「沖縄・グアム海兵隊移転」情報通信
(第3号、2007年4月23日)
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【第3号の目次】
メディア記事
1.環境影響評価書作成までの流れ
2.環境影響評価公聴会に数百人
3.チャモロ・ネーション、公聴会で気勢を上げる
4.サイパン島でも公聴会
5.米シンクタンク、太平洋の米軍強化を提案
6.バイス代表、米軍増強が公共サービスに与える影響についてコメント
7.要請されるグアム港湾施設の強化
8.米兵の大量流入に浮き足立つグアムのホテル業界
9.グアムの軍拡に必要な外国人労働者
10.海兵隊移転のおこぼれに与ろうとするパラオ
11.米マリアナ海軍司令官が交代
12.第11空母打撃団の艦船、グアムに入港
編集人より――米軍再編特措法が衆院通過!
1.環境影響評価書作成までの流れ
Bice runs down upcoming scoping meetings
海兵隊移転に関する環境影響評価方法書作成のための公聴会がグアムで間もな
く開かれるが、ここで環境影響評価書(EIS)が最終的に作られるまでの流れを
簡単にみておく。
まず、今回行われる公聴会において、調査にどのような項目を含めればいいの
かについて住民からの意見を聴取し、調査内容を確定する。その後実際の調査に
入るが、米海軍省グアム計画合同オフィスのデイビッド・バイス代表によれば、
EISの草案はおそらく2009年1月ごろまでは出されないだろうという。出された草
案は、およそ45日の間、公聴会などを通じて一般市民の検討に付される。それか
らさらに4~5ヶ月たって最終的なEISが発表され、米海軍省次官補がそれにサイ
ンをすることになる。
バイス氏は、海兵隊移転の詳細は未決定と断りつつも、「それは間違いなく起
こることになる。なぜなら、それは米日間の合意事項だからだ」と述べた。ま
た、今後のスケジュールについて、移転に伴う建設は2010年までは始まらない
し、実際の部隊移転は2012~13年以前にはおそらく実行されないだろう、とも述
べた。
「クアム・ニューズ」、2007年4月16日
http://www.kuam.com/news/22012.aspx
2.環境影響評価公聴会に数百人
Hundreds turn out for scoping meeting
グアム・ヨナ地区の公民館で、海兵隊移転等に関する環境影響評価の方法書作
成に向けた公聴会が開かれた(4月17日)。口頭による説明、資料のディスプレ
イ、米海軍職員との対話などが行われた。会場の外では、一部の住民がグアムの
旗を振りながら「ヤンキー・ゴー・ホーム」などと叫び、抗議活動を行った。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月18日
http://www.guampdn.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070418/NEWS01/704180302/1002/NEWS17
3.チャモロ・ネーション、公聴会で気勢を上げる
Chamorro Nation sounds off at scoping meeting
ヨナ地区で海兵隊移転に関する公聴会が行われる中、先住民団体「チャモロ・
ネーション」のメンバーが、会場となっていた公民館の外で抗議の声を上げた
(4月17日)。同団体のデビー・キナータ代表は、「この公聴会はただの宣伝
キャンペーン。実際に意図されていることは、連邦政府の任務を果たすことで
あって、この島の地元の人たちの感情を測ったり考慮したりすることではないの
です」と語った。
会場内では、米軍が資料を配ったりポスターを掲示したりして、軍の計画に関
する情報提供に努めた。先住民チャモロのための通訳も準備されていた。
「クアム・ニューズ」、2007年4月18日
http://www.kuam.com/news/22055.aspx
4.サイパン島でも公聴会
Military briefs Saipan
米海軍は、グアムへの海兵隊移転等に関する件で、環境影響評価の方法書作成
に向けた公聴会をサイパン島でも開いた(4月19日)。米海軍省グアム計画合同
オフィスのデイビッド・バイス代表は、海兵隊が沖縄から移転した場合には、北
マリアナ諸島、とりわけテニアン島に訓練施設が作られると予想されると語っ
た。これは、恒久的な施設ではなく遠征キャンプのようなものになるといい、こ
れを自分たちは「暖かい基地」(warm bases)と呼んでいるとバイス代表は語った。
またバイス氏は、「建設は3年もたたずに始まる」と述べ、地元産業界に準備
を急ぐように呼びかけた。また、7月か8月にグアムで産業フォーラムを開いて、
大企業と地場産業をつなぐ試みをしてみたいと語った。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月20日
http://www.guampdn.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070420/NEWS01/704200317/1002/NEWS17
5.米シンクタンク、太平洋の米軍強化を提案
Report recommends U.S. military buildup in Pacific
米国のシンクタンク「外交関係評議会」が、4月10日に発表した報告書『米中
関係:前向きな課題、責任ある道筋』の中で、海軍力を大西洋から太平洋に移す
ことを主張していることがわかった。報告書は、かつて米太平洋軍司令官を務め
たデニス・ブレア元海軍大将とカーラ・ヒルズ元米通商代表部代表が中心になっ
てまとめた。報告書は、沖縄の負担軽減のためのグアムへの海兵隊移転にとどま
らず、太平洋軍全体の強化のためにグアムはもっと役割を果たすべきだとしている。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月13日
http://pidp.eastwestcenter.org/pireport/2007/April/04-13-05.htm
6.バイス代表、米軍増強が公共サービスに与える影響についてコメント
Bice discusses military's impact on utilities
米海軍省グアム計画合同オフィスのデイビッド・バイス代表は、グアム公共事
業体連合委員会(CCU)のサイモン・サンチェス会長と会談し、グアムの軍備拡
張に伴う公共サービス提供の問題について話し合った(4月10日)。
サンチェス氏は、「日本、海軍、CCU、グアム電力、グアム水道局の間の話し
合いが今後数ヶ月間で加速するものと期待している」とし、そこで話し合われる
