特定秘密保護法運用基準・全文(2)

2014-10-14 20:16:45 | 社会

3 評価対象者の選定

(1) 名簿の提出

ア 特定秘密管理者は、当該行政機関の職員として特定秘密の取扱いの業務を行わせるために適性評価を実施する必要があると認めるときは、その者の氏名、生年月日、所属する部署、役職名、特定秘密保護法第12条第1項各号のうち該当する号、同項第3号に該当する場合には該当すると認める理由その他評価対象者の選定に当たって参考となる事項を記載し、又は記録した名簿を作成し、これを適性評価実施責任者に提出する。

イ 特定秘密保護法第5条第4項又は第8条第1項に規定する契約に基づき特定秘密を保有し又は提供される適合事業者は、その従業者として特定秘密の取扱いの業務を行わせるために適性評価を実施する必要があると認めるときは、その者の氏名、生年月日、所属する部署、役職名、派遣労働者であるときはその旨及び予定している業務内容、特定秘密保護法第12条第1項各号のうち該当する号その他評価対象者の選定に当たって参考となる事項を記載し、又は記録した名簿を作成し、これを当該特定秘密に係る特定秘密管理者に提出する。

 なお、派遣労働者を名簿に登載する場合には、適合事業者は、その旨を当該派遣労働者を雇用する事業主に対して通知するものとする。

ウ イにより名簿の提出を受けた特定秘密管理者は、名簿に登載された者のうち特定秘密の取扱いの業務を行わせるために適性評価を実施する必要があると認める者について、その氏名、生年月日、所属する部署、役職名、派遣労働者であるときはその旨及び予定している業務内容、特定秘密保護法第12条第1項各号のうち該当する号、同項第3号に該当する場合には該当すると認める理由その他評価対象者の選定に当たって参考となる事項を記載し、又は記録した名簿を作成し、これを適性評価実施責任者に提出する。この場合において、当該特定秘密管理者は、名簿に登載しない者があるときは、その旨を適合事業者に通知するとともに、当該通知に係る従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該従業者を雇用する事業主に通知するよう当該適合事業者に求めるものとする。

エ ア、イ又はウの名簿に記載し、又は記録した事項に変更があるときは、当該名簿を提出した者は速やかにこれを当該名簿の提出を受けた者に通知する。

(2) 行政機関の長の承認

ア (1)ア又はウにより名簿の提出を受けた適性評価実施責任者は、名簿に登載された者について、特定秘密保護法第12条第1項各号のいずれかに該当するものとして適性評価を実施する必要があると認めるときは、適

性評価を実施することについて行政機関の長の承認を得なければならない。

イ 適性評価実施責任者は、アの承認を得たか否かを名簿を提出した特定秘密管理者に通知する。この場合において、特定秘密管理者は、(1)ウの名簿に登載された者に係る通知があるときは、当該通知の内容を適合事業者に通知するとともに、当該通知に係る従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該従業者を雇用する事業主に通知するよう当該適合事業者に求めるものとする。

(3) 留意事項

ア 適合事業者の従業者についての適性評価は、当該適合事業者と行政機関との契約後など当該従業者が特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれることとなった後に実施するものとする。

イ 特定秘密保護法第12条第1項第1号に規定する「当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第1項の規定による通知をした日から5年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるもの」として適性評価を実施する必要がない者は、以下に掲げる者であって、当該行政機関の長が直近に実施した適性評価に係る結果の通知から5年を経過していないものとする。ただし、特定秘密保護法第12条第1項第3号に掲げる者を除く。

(ア) 当該行政機関において当該通知の日から勤務し続けている者(当該行政機関における勤務には、併任による当該行政機関以外における勤務及び当該行政機関が警察庁である場合の都道府県警察における警察本部長としての勤務を含む。)であって、特定秘密の取扱いの業務を行わないこととなった後に再び特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれることとなった者など、当該行政機関の長が適性評価を要しないと認めるもの

(イ) 当該行政機関との契約に基づき保有し又は提供された特定秘密の取扱いの業務を行う適合事業者において当該通知の日から勤務し続けている者(当該適合事業者における勤務には、併任による当該適合事業者以外における勤務を含む。)であって、特定秘密の取扱いの業務を行わないこととなった後に再び特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれることとなった者など、当該行政機関の長が適性評価を要しないと認めるもの

4 適性評価の実施についての告知と同意

(1) 評価対象者に対する告知

 特定秘密保護法第12条第3項の告知は、評価対象者に別添1の「適性評価の実施に当たってのお知らせ(告知書)」を交付することにより行うものとする。

(2) 同意の手続

ア 特定秘密保護法第12条第3項の同意は、評価対象者が必要事項を記載した別添2-1の「適性評価の実施についての同意書」及び別添2-2の「公務所又は公私の団体への照会等についての同意書」(以下これらを「同意書」という。)の提出を受けることにより得るものとする。

イ 適性評価実施担当者は、同意書の提出の後に適性評価のための調査を開始するものとする。ただし、評価対象者の便宜も考慮して、5(1)アの「質問票(適性評価)」及びイの資料については、同意書と同時に提出を受けて差し支えない。

