人間が人間でなくなった日々/栗原貞子

2013-08-08 14:10:53 | 社会
人間が人間でなくなった日々

黄色い星を貼りつけられ
貨物列車につみこまれ
ついたところは 荒野の収容所
縞の服を着せられて
夜も昼も黒いミルクを呑まされ
むちで打たれて働かされ
あげくの果てに
裸でガス室に送られ
チクロンAで殺された

一視同仁 天子の赤子だと
名前を奪われ 牛馬のように
連絡船につみこまれ
ついたところは軍都ヒロシマ
軍需工場や壕掘りでむち打たれ
あげくの果てに閃光で
内臓まで灼かれ
黒い骸(むくろ)をカラスが
群がって眼球までついばんだ

通行証をやると校庭に集められ
男も女も としよりもこどもも
銃で撃たれて埋められた
赤ん坊を宙に放りあげ
銃の先で受けとめた マレーシアの虐殺
被爆地ヒロシマの第五師団
十一連隊第七中隊の 私たちの
父や兄や夫やこどもたちの仕業だ

ゆるすまい アウシュヴィッツ
忘れまいヒロシマ・ナガサキ
心に刻もう マレーシア
人間が人間でなくなった日々
人間が人間でなくされた日々
             (90.1.20)


「『唯一の被爆国』を唱える被爆ナショナリズムでもって核時代を乗り越えることはできない。」
   (栗原貞子著「問われるヒロシマ」1992年)


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