課題の中には、日本からの資金をいかに使うかということも含まれると述べた。
他方バイス氏は、公共サービスの充実は何らかの官民協力の形態を通じて行われ
るだろうと述べ、これを「特別目的事業体」(special purpose entity)と表現
した。同氏によれば、この言葉は、官民によるこの種の戦略的な連合体を表す日
本語を文字通り訳したものであるという【注:日本語の「公団」あるいは「特殊
法人」などの言葉を参照したものと思われる】。
「クアム・ニューズ」、2007年4月14日
http://www.kuam.com/news/21983.aspx
7.要請されるグアム港湾施設の強化
Shipping executive urges Guam port upgrade
米「ホライズン・ライン」社の所有する輸送船「ホライズン・ホーク」号がグ
アムの民間港に初入港した(4月17日)。同社のジョン・ハンディ副社長は、国
防輸送協会が行った会合において、グアム政府が経営する同港のクレーンは「自
分の知る限り世界の中で最も古いもののひとつ」だと発言し、これからグアムの
米軍拡張が予想される中で港湾施設を強化する必要性を強調した(4月18日)。
またハンディ氏は、海兵隊はまだ移転していなくても軍備拡張はすでに始まって
いると述べた。ハンディ氏は、かつて米輸送軍司令官を務めていた。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月19日
http://pidp.eastwestcenter.org/pireport/2007/April/04-19-21.htm
8.米兵の大量流入に浮き足立つグアムのホテル業界
Hotels expect population expansion to bring more business
グアムのホテル業界が、海兵隊移転などによりグアムの人口が増えることを見
越して、先行投資を行っている。2つ星の「パレス・ホテル」は、5つ半星の
「シェラトン・ラグア・グアム・リゾート」に昨年12月生まれ変わった。「ハイ
アット・アンソニー・ゲイン」の新しい経営者は、兵士の人口が増えることでハ
イアットへの客はわずかに増えるだけだろうが、グアム経済全体の底上げが期待
できると語った。
「クアム・ニューズ」、2007年4月11日
http://www.kuam.com/news/21915.aspx
9.グアムの軍拡に必要な外国人労働者
More jobs expected in construction
グアム労働省が開いた第5回年次労働会議において、グアムの軍備増強に伴っ
て増えると予想される建築労働者を外国から招きよせるために、外国人労働者の
受け入れ制限を緩和する必要性が話し合われた(4月19日)。米内務省が最近発
表した報告書によると、建築需要が増えて数年の間にグアムで2~3万人の労働者
が必要になる可能性があるという。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月20日
http://www.guampdn.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070420/NEWS01/704200323/1002/NEWS17
10.海兵隊移転のおこぼれに与ろうとするパラオ
From labor to Marines, Palau leader shares views
米マリアナ海軍司令官の交代式に出席するためにグアムを訪問しているパラオ
共和国のエリアス・チン副大統領が、グアム内のパラオ人コミュニティを訪ね
た。チン副大統領は、グアムに移転することになる8000人の米海兵隊員の一部が
パラオに休息や休暇で訪れることへの期待感を示した。また、グアム軍拡に伴っ
て発生する特需にパラオの業者を参与させる可能性について、現マリアナ海軍司
令官チャールズ・ライディグ少将のスタッフと話し合った。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月16日
http://www.guampdn.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070416/NEWS01/704160308/1002/NEWS17
11.米マリアナ海軍司令官が交代
Ceremony welcomes Navy commander
米マリアナ海軍司令官の交代セレモニーが行われた(4月17日)。2005年6月に
就任したチャールズ・ライディグ少将から、ウィリアム・フレンチ少将に交代す
る。式にはグアムのフェリックス・カマチョ知事も出席した。挨拶をした米海軍
施設司令官(commander of the U.S. Navy Installations)のロバート・コン
ウェイ中将は、ライディグ少将在任の2年間に関して、グアムの海軍関連で5億ド
ル近い事業を行ったこと、マリアナ海軍司令部(COMNAVMAR)が同地域で21回以
上の軍事演習を執り行ったことなどを賞賛した。
「パシフィック・デイリー・ニューズ」、2007年4月18日
http://www.guampdn.com/apps/pbcs.dll/article?AID=/20070418/NEWS01/704180307/1002/NEWS17
12.第11空母打撃団の艦船、グアムに入港
Trifecta of destroyers pull into port
第11空母打撃団(Carrier Strike Group 11)に所属する誘導ミサイル搭載の
駆逐艦3隻が、定期寄港の一環としてグアムに入った(4月21日)。入港したの
は、ジョン・ポール・ジョーンズ、ヒギンズ、チャフィーの3隻。乗組員は3隻合
わせて約1000人である。
「クアム・ニューズ」、2007年4月22日
http://www.kuam.com/news/22120.aspx
【編集人より――米軍再編特措法が衆院通過!】
4月13日、残念ながら米軍再編特措法が衆議院を通過してしまいました。改憲
手続き法の採決と同日であったことや、特措法の審議そのものがきわめてスピー
ディーに行われてしまったために、私たちもなかなかこの動きについていけません。
参議院での審議は連休明けに本格化することになります。ここに向けて、私た
ちは、「グアムでの環境アセスがまだ済んでいないのだから、国際協力銀行
(JBIC)に特例でグアムの米軍再編への融資を認めている特措法をいま成立させ
ることは間違っている」と最低限主張しなくてはならないと考えています(山口
響)。
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【編集・作成責任:山口響】