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「皇室典範に関する有識者会議」への申し入れ/女性と天皇制研究会(女天研)の桜井大子

2005-05-05 00:47:15 | 憲法
4月25日に開催された「皇室典範に関する有識者会議」に対して、以下のとおり、女天研から申入書を送りました。遅ればせながらの報告です。
10日も過ぎた報告では少しばかり緊張感が薄れますが、ご容赦ください。

女性天皇制を容認するということは、4~50年後には継続が危ぶまれる天皇
制を、今の時点で選び直すことであり、天皇制のもとで行われるさまざまな差
別や非民主的な政策を、改めて選択し直すことでもあります。なによりも、戦
争責任を永遠に曖昧にし続けること、そしてアジアの人々と敵対し続けること
を、いま選択し直すことになります。

民主的な装いの「女性天皇」容認の落とし穴は、とてつもなく大きいです。
「有識者会議」の行方に、どうぞご注目を!

女天研からのこの「申入書」は2回目です。今後も、注目を続け、文句を言い
続けていきたいと考えています。一緒に声をあげてください。

「女性天皇はいらない! 天皇制はもっといらない!」のだ!


<以下、申入書です> +++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++


2005年4月25日


皇室典範に関する有識者会議
 内閣総理大臣 小泉純一郎  様


                      女性と天皇制研究会
                    東京都新宿区上落合3-15-1-301



 私たちは、天皇制のある国に暮らす者として、貴会での論議に注目しております。

 4月4日、最大与党である自民党の新憲法起草委員会が「新憲法起草委員会各小委
員会要綱」を発表しました。この中の「天皇に関する小委員会・要綱」は、「三.皇
位継承及び継承順位」で、次のようにうたっております。
 「皇位継承資格や継承順位については皇室典範において規定すること。 なお、皇
室典範については、有識者会議の意見を参考にすること 」

 貴会は、今後の天皇制のあり方について、政治に直接影響力を持つ機関として位置
づけられたものと存じます。

 にもかかわらず、第1回、第2回、第3回と開催された貴会でのやりとりは、ホー
ムページ、あるいは報道内容についても、いくつかの発言をまとめただけの、発言者
すら分からない、「国民」がその内容を知るにはきわめて不十分なものであり、公式
な場であるとの認識に著しく欠けています。
 こういった貴会のありように対し、改善するよう求めます。以下の4点につき、何
らかの形でご回答ください。

1)有識者会議での議事録は、発言者を明確にし、すべて公表すべきです
 貴会は、本来、政治上の意思決定とは無縁な私的諮問機関に過ぎないにもかかわら
ず、公の場で議論すべきテーマを扱っています。貴会が行っている議論は、「国民の
総意」に関するテーマであることを忘れてはなりません。議事録を公表し、議論の推
移を世に問うことは、首相の諮問機関である以上、最低限必要なことではないでしょ
うか。
 こと、皇室に関しては、報道統制が当たり前のように行われています。貴会が十分
な情報提供をしないまま「国民の総意」を限られた人数で決定することは、現憲法の
精神に反するばかりか、第1回会合において「国民が納得する形で示す」とした吉川
弘之座長の言葉にも、明確に反する態度です。改善を求めます。

2)有識者会議は、皇位継承を論ずる前に、天皇制がなぜ必要か、
  明確にしてください

 驚くことに貴会は、皇位継承を話し合うのに、「天皇の行為」や皇室典範の内容と
いった、まさに初歩的な知識を共有することから始めねばならない状況のもとで開催
されているようです。その上、用意される資料は「皇室制度は日本にとってたいへん
重要なもの」「わが国にとって天皇は非常に重要な存在」といった、あいまいな肯定
の立場からの情報のみで構成されております。
 そこからは、明治以降の天皇制が歴史的に果たしてきた役割――こと近隣アジア諸
国を侵略、占領し、植民地化したさきの戦争における天皇の役割について、山のよう
に研究書が出ているにもかかわらず、ごっそりと抜けおちております。
 また、皇室制度を維持するために使われる多額の税金、その使い道、広大な「御用
地」、皇族が移動する先々で行われている過剰な警備や交通規制、その際の人権侵害
の実態、自治体の費用負担など、「国民」の生活と直接関わってくる部分の詳細につ
いて、十分承知されての議論とはとうてい見受けられません。
 きわめて偏った知識のもとに進められる議論は、まさしく「抽象的、観念的な制度
の議論」に過ぎません。
 貴会は、まず最初に、天皇制が「なぜ重要なのか」明確に示してください。
 皇室は「人権の飛び地」とされ、人権の対象外とされてきました。血統による差別
を体現する皇室を「重要」とするのであれば、世界の潮流に反しなぜそれが必要なの
か、明確に示してください。私たちは、必要だと思いません。

3)女性天皇容認は、性差別制度の維持そのものです

 天皇制は「世襲」すなわち血統と家の継承のために、女性がその意思、その能力の
あるなしに関わらず「妊娠・出産」を強制されることを是とする思想の下に成り立っ
ています。その存在基盤そのものが性差別の象徴であり、性差別をなくしたい私たち
とって容認できるものではありません。また、女性に皇位継承権がひらかれること
は、まさにその性差別制度を今後も続けることを選択し直すことを意味します。血に
よって「平民」との差別化をはかる天皇制は、私たちの社会にとって不必要どころ
か、有害です。
 また、女性天皇制は、女性の宮家を増やす方向でしか実現はありえません。税金の
無駄使いもさることながら、皇室という「人権の飛び地」を広げていくことは、私た
ちの人権を狭めていくことであり、とうてい容認できません。
 貴会は、天皇制のあり方そのものを見直すべきです。

4)有識者会議は、賛成/反対/その他の意見を聞いてください

 第3回目を終えての議事要旨に、「今後の進め方」として、「専門家を部外より招
き、意見を求めたい」との声が挙がっております。その際には必ず、天皇制に対して
さまざまな立場があることを理解し、天皇制そのものに賛成/反対/その他といった
多様な見地からの意見を取り入れるよう、貴会は配慮すべきです。どのような方々を
お招きするのか、私たちは注目しています。

 憲法1条には、「天皇」の地位は、「主権の存する日本国民の総意に基く」、とあ
ります。「国民」の声を、政治の場に届ける任務と責を、みなさまがあえて負われる
以上、私たちの意見も、ぜひとりいれてください。
 今後も貴会の活動に注目してまいります。

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