「理由なく解雇」に仏各地で大学生ら24万人抗議活動

2006-03-17 14:53:40 | 世界
フランス政府の若者雇用促進政策に反対するデモが16日、パリなど仏各地で行われ、警察の調べで、大学生や労組員ら計24万7500人が抗議活動を繰り返した。(読売新聞)

 パリ市内など一部地域では大学生が治安部隊と衝突、同部隊は催涙ガスを使用して大学生らを強制排除した。抗議活動は日増しに高まっており、終息の兆しは見えていない。

 同政策は、企業が26歳未満の若者を雇用した場合、最初の2年間は理由を提示することなく解雇できることが主眼。国会で9日、法案が可決された。政府は企業の雇用意欲を促進し、23%の高失業率に悩む若者層の雇用を増進できるとしているが、大学生らは雇用が不安定になると反発。パリやマルセイユ(南部)、ボルドー(南西部)など全国の約80市町村で反対を訴えた。

 パリ市内の学生街カルチエラタンでは数百人の大学生らが車に火を放ち、商店街の店舗ガラスを割ったりしたため、治安部隊が出動し、催涙ガスや放水で学生らを排除した。全国で36人の警察官が負傷、212人の学生らが拘束された。

 大学生や労組、最大野党の社会党は18日にも仏全土で抗議デモを行う予定。全国84大学のうち、64大学が学生による立てこもりなどで、授業中止に追い込まれている。
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仏「若者解雇しやすくなる法」 学生反発、全土でデモ
2006年03月17日朝日新聞

 26歳未満の若者を雇えば最初の2年間は自由に解雇できる法律に反対する学生のストやデモがフランス全土に広がり、ドゴール体制を崩壊させた68年の5月革命の「再来」を予言する声も出始めた。だがドビルパン首相は、法律を施行する姿勢を崩していない。大統領選を1年後に控えて指導力を示したい首相は、あえて危険な「かけ」に出た。

 5月革命の舞台となったパリの学生街カルチエラタンでは連日、学生と警官隊の小競り合いが続いている。ソルボンヌ大学を占拠した学生が11日に排除された後、近くのコレージュ・ド・フランスに学生が突入する騒ぎが起きた。国立大学84校のうち学生が全学や一部を封鎖しているのは59校。15日にはパリの高校で生徒が占拠を始めた。16日も全国規模で抗議デモが行われた。

 若者の「反乱」を招いている初期雇用契約(CPE)を盛り込んだ新雇用機会均等法の成立にあたり、ドビルパン首相は独断専行ともいえる政治手法を見せた。下院審議を省く憲法規定を適用して強行採択。100万人(主催者発表)の反CPEデモの2日後の今月9日に成立させた。

 首相は12日のテレビ番組で、失業手当の拡充などを打ち出したが、「法律は必ず施行する」と撤回の意思が全くないことを強調した。

 首相が同法にこだわる背景には、22%に達するとされる若年失業率の高さや、硬直した雇用制度で国際競争力が弱まる懸念がある。さらに、次期大統領の座をねらう政治家として強力な指導力を印象づけ、市場競争に前向きでないとの経済界の懸念もはね返したい思惑が見え隠れする。

 だが、フランスでは学生や労働者の「反乱」が保守政党に決定的な打撃を与えた前例が少なくない。ドゴール大統領は5月革命の翌年に辞任。大学改革に反対する86年の学生デモ、社会保障改革に反対する95年のストはいずれも尾を引き、その後の選挙で保守政党が敗れている。

 このため社会党など左派は学生に呼応して反CPEのトーンを強め、与党の民衆運動連合(UMP)からは「首相は学生と対話すべきだ」「首相個人のゲームに振り回されるのはかなわない」との悲鳴が漏れる。

 もっとも、学生の側も一枚岩ではない。トゥール大学は15日、学生投票で授業再開を決めた。若年失業率が全国平均の2倍近い都市郊外の移民社会では「不安定でも雇用がある方がましだ」とCPE待望論さえある。

     ◇

 〈キーワード:初期雇用契約(CPE)〉 26歳未満の若者と無期限の雇用契約を結ぶ際、採用から2年間は試用期間として理由を示さずに解雇できる、とする新たな雇用形態。従業員20人以上の企業が対象。仏政府は、企業の雇用意欲を高めて若年失業率を減らすのが目的と説明する。学生団体や労組は「解雇が乱発され、雇用が不安定になる」と反対している。



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