ウ 特定秘密保護法第13条第4項の理由の通知を希望しない旨の申出は、評価対象者が別添2-1の「適性評価の実施についての同意書」に必要事項を記載することにより行うものとする。なお、理由の通知についての希望は、適性評価の結果の通知が行われるまでの間、氏名、生年月日、所属する部署、役職名及び連絡先並びに変更を希望する旨を記載し、自署又は記名押印した書面を適性評価実施担当者に提出することにより変更することができるものとする。

(3) 不同意の場合の措置

ア 適性評価実施担当者は、評価対象者が別添3の「適性評価の実施についての不同意書」を提出するなど、同意をしなかったときは、その旨を適性評価実施責任者を経て行政機関の長に報告する。

イ 適性評価実施責任者は、アの報告を受けたときは、当該評価対象者が登載された名簿を提出した特定秘密管理者に対し、当該評価対象者の同意を得られなかったことにより適性評価を実施しなかった旨を通知する。

ウ 特定秘密管理者は、適合事業者の従業者についてイの通知を受けたときは、当該適合事業者に対し、当該従業者の同意を得られなかったことにより適性評価を実施しなかった旨を別添9-2の「適性評価結果等通

知書(適合事業者用)」により通知する。

エ ウの通知を受けた適合事業者は、当該従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該従業者を雇用する事業主に通知する。

(4) 同意の取下げ

ア 特定秘密保護法第12条第3項の同意は、同意書を提出した後から適性評価の結果が通知されるまでの間、別添4の「適性評価の実施についての同意の取下書」(以下「同意の取下書」という。)の提出により取り下げることができるものとする。

イ アにより同意の取下書の提出があったときは、適性評価実施担当者は、その旨を適性評価実施責任者を経て行政機関の長に報告する。

ウ 適性評価実施責任者は、イの報告を受けたときは、当該評価対象者が登載された名簿を提出した特定秘密管理者に対し、当該評価対象者の同意が取り下げられたことにより適性評価の手続を中止した旨を通知する。

エ 特定秘密管理者は、適合事業者の従業者についてウの通知を受けたときは、当該適合事業者に対し、当該従業者の同意が取り下げられたことにより適性評価の手続を中止した旨を別添9-2の「適性評価結果等通知書(適合事業者用)」により通知するとともに、当該通知に係る従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該従業者を雇用する事業主に通知するよう当該適合事業者に求めるものとする。

5 調査の実施

(1) 評価対象者による質問票の記載と提出

ア 適性評価実施担当者は、適性評価の実施に同意した評価対象者に対し、必要事項を記載した別添5の「質問票(適性評価)」(以下「質問票」という。)の提出を求めるものとする。

イ 適性評価実施担当者は、評価対象者に質問票の提出を求める際に、調査のため必要な範囲内において、旅券の写し等資料の提出を求めることができる。

ウ 適性評価実施担当者は、質問票が具体的に、漏れなくかつ正確に記載されるよう、また、適性評価の結果が通知されるまでの間に質問票に記載した事項に変更が生じたときには速やかに申し出るよう、評価対象者に求めるものとする。

(2) 上司等に対する質問等

ア 適性評価実施担当者は、評価対象者の上司、人事担当課の職員等の中から評価対象者の職務の遂行状況等についてよく知ると認める者を選定し、この者に対し、別添6の「調査票(適性評価)」(以下「調査票」という。)の提出を求めるものとする。この場合において、当該上司等は、評価対象者への質問とは別に当該調査が行われる趣旨を踏まえ、調査票に記載すべき内容について評価対象者に確認してはならない。

イ アのほか、適性評価実施担当者は、質問票や調査票に記載された事項について疑問点が生じ、これを確認するなどの必要があるときは、評価対象者の上司、同僚その他の知人(以下「関係者」という。)に対し、評価対象者に関する質問を行うことができる。

ウ 関係者に質問を行うに当たっては、適性評価の趣旨及び当該関係者への質問が評価対象者の適性評価のために行われるものである旨を説明し、当該関係者への質問が、当該関係者についての調査であるとの誤解を与えることのないようにしなければならない。

エ 適性評価実施担当者は、関係者から聴取したことにより得られた情報が評価対象者に示される可能性がある旨を当該関係者に説明する。

(3) 人事管理情報等による確認

 適性評価実施担当者は、質問票に記載された事項等について疑問点が生じ、これを確認するなどの必要があるときは、当該行政機関内の部署、適合事業者、過去に評価対象者を雇用していた事業者等に対し、評価対象者に関する情報(以下「人事管理情報等」という。)の報告を求めることができる。

(4) 評価対象者に対する面接等

 適性評価実施担当者は、質問票に記載された事項等について疑問点が生じ、これを確認するなどの必要があるときは、評価対象者本人に対する面接を実施する。この場合において、評価対象者本人であることを確認するため必要があるときは、身分証明書の提示を求めることができる。

