この国と原発:第6部・輸出の最前線で今 受注合戦、震災後も/毎日新聞 ほか 原発関連情報など

2012-07-13 09:24:05 | 社会
東京電力福島第1原発の事故後、原発の是非を巡る政策が定まっていない中で、日本の原発輸出ビジネスに変化の兆しが見えない。経済発展がめざましい中国やインドなど新興国は、急増する電力需要を火力発電所の建設でしのいでおり、化石燃料の枯渇や価格上昇への懸念から、原発への期待は高い。原発輸出国の米、露、仏、韓国などは巨大なマーケットととらえて国を挙げて輸出攻勢をかけ、日本も激しい受注競争を繰り広げている。

 ◇「巨大商機」日本も攻勢 官民挙げて仏、露、韓国に対抗

 「原発輸出先進国」と共に日本も輸出にしのぎを削っている。日本政府が原発輸出の姿勢を鮮明にしたのは、06年に策定した「原子力立国計画」からだ。それまでは日本の原発産業は、米ゼネラル・エレクトリック社(GE)などと提携して原発の部品を海外に供給するだけだった。新たに策定した計画では、政府系金融機関による支援など、国を挙げて輸出を積極的に後押しする方針を明確にした。

 この方針は、民主党政権でも引き継がれた。原発を輸出戦略の柱の一つに改めて据え、原発全体の製造から建設、運営管理、燃料調達まで一体で輸出する「パッケージ型インフラの受注」を掲げた。10年には菅直人首相(当時)自らがベトナムに乗り込んで、原発2基の優先交渉権を獲得するなど、官民挙げての輸出促進体制を打ち出した。

昨年3月の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故以降、国内の原発政策が定まらない中でも、輸出はなし崩し的に進んでいる。メーカーと組んで原発輸出の中核を担っていた東電は事故後、輸出事業からの離脱を決めた。しかし政府は11年8月、「諸外国が我が国の原子力技術を活用したいと希望する場合には提供していくべきだ」として交渉中の案件は継続する姿勢を強調。同年12月には、ベトナム、ヨルダン、韓国、ロシアとの間で、原子力技術を平和目的に限定することなどを定めた原発輸出に必要な原子力協定を国会で承認した。

 政府が原発輸出に力を入れるのは、世界で原発需要が増加し、「世界的に進んだ技術力を持つ日本にとっては、巨大な商機」(経済産業省)と映るからだ。

 国内メーカーにも後戻りが難しい事情がある。東芝は原発需要の増大を見越して、06年に世界有数の原発メーカー米ウェスチングハウス(WH)を54億ドル(当時の為替レートで約6200億円)で買収。日立製作所は07年にGEと原発部門を統合するなど、巨額の資金を原発事業につぎ込んでいる。

あるメーカー首脳は「国内の新設は難しい。(原発事業を維持するためには)海外でどこまで伸ばせるかだ」と話す。実際、日立はリトアニアに続きフィンランドでも受注を目指す。東芝もトルコでの受注活動に加え、子会社のWHが米国で6基を受注。三菱重工業も原発メーカー仏アレバと組んでヨルダンで初の海外受注を狙うなど、各社の受注合戦は震災後、むしろ活発化している。

 一方、世界の原発輸出国も受注を活発化させている。国内発電量の4分の3を原発で賄う「原子力大国」のフランスは、国を挙げて国営のアレバ社と電力公社「EDF」を後押しして営業活動を展開。ソ連時代の86年にチェルノブイリ原発事故を起こしたロシアも、国内外での原発建設を積極的に進めている。海外で建設合意済みの原発は、旧ソ連圏を中心にベラルーシなど20基以上に達しており、さらにヨルダン、チェコの入札にも参加し、日本勢と受注競争を繰り広げている。

 韓国も急速に勢いを伸ばしている。李明博(イミョンバク)政権は10年1月、「原子力発電輸出産業化戦略」を策定し、12年までに10基、30年までに80基の原発を輸出し、世界の原発建設の20%を占有する「世界3大原発輸出国」になるとの目標をぶち上げた。

独自に開発した原子炉の建設コストは、フランスの欧州加圧水型軽水炉(EPR)や、日立などが展開する改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を2割以上も下回っており、新興国での受注で大きな武器となっている。

 実際、09年には日仏に競り勝ってアラブ首長国連邦から受注を獲得。今年3月にもベトナムで、日本が受注を決めた原発とは別の2基で優先交渉権を獲得した。トルコ、ヨルダン、インドなど各国で日本の最大の競争相手になっている。

 ◇核兵器転用防止へ、厳格ルール

 原発の輸出に関して、核兵器への転用や第三国への流出などを防ぐため、国際的なルールに基づいた厳格な規制が課せられている。

 具体的には、核拡散防止条約(NPT)や原発保有国などで作る原子力供給国グループ(NSG)のルールで、輸出国は相手国から(1)事業内容や事業者の詳細な説明(2)原発以外に転用したり再輸出しないとの保証(3)国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れの確約−−などを得ることが求められる。

