「朝鮮学校を高校無償化の対象から排除しないことを求める会長声明」
文部科学省は、2012年(平成24年)12月28日、公立高等学校に係る 授業料の
不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下「高校無償化 法」
という。)施行規則(以下「施行規則」という。)の一部を改正する省令案(以
下「省令案」という。)に関するパブリックコメントの実 施を公表した。
この省令案の内容は、施行規則第1条第1項第2号において外国人を専ら対 象
とする各種学校で高校無償化法の対象になるものとして定められた(イ)外国の
学 校の高等学校と同等の課程を有するもの、(ロ)文部科学大臣が指定する団
体の認定を受けたもの、(ハ)それ以外の高等学校の課程に類する課程を置くも
のと 認められるものという類型のうちの(ハ)を削除するというものである。
しかしながら、「教育の機会均等に寄与すること」(高校無償化法第1条) と
いう目的に合致するものとして就学支援金支給の対象とされたはずの3類型のう
ち の(ハ)の類型のみを高校無償化法の対象から 排除するべき根拠について、
本パブリックコメントは何も述べておらず、立法事実もない。
この(ハ)の規定の主な対象として想定されていたのは、朝鮮学校である。
2010年 (平成22年)11月5日に高校無償化法施行規則第1条 第1項第2号ハの規定
に基 づく指定に関する規程の公表を受け、同月30日までに全国の全ての朝鮮学
校が申請 手続を行っている。
ところが、同月23日に起きた韓国・延坪島での軍事衝突事件の 直後、何の明
文上の根拠もなく上記申請に対する指定手続が停止される事態となり、2年 以上
中 断されたまま現在に至っている。このような停止措置自体が、遅滞なく申請
の審査を開始しなければならないとする行政手続法第7条に違反していること
は、当 会が2011年 (平成23年)2月15日付会長声明で指摘したとおりである。
しかるところ、今回の省令案は、朝鮮学 校に対する指定手続を恣意的に中断
し2年 以上も放置した上に、指定手続の根拠条項そのものを無くすというもので
あり、法律による行政の原理を逸脱し、法治 国家として許されないものであ
る。また、(ハ)の類型として指定済みの外国人学校については経過措置を設け
るとしていることとあわせて見 れば、実質的には 朝鮮学校のみを高校無償化法
の対象から排除することによって、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権
利を侵害するものであり、子どもの権利条約、人種 差別撤廃条約及び国際人権
規約等の禁止する差別にあたるものである。
以上により、当会は、施行規則第1条 第1項第2号ハの規定を削 除することに反
対する。そして、朝鮮学校に対する上記停止措置を解除し、速やかに施行規則第
1条 第1項第2号ハの規定に基 づく指定手続を進めることを改めて強く求めるも
のである。
2013年(平成25年)1月24日
京都弁護士会
会長吉川哲朗
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文部科学省は、2012年(平成24年)12月28日、公立高等学校に係る 授業料の
不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律(以下「高校無償化 法」
という。)施行規則(以下「施行規則」という。)の一部を改正する省令案(以
下「省令案」という。)に関するパブリックコメントの実 施を公表した。
この省令案の内容は、施行規則第1条第1項第2号において外国人を専ら対 象
とする各種学校で高校無償化法の対象になるものとして定められた(イ)外国の
学 校の高等学校と同等の課程を有するもの、(ロ)文部科学大臣が指定する団
体の認定を受けたもの、(ハ)それ以外の高等学校の課程に類する課程を置くも
のと 認められるものという類型のうちの(ハ)を削除するというものである。
しかしながら、「教育の機会均等に寄与すること」(高校無償化法第1条) と
いう目的に合致するものとして就学支援金支給の対象とされたはずの3類型のう
ち の(ハ)の類型のみを高校無償化法の対象から 排除するべき根拠について、
本パブリックコメントは何も述べておらず、立法事実もない。
この(ハ)の規定の主な対象として想定されていたのは、朝鮮学校である。
2010年 (平成22年)11月5日に高校無償化法施行規則第1条 第1項第2号ハの規定
に基 づく指定に関する規程の公表を受け、同月30日までに全国の全ての朝鮮学
校が申請 手続を行っている。
ところが、同月23日に起きた韓国・延坪島での軍事衝突事件の 直後、何の明
文上の根拠もなく上記申請に対する指定手続が停止される事態となり、2年 以上
中 断されたまま現在に至っている。このような停止措置自体が、遅滞なく申請
の審査を開始しなければならないとする行政手続法第7条に違反していること
は、当 会が2011年 (平成23年)2月15日付会長声明で指摘したとおりである。
しかるところ、今回の省令案は、朝鮮学 校に対する指定手続を恣意的に中断
し2年 以上も放置した上に、指定手続の根拠条項そのものを無くすというもので
あり、法律による行政の原理を逸脱し、法治 国家として許されないものであ
る。また、(ハ)の類型として指定済みの外国人学校については経過措置を設け
るとしていることとあわせて見 れば、実質的には 朝鮮学校のみを高校無償化法
の対象から排除することによって、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権
利を侵害するものであり、子どもの権利条約、人種 差別撤廃条約及び国際人権
規約等の禁止する差別にあたるものである。
以上により、当会は、施行規則第1条 第1項第2号ハの規定を削 除することに反
対する。そして、朝鮮学校に対する上記停止措置を解除し、速やかに施行規則第
1条 第1項第2号ハの規定に基 づく指定手続を進めることを改めて強く求めるも
のである。
2013年(平成25年)1月24日
京都弁護士会
会長吉川哲朗
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