 また、評価対象者に質問した事項を確認するなどの必要があるときは、評価対象者に資料の提出を求めることができる。

(5) 公務所又は公私の団体に対する照会

ア 適性評価実施担当者は、評価対象者について保有し、又は調査により収集した情報のみによっては質問票に記載された事項等について疑問点が解消されず、これを確認するなどの必要があるときは、公務所又は公私の団体に照会して必要な報告を求めるものとする。特に、行政機関以外への照会については、調査のための補完的な措置として、必要最小限となるようにしなければならない。

イ 照会に当たっては、別添7の「適性評価のための照会書」(以下「照会書」という。)に公印を押印し、これを照会先に交付することにより行うものとする。ただし、照会先において照会書の交付を要しないとした場合は、この限りでない。

ウ 照会先の求めがあったときは、評価対象者が提出した別添2-2の「公務所又は公私の団体への照会等についての同意書」の写しを提示し、又は交付するものとする。

(6) 留意事項

ア 調査は、質問票及び調査票に記載された事項について、必要に応じ、人事管理情報等と照合するとともに、評価対象者に面接を実施するなどして、疑問点、矛盾点その他の事実を明らかにすべき事項がないかどうか確認することを基本とし、これにより疑問点が解消されない場合等に、公務所等への照会を行うものとする。ただし、調査を適切に実施するため必要があるときは、これらの手続の順序を入れ替えて実施することを妨げない。

イ 適性評価実施担当者は、適性評価のための調査に従事する者であることを明らかにするため、別添8の「適性評価実施担当者証」を携帯し、評価対象者、評価対象者の関係者、照会先の担当者等に対し、これを提示するものとする。

ウ 行政機関の長は、以下に掲げるときは、直ちに適性評価の手続を中止する。この場合において、適性評価実施担当者は、評価対象者に対し、適性評価の手続を中止した旨を別添9-1の「適性評価結果等通知書(本人用)」により通知するものとする。

(ア) 評価対象者から4(4)アにより適性評価の実施についての同意の取下げがあったとき

(イ) 評価対象者が特定秘密の取扱いの業務を行うことが見込まれなくなったとき

6 評価

(1) 評価の基本的な考え方

 行政機関の長は、5の調査の結果を基に、評価対象者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないかどうか、以下の視点から、評価対象者の個別具体的な事情を十分に考慮して、総合的に判断するものとする。この場合において、調査を尽くしてもなお、評価対象者が特定秘密を漏らすおそれがないと認めることについて疑念が残る場合には、特定秘密の漏えいを防止し、もって我が国及び国民の安全を確保する特定

秘密保護法の目的に鑑み、特定秘密を漏らすおそれがないと認められないと判断するものとする。

ア 情報を自ら漏らすような活動に関わることがないか

イ 情報を漏らすよう働き掛けを受けた場合に、これに応じるおそれが高い状態にないか

ウ 情報を適正に管理することができるか

エ 規範を遵守して行動することができるか

オ 自己を律して行動することができるか

カ 職務の遂行に必要な注意力を有しているか

キ 職務に対し、誠実に取り組むことができるか

(2) 評価の際に考慮する要素

 行政機関の長は、評価を実施するに当たり、調査により判明した事実について、以下の要素を考慮するものとする。

ア 特定秘密保護法第12条第2項各号に掲げる事項についての評価対象者の行動又は状態(以下「対象行動等」という。)の性質、程度及び重大性

イ 対象行動等の背景及び理由

ウ 対象行動等の頻度及び時期

エ 対象行動等があったときの評価対象者の年齢

オ 対象行動等に対する自発的な関与の程度

カ 対象行動等がなくなり、又は再び生ずる可能性

7 結果等の通知

(1) 評価対象者への結果及び理由の通知

ア 行政機関の長が評価対象者について特定秘密を漏らすおそれがないと評価したときは、適性評価実施担当者は、当該評価対象者に対し、別添9-1の「適性評価結果等通知書(本人用)」により、その結果を通知

する。

イ 行政機関の長が評価対象者について特定秘密を漏らすおそれがないと認められないと評価したときは、適性評価実施担当者は、当該評価対象者に対し、別添9-1の「適性評価結果等通知書(本人用)」により、その結果及び当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。ただし、当該評価対象者が理由の通知を希望していないときは、理由を通知しないものとする。

ウ 理由を通知する際は、その理由が本人の申告に基づく事実によるものであるときには当該事実を示すなど、具体的に説明するものとする。ただし、評価対象者以外の者の個人情報の保護を図るとともに、理由の通知によって、調査の着眼点、情報源、手法等が明らかとなり、適性評価の円滑な実施の確保を妨げることとならないようにしなければならない。

エ 適性評価実施担当者は、アにより結果を通知する際に、評価対象者が特定秘密の取扱いの業務を行うに当たり、特定秘密の保護のための法令及び関係規程を遵守し、特定秘密の保護に努め、これを漏らさないことを誓約することを明らかにするとともに、9(1)アに掲げる事情が生じた場合に速やかに特定秘密管理者に申し出ること、評価対象者が適合事業者の従業者である場合に適合事業者が当該評価対象者について9(1)アに掲げる事情があると認めるときにこれを特定秘密管理者に報告すること等について確認することを明らかにするため、評価対象者から別添10の「特定秘密の保護に関する誓約書」(以下「誓約書」という。)を徴するものとする。

