レバノン大学教授が予想する来るべき米国-イラン戦争/アラビアニュース 

2006-08-29 20:49:29 | 世界
イランと米国の代理、前哨戦であったイスラエルによるレバノン侵攻戦争は34日間でほぼ終結したが、イスラエルと米国の多くの分析が、今次のレバノン戦争は来るべき戦争のリハーサルに過ぎないと指摘している。26日付のミドル・イースト・オンラインは、レバノン大学のハリール・フセイン博士(国際法)の分析を掲載した。
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  最近ペルシャ湾で行ったイランの軍事演習は、イランを攻撃しようとする米国に対して次のような警告のメッセージが込められている。

1)対船舶用中距離、最新鋭カウサル・ミサイルの発射が成功した。このミサイルは電子式迎撃システムに対抗する能力を有し、いかなる装置によっても軌道から外されることは無い。つまり、米国のパトリオット迎撃ミサイルやイスラエルのヒーツ迎撃ミサイルでは撃ち落せないことを明確に示した。

2)レーダーで捕捉不能な最新式水上飛行機の試験飛行が成功した。これは乗員1名の小型機で水上を低空飛行し、敵船舶に突っ込む航空爆弾として使われる。つまり、イランはペルシャ湾上の米船舶を攻撃しホルムズ海峡を封鎖出来ることを明示したのだ。

3)高速魚雷ホートの発射。イラン革命警備隊のアリー・ファダヴィー特殊軍司令官の副官によると、この魚雷は船舶撃沈用に設計されており、敵のレーダー網や水中探査装置に捕捉されない。ロシアのイズベスチア紙はこの魚雷は、秒速百メートルの速度を誇るロシア製強力シャクファル魚雷に極めて似ていると明かした。

4)最低射程距離2千メートルの多弾頭ミサイル・シハーブ3を実験した。これはイスラエルと、中東の米軍諸基地を射程に置く。

 この軍事演習に同期してイランのムッタキ外相は、「イランは核開発問題を協議するという安保理の要望に応じるつもりは無い」と表明した。また革命防衛隊所属のイスラム・バシジ民兵軍のムハンマド・ヒジャージー司令官は、「(核問題に関連する)神経戦の数週間後に、西洋人は我々が我々の権利行使をしないとだろうと期待したが、止めるどころか、この演習を通じて我々の能力を見せ付けてやった」と豪語した。

 それでは、戦争が勃発したならどのように展開するだろうか? 以下のようなシナリオが想像される。

1)イランはペルシャ湾上の米国船舶を攻撃し、その一部を撃沈か破壊することで反撃する。またイラクのシーア派勢力が、スンナ派勢力の参加を得て、イラク駐留米軍に襲い掛かる。それにより、抵抗勢力の1日の平均襲撃回数(米国の発表によると一日の襲撃回数は現在60件)が増加することで、米軍は地獄を味わうことになる。無論、米国がイラクを政治的に支配する計画は挫折し、軍事的敗北となるようなイラクからの早期撤退計画は頓挫する。恐らくイラクは内戦になろう。

2)イランの反撃はイスラエルの核施設や湾岸諸国の米軍基地への攻撃を含む。換言すれば、戦争の範囲が拡大し、イスラエルが巻き込まれ、世界の原油価格は急騰、湾岸諸国の経済に大打撃となる。湾岸諸国は米国による戦争の後遺症から回復しやっと開発資金が出来るようになったかと思えば、米国が新たな紛争に突入するのだ。

3)米国政府は第二次世界大戦以来始めて戦術核兵器を使おうとする。ニューヨーカー紙によると、米現政権のタカ派は、イランとその大統領をイラクよりも危険な米国と西側諸国の権益を脅かすナチとヒットラーになぞらえているのだ。このシナリオの危険性はイランの軍事反撃能力を増幅することだ。

 これらのシナリオから分かるようにイランは生易しい相手ではない。政治的、経済的懲罰という武器を使用すると米国が恫喝してきたが、それが実行された場合にも、イランでの大規模石油プロジェクトが停止すると、経済的に損失を受けるのは西側諸国、特に欧州だ。ホルムズ海峡を抜ける世界の石油ルートは、将来的な紛争でイランが使えるカードであり続ける。

http://www.middle-east-online.com/?id=40659

【アラビア・ニュース】  齊藤力二朗  会員以外の転載希望者は個メールで受付
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1 コメント

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ゆゆしきシナリオ (NJWindow)
2006-09-01 11:15:38
レバノン大学教授の説明するシナリオは恐ろしい内容で驚きました。しかし、現地の専門家の見方を翻訳・掲載していただいてありがとうございます。
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