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■■メールマガジン「PUBLICITY」No.1475 2006/10/09月■■
アンナ・ポリトコフスカヤが殺された。
10月8日付朝刊、讀賣、朝日、毎日、産経、日経、東京のう
ち、最も大きく扱っていたのは東京新聞。
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10月8日付 東京新聞
著名女性記者を射殺
チェチェン紛争取材 プーチン強権批判
【モスクワ=常盤伸】インタファクス通信などによると、批判
的なチェチェン紛争報道で知られるロシアの女性ジャーナリス
トで、独立系「ノーバヤ・ガゼータ」紙政治評論員のアンナ・
ポリトコフスカヤさんが七日夕方、モスクワ市中心部の自宅ア
パートのエレベーター内で射殺されているのが見つかった。
遺体には複数の銃撃を受けたあとがあった。警察当局は殺人事
件として捜査を開始した。遺体から現金などの所持品は奪われ
ておらず、現場には拳銃と弾丸が残されていたという。
政治的な背後関係は不明だが、プーチン政権の強権体質を批判
していたポリトコフスカヤさんの殺害は、メディア統制に抵抗
しているロシアの独立系メディアに大きな痛手になるとみられ
る。
ポリトコフスカヤさんは一九五八年生まれ。イズベスチヤ紙な
どを経て九九年に「ノーバヤ・ガゼータ」紙に移り、同年に始
まった第二次チェチェン紛争の実態を、ロシア軍による厳しい
報道統制のなか現地取材。ロシア軍による腐敗やチェチェン市
民への弾圧の実態を次々に発表、国際社会に衝撃を与えた。二
〇〇一年には国際人権団体アムネスティ・インターナショナル
英国支部の世界人権報道賞を受賞している。
また、〇二年のモスクワ劇場占拠事件では、チェチェン独立派
武装勢力とロシア政府の仲介者として人質解放交渉にも深く関
与。さらに〇四年九月の北オセチア共和国での学校占拠事件で
は現地に向かう旅客機内で出された紅茶を飲んだ直後に倒れ重
体となった。不可解な状況から毒殺未遂との見方も強い。
ロシアではジャーナリストの殺害が相次いでおり、ポリトコフ
スカヤさんも今年四月、本紙に対し、本人や家族への脅迫が続
いていると語っていた。
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▼『プーチニズム 報道されないロシアの現実』(鍛原多惠子
訳/2005年6月)、『チェチェン やめられない戦争』(
三浦みどり訳/2004年8月)が邦訳されている(いずれも
NHK出版)。
▼彼女が殺された10月7日は、プーチンの誕生日である。彼
女の体には4発の銃弾のあとがあったという。
▼現時点で、最も多く情報が載っているのは
「チェチェン総合情報」
http://chechennews.org/
▼生前の彼女の写真、殺されたアパート前の写真など。
(Anna Politkovskaya, assassinata la voce critica della Russia)
http://www.repubblica.it/2006/05/gallerie/esteri/fiori-politkovskaya/fiori-politkovskaya.html
▼「バイナフ自由通信」
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/
には、プーチン大統領に宛ててメールを送る方法が載っている
(10月9日更新分)。モスクワではデモが起きているそうだ。
▼最初、新聞で知ったとき、あっと声が出て、それきりだった
。読者からは、「竹山くん、もう知ってると思うけど、アンナ
さんが殺された!」等とメールをいただいた。
悔しい。なんだ、この悔しさは。感情を抑えて書いているが、
これ以上書いたら抑えきれない。新聞を読んで涙が出たのは、
子どもが親に殺された記事以来だ。
体も、心も、痛かったろう。どれほど無念だったろうか!
しかし。彼女は殺されたが、断じて【負けたのではない】。
そして、【彼女を勝たさねばならない】。
何十、何百のアンナ・ポリトコフスカヤが、今までもいたし、
今もいるし、今からも生まれるだろう。
この「自由な言論」の流れに目を瞑って論じられる「愛国」は
畢竟、「売国」に通じるに違いない。
本気で喧嘩する時は、結局、殺されるように書くしかないのだ
ろうか。未来のわが身に事寄せて考える以外、いまは、感情を
抑える手立てが見つからない。
その情況で、その立場で、その能力で、その感情で、何に事寄
せて・言寄せて書くべきか──海の彼方から、チェチェンの地
から、言論の根本基準を教えてくれた彼女に、ぼくは、ぼくの
果てのない感謝を捧げる。
そして彼女の親族と、彼女の恩恵を受けた人々の、そしてこれ
から恩恵を受ける人々の、幸福と幸運を祈る。
freespeech21@yahoo.co.jp
http://www.emaga.com/info/7777.html
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http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/d53ac88279a9fbcfa2f42a1a411293dd
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/539be7ba8ba5987631c9e5846030a121