(2) 特定秘密管理者等への結果の通知

ア 適性評価実施責任者は、適性評価の結果を評価対象者が登載された名簿を提出した特定秘密管理者に対し、通知する。

イ 特定秘密管理者は、適合事業者の従業者についてアの通知を受けたときは、当該適合事業者に対し、別添9-2の「適性評価結果等通知書(適合事業者用)」により、その結果を通知する。

ウ イの通知を受けた適合事業者は、当該通知に係る従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該従業者を雇用する事業主に通知する。

8 苦情の申出とその処理

(1) 苦情の処理のための体制

ア 行政機関の長は、適性評価についての苦情の申出を受け、これを誠実に処理するため、苦情受理窓口を設けるとともに、官房長、局長又はこれらに準ずる者を苦情処理責任者に指名する。

イ 苦情の申出があったときは、苦情処理責任者は速やかに当該苦情の概要を行政機関の長に報告するとともに、苦情処理担当者を指名する。この場合において、苦情処理責任者は、苦情を申し出た者(以下「苦情申出者」という。)に係る適性評価のための調査に直接従事した職員を苦情処理担当者に指名してはならない。

(2) 苦情の申出

 苦情の申出は、適性評価の結果の通知を受けた評価対象者が、その氏名、生年月日、所属する部署、役職名及び連絡先並びに具体的な苦情の内容を記載し、自署又は記名押印した書面を苦情受理窓口に提出することにより行うものとする。

(3) 苦情の処理の手続

ア 苦情処理担当者は、苦情について調査を行い、その結果及び処理の方針を苦情処理責任者に報告する。

イ 苦情処理担当者は、必要に応じ、苦情申出者、適性評価実施担当者その他の必要と認める者に質問し、又は苦情申出者若しくは適性評価実施担当者に資料の提出を求めることができる。

ウ 苦情申出者が(2)により申し出た苦情について意見を述べ、又は資料を提出することを希望したときは、苦情処理担当者は、その機会を与えなければならない。

エ 苦情処理責任者は、調査の結果及び処理の方針を行政機関の長に報告し、その承認を得なければならない。

(4) 苦情処理結果の通知

ア 苦情処理担当者は、(3)エに掲げる行政機関の長の承認を得た後、苦情申出者に対し、別添11の「苦情処理結果通知書」により、苦情についての処理の結果を通知する。

イ 苦情の処理の結果を通知する際は、単に結論を示すだけでなく、判断の根拠等を具体的に説明するものとする。ただし、苦情申出者以外の者の個人情報の保護を図るとともに、結果の通知によって、適性評価の調査の着眼点、情報源、手法等が明らかとなり、適性評価の円滑な実施の確保を妨げることとならないようにしなければならない。

ウ 苦情処理の結果、適性評価の手続等が法令若しくは本運用基準の規定に違反し、又は適正を欠いていると認めるときは、苦情処理責任者は適性評価実施責任者にその改善を求めるものとする。

エ 苦情の処理の結果、改めて適性評価を行う必要があると認める場合には、苦情処理責任者はその旨を適性評価実施責任者に通知する。

オ 適性評価実施責任者は、エの通知を受けたときは、当該通知の内容を苦情申出者が登載された名簿を提出した特定秘密管理者に通知する。この場合において、苦情申出者が適合事業者の従業者であるときは、特定秘密管理者は、当該適合事業者に対し、当該通知の内容を通知するとともに、苦情申出者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該派遣労働者を雇用する事業主に通知するよう当該適合事業者に求めるものとする。

カ エの場合、適性評価実施責任者は、改めて適性評価を実施する。この場合においては、5(1)ア及び(2)アの規定にかかわらず、質問票及び調査票の提出を求めないことができる。

(5) 留意事項等

ア 行政機関の長、適合事業者及び派遣労働者を雇用する事業主は、苦情申出者について、苦情の申出をしたことを理由として、解雇、減給、降格、懲戒処分、自宅待機命令、不利益な配置の変更、労働契約内容の変更の強要、昇進又は昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと、専ら雑務に従事させるなど就業環境を害することなどの不利益な取扱いをしてはならない。

イ 特定秘密保護法第14条第1項に規定する苦情の申出は、適性評価の結果、調査方法など、評価対象者について実施された適性評価について、当該評価対象者が行うことができる。適性評価に関し質問又は照会を受けた者など評価対象者以外の者からの適性評価に関する苦情については、特定秘密保護法第14条に規定する苦情には当たらないが、苦情受理窓口においてこれを受理し、苦情処理手続に準じて、これを誠実に処理するものとする。

9 適性評価実施後の措置

(1) 行政機関の職員が特定秘密保護法第12条第1項第3号に該当する可能性がある場合の措置

ア 特定秘密の取扱いの業務を行う行政機関の職員の上司等は、当該職員について以下の事情があると認めた場合には、速やかにこれを当該職員が取扱いの業務を行う特定秘密に係る特定秘密管理者に報告するものとする。

