「非国民通信・ニラ茶でわかる消費税のからくり」の『誤算』について/東本高志(CMLから)

2010-06-28 18:12:08 | 社会
・・「ニラ茶でわかる消費税のからくり」という「非国民通信」さんの・・・(http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/b1262d6748d72903da7ef6e356318f24
その論考上の計算は、仕入れ価格にかかる消費税の納税義務者と実際の消費税の支払者とを混同
した上での計算となっており、それゆえ仕入税額控除の計算も、輸出企業に対する消費税の還付金
の計算も前提を誤った上での計算となっており誤算になっている、という反論は紹介されていませんの
で反論の論考を抜粋して紹介しておきます。

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私は、政官財癒着・無駄遣い政権によるいかなる税制の「改革」にも反対の立場ですが、「非国民通
信」さんの説明は違っているので、それをここに明らかにしておかなくてはと思い、筆をとりました(古
い表現ですけれど)。市民運動の方たちの中には時々そのように誤解する人がいますが・・・

まず、トヨタは、受け取った消費税と支払った消費税の差額を国庫から還付してもらっているだけです。
トヨタが消費税の還付を受けているとしたら(実際、受け取っていると聞きますが)、海外輸出が多いの
で、国内市場相手の通常の企業より、消費税付で販売する機会が総体的に低く、(材料調達時などで)
支払う消費税と受け取る消費税の差額があれば、これが国庫から還付されるということであると思い
ます。

例えば、材料購入時、材料代金正味10兆円として、これに支払う消費税は5000億円です。さて販
売です。トヨタの販売先が国内・国外それぞれ7兆円、13兆円だったとしましょう。全部で20兆円です。
国内向け7兆円には、他に3500億円の消費税の受取が発生します。海外向けの販売ではどこから
も消費税を受け取りませんから、結局、支払った消費税5000億円、受け取った消費税3500億円
です。従って、差額1500億円が国庫から還付される、というわけです。キャノンなど輸出型企業はす
べてこの傾向があります。

トヨタの例と逆のケースでは・・・A社とします・・・
材料費支払い10兆円、これに伴い支払う消費税は5000億円、これはトヨタの場合と同じ。販売。
国内販売13兆円、海外販売(輸出)7兆円としますと、受け取る消費税6500億円。消費税の納付
は差額の1500億円となります。

トヨタもA社も売上20兆円(正味)、仕入10兆円です。人件費には消費税は付きませんが、これを
5兆円としますと、簡単に言って、原価15兆円、売上20兆円で、A社もトヨタも5兆円の利益となり
ます。消費税に関してはA社もトヨタも得も損もしていないのいです。

以上消費税についてのよくある誤解についてでした。ひょっとしたら「非国民通信」さんの主張を私
が取り違えているのかもしれませんが、税制に関することなど、専門家の認識をチェックした方が
いいことってありますよね。
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某ML上で上記の反論についてさらなる再反論がありましたが、以下はその議論を読んでの私の
意見です。

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「非国民通信」さんの論考は仕入税額控除の計算も、輸出企業に対する消費税の還付金の計算
も前提を誤った上での計算となっており誤算である、という認識では合意が得られているように思
います。

いま議論になっているのは、消費税の輸出企業に対する巨額な消費税還付金をカラクリと見るべ
きか、単に商取引にともなう相殺勘定と見るべきかの違いのように思いますが、それぞれの論は
視点の置き所を異にしていて噛みあっていないように私には見えます。すなわち、視点の置き所
によっては、相殺勘定と見ることもできるだろうし、カラクリと見ることもできるだろう、というのが私
の見るところです。要は視点の違いの問題だろう。土俵が違うところで議論しても相撲=議論は
成立しないだろう、と。

ところで、この間の議論では「仕入税額控除方式」の仕組みという重要な着眼点が見落とされて
いるように思います。すなわち、消費税は、年間売上高に5%をかけた額から年間仕入高に5%
をかけた額を引いて納税されますが、輸出戻し税は年間売上高に5%ではなくゼロ%をかける。
そのため仕入に入っている消費税分が常に還付される、という仕入税額控除方式、あるいは輸
出戻し税の仕組みという着眼点が見落とされている、ということです。

(1)国内取引に関わる消費税の計算=年間売上高×0.05-年間仕入高×0.05
(2)輸出取引に関わる消費税の計算=年間売上高×0.00-年間仕入高×0.05

注:上記(2)では「年間仕入高×0.05」分の還付金が必ず生じます。しかし、輸出取引に関わ
る消費税は単純に免税とすればよいことで、上記(2)のような計算式を駆使して国内取引によ
って発生した消費税を還付する必要はまったくないはずです。

年間売上高に5%ではなく「ゼロ%をかける」という仕入税額控除方式、あるいは輸出戻し税の
仕組みは、大企業に利益を還元するために官僚によって創出された数式のカラクリ以外のなに
ものでもない仕組みというべきものだろう、と私は思います。

仕入税額控除方式、あるいは輸出戻し税の仕組みについては下記の関東学院大学法科大学
院教授の湖東京至さんの考察をご参照ください。

■大企業上位10社で1兆円超の消費税環付金
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/fukouhei/071203-01/071203.html
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東本高志@大分
taka.h77@basil.ocn.ne.jp
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi


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