子や心情を真摯に丁寧に語られていて、
言葉の一つ一つが染み渡り、読む者の胸を打つ。
 そこには等身大の伊集院静が静かに佇んでいて せつなくなった。

 伊集院静著「大人の流儀」を読んだ。
防府市出身ということもあり、表現の中に時々せんないとか じゃろうとか 母校の防府高での野球部時代の事が出てきたりして、なんだか読んでいて嬉しくなる。
 
 人が人を信じるということ ではコスモポリタン(世界市民)という言葉を教えてくれた恩師との出会い この恩師との出会いは伊集院さんのその後の生き方にきっと大きな影響を与えた。 
 大人はなぜ酒を飲むのか・・・どんな生き方をしても人間は必ず苦節が一、二度向こうからやってくる 人間は強くて弱い生き物だ そんな時 酒は友となる。

 時には歯に衣着せぬ叱咤激励が心地よく、そして私には想像もつかないギャンブルの世界や夜の街、作家 大人の男の生き方や考え方をほんの少しだけ垣間見ることが出来た。


  作家伊集院静に憧れの気持ちを少し抱きながら 本の中で会話している。

魅惑の阿修羅像

2012年01月23日 | 旅行


  憂いに満ちて美しく、繊細で、仏像でありながら人間的な表情を持つ国宝阿修羅像

    

 本来 阿修羅は怒りの表情を表すことが多いのだが これは違う。 
天平6年(734年)光明皇后が母の供養のために発願した八部群立像の中の一つ
中でも阿修羅はあらゆる感情を内に秘め憂いを帯びた、少年のような表情と痩せた身体、華奢な腕が印象深い。

 外は雨、閉館時間が迫る館内は人が殆どなく ゆっくりと国宝 重要文化財の仏像を堪能した。
ずっと会いたくて焦がれていた阿修羅像を目の前にし、思わず立ち尽くした。 
清らかさ ひたむきさを感じさせるこの像が 日本人の心を惹きつけ人気である秘密が理解できたような気がした。


 夫が修士論文の口頭試問のため大学へ向かった。
それに便乗して私も思い切って 奈良へ旅した。
東大寺 興福寺 春日大社 法隆寺をゆっくりと時間をかけて巡った。

世界最古の木造建築を残す、法隆寺の広大な伽藍を歩きながら 飛鳥時代を生きた人々に思いを馳せた。

 
 
 
 いつの時代も 世の中がどのように変化しようとも国の富とは関係なく 飢饉 天候 戦禍に巻き込まれながらも貧しい衣を身にまとい、
命を懸けて土地を耕し、根付いて生きた市井の人々に思いがいく。

図書室

2012年01月20日 | 読書


  学校の図書室で過ごす時間が好きだ。

 行間時間や昼休み 時間があると図書室で過ごすことが多い。
 一年生のクラスでは 担任の先生が目標50冊を掲げられて 子供たちはシールがたまって行くのを励みにたくさんの本を借りている。

 「何を読んでるの?」
 と 本を借りに来た○ちゃんが覗き込む。
「道元禅師よ」
「ふ~ん。」
「あと少しで50冊だね。頑張れ~先生も競争だ~」
小学生向けの本は とてもわかりやすく読みやすい。
自然界の事や動物の生態や昆虫の飼育の仕方 植物図鑑などめくっていると改めて・・・うんそうだったのか、なるほどと確認できたり学習できたりしておもしろい。
 子供たちの間でも 人気シリーズがあり どんな本を手にするのかなと観察するのも楽しい。
時々、私も図書室から好きな伝記物を借りてきては読みかけの本と並行しながら読み進めたりする。

 好みの本に出会って帰ってワクワクしながら 家事を終えストーブの前に座って読書する時間がこの上なくいい。 
そしてまた、旅をしながら車中や電車の中でコーヒーを飲みながら読書するのもまた格別だ。 

  明日は 思い立って 万葉の旅へ出かけるつもりだ。