(ア) 外国籍の者と結婚した場合その他外国との関係に大きな変化があったこと。

(イ) 罪を犯して検挙されたこと。

(ウ) 懲戒処分の対象となる行為をしたこと。

(エ) 情報の取扱いに関する規則に違反したこと。

(オ) 違法な薬物の所持、使用など薬物の違法又は不適切な取扱いを行ったこと。

(カ) 自己の行為の是非を判別し、若しくはその判別に従って行動する能力を失わせ、又は著しく低下させる症状を呈していると疑われる状況に陥ったこと。

(キ) 飲酒により、けんかなどの対人トラブルを引き起こしたり、業務上の支障を生じさせたりしたこと。

(ク) 裁判所から給与の差押命令が送達されるなど経済的な問題を抱えていると疑われる状況に陥ったこと。

(ケ) 特定秘密を漏らすおそれがないと認めることについて疑義が生じたこと。

イ アの報告又は誓約書に基づき職員からアに掲げる事情がある旨の申出を受けた特定秘密管理者は、当該報告又は申出に係る事情が、特定秘密保護法第12条第1項第3号に規定する「引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情」に該当すると認めるときは、当該職員が特定秘密の取扱いの業務を行うことのないよう必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該職員に特定秘密の取扱いの業務を行わせる必要があるときは、改めて当該職員についての適性評価を実施しなければならない。

ウ アの報告又は誓約書に基づき職員からアに掲げる事情がある旨の申出を受けた特定秘密管理者は、当該報告又は申出に係る事情が、特定秘密保護法第12条第1項第3号に規定する事情に該当しないと認めるときは、その旨を当該報告又は申出をした者に通知する。

(2) 適合事業者の従業者が特定秘密保護法第12条第1項第3号に該当する可能性がある場合の措置

ア 行政機関の長は、以下に掲げる事項について、契約で定めるものとする。

(ア) 特定秘密保護法第5条第4項又は第8条第1項に規定する契約に基づき特定秘密を保有し又は提供される適合事業者は、当該契約により特定秘密の取扱いの業務を行う従業者について(1)アの事情があると認めた場合には、速やかにこれを契約先の行政機関における当該特定秘密に係る特定秘密管理者に報告すること。

(イ) 従業者が派遣労働者である場合、適合事業者は、当該従業者について(1)アの事情があると認められたときに当該従業者を雇用する事業主から当該適合事業者に報告が行われるよう必要な措置を講ずること。

(ウ) イの通知を受けた場合に、適合事業者は、当該通知に係る従業者が特定秘密の取扱いの業務を行うことのないよう必要な措置を講ずること。

(エ) イの通知を受けた場合であって、当該通知に係る従業者が派遣労働者であるときは、当該通知の内容を当該派遣労働者を雇用する事業主に通知すること。

イ ア(ア)の報告又は誓約書に基づき適合事業者の従業者から(1)アに掲げる事情がある旨の申出を受けた特定秘密管理者は、当該報告又は申出に係る事情が、特定秘密保護法第12条第1項第3号に規定する事情に該当すると認めるときは、その旨を適合事業者に通知する。

ウ ア(ア)の報告又は誓約書に基づき適合事業者の従業者から(1)アに掲げる事情がある旨の申出を受けた特定秘密管理者は、当該報告又は申出に係る事情が、特定秘密保護法第12条第1項第3号に規定する事情に該当しないと認めるときは、その旨を当該報告又は申出をした者に通知する。

10 適性評価に関する個人情報等の管理

(1) 適性評価に関する文書等の管理

ア 適性評価実施責任者は、評価対象者ごとに、その適性評価の実施に当たって作成又は取得した文書等を整理して、これを管理する。

イ 特定秘密管理者は、適性評価実施責任者から通知された不同意、同意の取下げ及び適性評価の結果に係る文書等を整理して、これを管理する。

ウ 苦情処理責任者は、苦情申出者ごとに、その苦情の処理に当たって作成又は取得した文書等を整理して、これを管理する。

エ アからウの文書等は、人事評価に関する文書等とは別に管理する。

(2) 行政機関における個人情報等の管理

ア 適性評価に関する文書等の管理は、公文書管理法など文書管理に関する法令及び規程に基づき、適切に行う。

イ 適性評価に関する文書等に含まれる個人情報の管理については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)及び同法第6条の規定に基づき各行政機関が定める個人情報の適切な管理のための規程による。

ウ 適性評価実施責任者は、評価対象者に対し、特定秘密保護法第13条第1項の規定による適性評価の結果を通知した日又は評価対象者に対し、適性評価の手続を中止する旨通知した日のいずれかに属する年度の翌年度の4月1日から起算して10年が経過するまでの期間、適性評価の実施に当たって作成又は取得した文書等を保存するものとする。ただし、評価対象者から適性評価の実施についての不同意書又は同意の取下書が提出された場合の適性評価の実施に当たって作成又は取得した文書等の保存期間については、当該書面が提出された日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して3年間とする。

エ 特定秘密管理者が取得した適性評価の結果等に係る文書等の保存期間は、当該文書等を取得した日から1年未満とする。ただし、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた旨の通知に係る文書等の保存期間については、当該文書等を取得した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して5年間とする。

オ 苦情処理責任者は、苦情申出者に苦情についての処理の結果を通知した日の属する年度の翌年度の4月1日から起算して3年が経過するまでの期間、苦情の処理に当たって作成又は取得した文書等を保存するものとする。

カ 保存期間を経過した適性評価に関する文書等は、関係法令及び規程に従い、廃棄等するものとする。

(3) 適合事業者等における個人情報等の管理

 行政機関の長は、適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主が、行政機関の長又は適合事業者から通知された、評価対象者が適性評価の実施に同意をしなかった事実、同意を取り下げた事実及び評価対象者についての適性評価の結果に係る文書等について、これが適切に管理されるよう、(2)イ、エ及びカに準じて必要な措置を講ずることについて、契約で定めるものとする。

(4) 適性評価に関する個人情報の利用及び提供の制限

 行政機関の長、適合事業者及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、次に掲げる場合を除き、評価対象者が適性評価の実施に同意をしなかった事実、適性評価の結果その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報を特定秘密の保護以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。

ア 国家公務員法(昭和22年法律第120号)第100条第4項、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第197条第2項などの法令に基づく場合

イ 特定秘密保護法第16条第1項ただし書又は施行令第22条に規定する事由等のいずれかに該当する疑いが生じた場合

11 研修

 適性評価実施責任者は、適性評価実施担当者に対し、適性評価の適正な実施を確保するために必要な知識及び技能を習得させ、並びにこれを向上させるために必要な研修を定期的に行うものとする。

 なお、必要な場合に、当該研修を随時に実施することを妨げるものではない。

12 適性評価の実施に関する関係行政機関の協力

 関係行政機関の長は、評価対象者についての照会があった場合に必要な事項の報告を行い、また、出向又は併任により他の行政機関において勤務することとなった職員の適性評価の実施に当たって必要な情報提供を行うなど、適性評価の実施のために相互に協力するものとする。

 なお、行政機関の長は、他の行政機関の職員及び他の行政機関が契約する適合事業者の従業者についての適性評価の調査を代行してはならない。

13 警察本部長による適性評価

 警察本部長による適性評価については、本運用基準に準じて実施するものとする。

14 特定秘密保護法の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの特定秘密の取扱いに関する経過措置

 行政機関の長は、特定秘密保護法の公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までの間において特定秘密の取扱いの業務を行う者について、特定秘密に指定された情報の取扱いの業務を特定秘密保護法の施行前に行っていた者又は適性評価により特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者のいずれかに限るよう努めるものとする。

Ⅴ 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の適正を確保するための措置等

1 内閣官房及び内閣府の任務並びにその他の行政機関の協力

(1) 内閣官房は、特定秘密保護法の適正な運用の確保についての自らの責任を十分に認識し、特定秘密の指定、その有効期間の設定及び延長並びに指定の解除(以下単に「特定秘密の指定及びその解除」という。)並びに適性評価の実施の適正を確保するための事務を行う。

(2) 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の適正を確保するための事務の公正かつ能率的な遂行を図るため、内閣に内閣保全監視委員会を設置する。内閣保全監視委員会の庶務は、内閣官房内閣情報調査室において処理し、内閣保全監視委員会の構成その他必要な事項は、別に内閣官房長官が定めるものとする。

(3) 内閣府は、内閣官房とは別の立場から、いずれの行政機関にも偏ることなく判断することの重要性を十分に認識し、特定秘密の指定及びその解除並びに行政文書ファイル管理簿(公文書管理法第7条第1項に規定する行政文書ファイル管理簿をいう。)に記載された行政文書ファイル等(公文書管理法第5条第5項に規定する行政文書ファイル等をいう。5(1)ア(エ)及び(オ)において同じ。)のうち特定秘密である情報を記録するもの(以下「特定行政文書ファイル等」という。)の管理の適正の確保に関する事務を行う。

(4) 行政機関は、(1)及び(3)に定める事務に関し、内閣官房及び内閣府にそれぞれ協力するものとする。

2 内閣総理大臣による指揮監督

 内閣保全監視委員会は、内閣総理大臣が特定秘密保護法第18条第4項に基づき、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関し、その適正を確保するため、行政各部を指揮監督するに当たり、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出及び説明を求めることができ、必要があると認めるときは是正を求めるものとする。

3 特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の検証・監察・是正

(1) 内閣府独立公文書管理監による検証・監察・是正

ア 内閣府独立公文書管理監(内閣府独立公文書管理監が指名する内閣府の職員を含む。以下同じ。)は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法及び施行令の規定並びに本運用基準ⅠからⅢまで(以下「特定秘密保護法等」という。)に従って行われているかどうか検証し、監察するものとする。

イ 内閣府独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をすることができる。

ウ 内閣府独立公文書管理監は、検証又は監察の結果、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は当該特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求めるものとする。内閣府独立公文書管理監は、是正を求めたときは、その内容を内閣保全監視委員会へ通知するものとする。

(2) 行政機関の長による特定秘密指定管理簿の写しの提出等

ア 行政機関の長は、(1)アに定める検証及び監察の実施に資するため、次に掲げる事務を行うものとする。

(ア) 特定秘密を指定し、施行令第4条に基づき特定秘密指定管理簿に必要な事項を記載し若しくは記録したとき、又は、指定の有効期間を延長し、若しくは指定を解除し、施行令第9条第2号若しくは第11条第1項第3号に基づき、それぞれ特定秘密指定管理簿に必要な事項を記載し若しくは記録したときは、速やかに、内閣府独立公文書管理監に、当該指定に関する特定秘密指定管理簿の写しを提出すること。

(イ) 特定行政文書ファイル等の管理について、毎年1回、次に掲げる事項その他の特定行政文書ファイル等の管理に資する事項を、内閣府独立公文書管理監に報告すること。

a 特定行政文書ファイル等の名称

b 特定行政文書ファイル等の保存場所

c 特定行政文書ファイル等の保存期間

d 特定行政文書ファイル等の保存期間が満了したときの措置

(ウ) 特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと行政機関の長が認めた場合には、速やかに内閣府独立公文書管理監に報告すること。

イ 行政機関の長は、(1)イによる求めがあったときは、特定秘密保護法第10条第1項の規定により、内閣府独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとする。

ウ 行政機関の長は、当該特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして(1)イによる求めに応じないときは、その理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない。

エ 行政機関の長は、(1)ウの求めがあったときは、適切な措置を講じた上で、当該措置について内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。

4 特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正に関する通報

(1) 通報の処理の枠組み

 内閣府独立公文書管理監及び行政機関の長は、特定秘密の取扱いの業務を行う者若しくは行っていた者又は特定秘密保護法第4条第5項、第9条、第10条若しくは第18条第4項後段の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者(以下「取扱業務者等」という。)が、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料する場合に行う通報を受け付け、処理するため、窓口(以下「通報窓口」という。)を設置し、公表するものとする。

(2) 通報の処理

ア 行政機関に対する通報

(ア) 取扱業務者等は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料するときは、当該特定秘密の指定及びその解除又は当該特定行政文書ファイル等の管理に係る行政機関の通報窓口に対し、その旨の通報をすることができる。この場合において、取扱業務者等は、特定秘密指定管理簿に記述された特定秘密の概要や特定秘密が記録された文書の番号を用いるなどし、特定秘密を漏らしてはならない。

(イ) 行政機関の長は、通報を受理した場合、調査の必要性を十分に検討し、調査を行う場合はその旨及び着手の時期を、調査を行わない場合はその旨及び理由を、当該通報を行った者(以下「通報者」という。)に対し、遅滞なく通知するものとする。ただし、適正な調査の遂行に支障がある場合はこの限りではない。

(ウ) 行政機関の長は、調査を行う場合は、遅滞なく必要な調査を行うものとする。

(エ) 行政機関の長は、調査の結果、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないことが明らかになったときは、速やかに当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の適切な措置を講ずるものとする。

(オ) 行政機関の長は、調査の結果を遅滞なく通報者に対し通知するものとする。

(カ) 行政機関の長は、通報を処理したときは、その内容を内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。

イ 内閣府独立公文書管理監に対する通報

(ア) 取扱業務者等は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと思料するときは、内閣府独立公文書管理監の通報窓口に対し、その旨の通報をすることができる。この場合において、取扱業務者等は、特定秘密指定管理簿に記述された特定秘密の概要や特定秘密が記録された文書の番号を用いるなどし、特定秘密を漏らしてはならない。

(イ) (ア)に定める通報は、ア(イ)において調査を行わない旨の通知又は同(オ)の通知を受けた後でなければ、行うことができない。ただし、次に掲げる場合は、この限りではない。

a ア(ア)に定める通報をすれば不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由がある場合

b ア(ア)に定める通報をすれば当該通報に係る証拠が隠滅され、偽造され、又は変造されるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由がある場合

c 個人の生命又は身体に危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合

(ウ) 内閣府独立公文書管理監は、通報を受理した場合、遅滞なく必要な調査を行うものとする。

(エ) 通報を受理した内閣府独立公文書管理監は、必要があると認めるときは、(イ)の通知に係る行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をすることができる。

(オ) 行政機関の長は、(エ)による求めがあったときは、特定秘密保護法第10条第1項の規定により、内閣府独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとする。

(カ) 行政機関の長は、当該特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして(エ)による求めに応じないときは、その理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない。

(キ) 内閣府独立公文書管理監は、特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が特定秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求めるものとする。

(ク) 行政機関の長は、(キ)の求めがあったときは、適切な措置を講じた上で、当該措置について内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。

(ケ) 内閣府独立公文書管理監は、調査の結果を遅滞なく通報者に対し通知するものとする。

(3) 通報者の保護等

ア 通報の処理に関与した職員は、通報者を特定させることとなる情報その他の通報に関する秘密を漏らしてはならず、又は知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、若しくは不当な目的に利用してはならない。

イ 行政機関の長は、当該行政機関の職員が、通報者(通報者が適合事業者の従業者である場合にあっては、当該適合事業者を含む。ウ前段において同じ。)に対し、通報をしたことを理由として不利益な取扱いをすることのないよう適切な措置を講じなければならない。

ウ 行政機関の長は、通報者に対し、通報をしたことを理由として懲戒処分その他不利益な取扱いを行った職員があるときは、当該不利益な取扱いを取り消し、又は是正するとともに、当該職員に対し、懲戒処分その他適切な措置を講ずるものとする。正当な理由なく、通報に関する秘密を漏らした職員及び知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用した職員についても同様とする。

エ 行政機関の長及び内閣府独立公文書管理監は、通報の処理に係る記録を作成し、適切な保存期間を定めた上で、当該記録を関係資料とともに適切な方法で管理しなければならない。

5 特定秘密保護法第18条第2項に規定する者及び国会への報告

(1) 内閣総理大臣への報告等

ア 行政機関の長は、毎年1回、(ア)から(シ)までに掲げる事項を内閣保全監視委員会に、(ア)から(キ)まで及び(シ)に掲げる事項を内閣府独立公文書管理監に報告するものとする。

(ア) 当該行政機関の長が指定をした特定秘密の件数及び過去1年に新たに指定をした特定秘密の件数(Ⅱ1(1)に規定する事項の細目ごと。(イ)及び(ウ)において同じ。)

(イ) 過去1年に指定の有効期間の延長をした件数

(ウ) 過去1年に指定を解除した件数

(エ) 特定秘密であった情報を記録する行政文書ファイル等を過去1年に国立公文書館等に移管した件数

(オ) 特定秘密であった情報を記録する行政文書ファイル等を過去1年に廃棄した件数

(カ) 過去1年に廃棄した特定行政文書ファイル等の件数

(キ) 過去1年に処理した4(2)ア(ア)の通報の件数

(ク) 過去1年に適性評価を実施した件数(警察庁長官にあっては、警察本部長が実施した適性評価の件数を含む。(ケ)及び(コ)において同じ。)

(ケ) 過去1年に適性評価の評価対象者が特定秘密保護法第12条第3項の同意をしなかった件数

(コ) 過去1年に申出のあった特定秘密保護法第14条の苦情の件数

(サ) 過去1年に行った適性評価に関する改善事例

(シ) その他参考となる事項

イ 内閣保全監視委員会は、アの報告に加え、必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出又は説明を求めることができる。

ウ 内閣府独立公文書管理監は、内閣保全監視委員会に対し、ア(ア)から(キ)まで及び(シ)に掲げる事項に関し、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理についての意見を述べることができる。

エ 内閣保全監視委員会は、アからウまでに定める報告、説明及び意見を取りまとめ、国民に分かりやすい形で取りまとめた概要を付して、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況を内閣総理大臣に報告するものとする。

オ 内閣府独立公文書管理監は、毎年1回、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正を確保するため内閣府独立公文書管理監及び行政機関の長がとった措置の概要を内閣総理大臣に報告するとともに、公表するものとする。

(2) 特定秘密保護法第18条第2項に規定する者への報告

 内閣総理大臣は、毎年1回、(1)エの状況を特定秘密保護法第18条第2項に規定する者に報告し、その意見を聴かなければならない。

(3) 国会への報告及び公表

ア 内閣総理大臣は、毎年1回、(2)の意見を付して、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況を国会に報告するとともに、公表するものとする。

イ なお、両院に設置される情報監視審査会に報告する際には、行政機関の長が保存する特定秘密指定管理簿を取りまとめたものをアに添付するものとする。

6 その他の遵守すべき事項

(1) 2、3(1)イ、4(2)イ(エ)又は5(1)イに基づき特定秘密の提供を受けた内閣保全監視委員会又は内閣府独立公文書管理監は、当該特定秘密を提供した行政機関の長とあらかじめ協議して定めるところに従い、当該特定秘密を利用する職員の範囲を制限することその他の当該特定秘密の保護のために必要な措置を講じなければならない。

(2) 内閣保全監視委員会は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の適正を確保するために必要な専門的技術的知識及び能力の維持向上に努めなければならない。

(3) 内閣府独立公文書管理監は、特定秘密の指定及びその解除並びに特定行政文書ファイル等の管理の適正を確保するために必要な専門的技術的知識及び能力の維持向上に努めなければならない。

Ⅵ 本運用基準の見直し

 政府は、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し、常にその運用の改善に努めつつ、定期的に、又は必要に応じて本運用基準について見直しを行うものとする。なお、特定秘密保護法の施行後5年を経過した場合においては、その運用状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。また、見直しの結果については、これを公表するものとする。

Ⅶ 本運用基準の施行日

 本運用基準は、特定秘密保護法の施行の日(平成26年12月10日)から施行する。

【別添様式】(略)


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