 これらのルールを実施するため、原発の輸出入国は2国間で原子力協定を結ぶとともに、国内法を整備し、事業者に対してこれらの手続きを徹底させている。日本の場合、外為法の規定で輸出業者は政府に(1)〜(3)などの証明書類を提出した上で、経済産業相の許可を得なければ輸出できない仕組みになっている。

IAEAは、ヒアリングや立ち入りなどの査察によって、これらの手続きが徹底されているかをチェックしている。日本政府は、原子力協定の締結を原発輸出の第一歩と位置づけており、現在11カ国・1国際機関と協定を締結。さらにインド、南アフリカ、トルコとの締結交渉を行っている。

 ◇中国、インドへ熱視線 火力に依存「最大の潜在市場」

 世界30カ国・地域で427基(合計出力3億8400万キロワット)の原発が、今年1月1日の時点で運転している。年間の総発電量は原発先進国が原発建設を本格化した1970年代に比べ、20倍以上に拡大した。経済協力開発機構(OECD)は2035年には世界の原発の総発電量は09年の1・7倍に増加すると推計している。

 経済発展に伴い中国、インド、韓国などアジア諸国で原発の建設ラッシュが起きている。00年以降、世界で営業運転を開始した原子炉のうち日本を除くアジア地域が約6割を占めた。建設中の原発の発電能力は、世界の約6割、計画中でも約5割をアジア地域が占める。「福島の事故後も新興国の建設意欲は失われていない」(21世紀政策研究所の澤昭裕研究主幹)とされ、今後東南アジアやサウジアラビアなど中東産油国でも新規導入が相次ぎそうだ。

 これらの国々が原発建設を急ぐ背景には、火力発電所の急増による大気汚染の深刻化に加え、将来の石炭や原油枯渇を見据えて、安定的に電力を確保するエネルギー安全保障の観点がある。

 特に中国、インドは、総発電量で世界1位と5位を占める「電力大国」に急成長。一方、原発依存度は2〜4%にとどまっている。とりあえず火力発電所を増設してしのいでいるため、世界全体の原発依存度を押し下げる一因になっている。逆に、「最大の潜在市場」(経済産業省幹部)との期待は高く、世界の原発メーカーが受注獲得にしのぎを削っている。

 一方、20世紀の原発産業をリードしてきた日米欧は、08年のリーマン・ショック以降の経済停滞で原発の新規建設の動きが鈍化。さらに昨年3月の福島第1原発事故の影響で、日本の全原発が一時停止したほか、ドイツやスイスが10〜20年程度かけて全原発を廃止する方針を打ち出すなど、「脱原発」の動きも起きている。

 旧ソ連圏や東欧では、西側諸国に頼らず自国でエネルギーを賄うエネルギー安全保障の観点から、ロシア製の原発が積極的に建設され、小国にもかかわらず原発依存度の高い国が多い。
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20120711ddm010040040000c.html

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原発輸出「日本は無責任」 不安募るベトナムの村 (東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/nuchamon/list/CK2012071202000184.html
東京電力福島第一原発事故にもかかわらず、ベトナムでは日本による初の原発輸出事業が進む。経済成長を背景に電力不足に悩むベトナムは、共産党の一党支配とあって、目立った反対運動はみられない。だが、大自然に囲まれた建設予定地を訪ねると、人々は一様に日本の二の舞いになることへの不安を抱えていた。

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日本グルントヴィ協会 さんから:

原発関連情報65をお送りします。
全部は協会のHPで読めます。
http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/index.html
金曜日の夕方の行動、福岡、鹿児島、宮崎などで毎週これからありそうですね。

1,原子力基本法二条の追加で「安全保障に資する」の文言が自民党によって加
えられたというニュースはよく知られています。政府は国会の答弁では、核武装
などではないと否定しました(服部良一代議士の質問と首相の答弁)。
http://www.hattori-ryoichi.gr.jp/blog/2012/07/post-105.html
しかし、これはウソで、同時に、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の活動を「平和
目的」と限定している規定を削除し、防衛利用を可能とする改正機構法を自民党
の主導で成立させています(カレイドスコープの記事)。
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-1365.html
もともと科学技術庁は、原子力と宇宙開発の二つの部局しかもたず、初代長官の
正力松太郎は将来の核ミサイルを考えていました。その正力の亡霊がまた復活し
たというわけです。福島原発事故があってさえも、原子力利用はより悪い方向へ
と向かっているのにあきれてものもいえません。
 これにかんしては、ロシアの国営ラジオ「ロシアの声」がやはり懸念を表明し
ています。
http://japanese.ruvr.ru/2012_06_21/nihon-kakubusou-genshiryoku-kihonhou-kaisei/

2,このあたりは、週刊現代に載った現役官僚の匿名座談会でも出ています。こ
れは架空記事かなとも思いましたが、部分的には核心をついた発言も多いので、
官僚に取材しているのはたしかでしょう。日本が民主主義国ではなく、官僚支配
の国だということもよくわかります。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32955

3,福島県南相馬市で、学校のプール開きにわずか6人しかプールに入らなかっ
たという記事です。当然でしょう。プール開きをする行政の姿勢がまちがってい
ます。
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120710t65002.htm
その南相馬市でだいぶ前に発見され、話題になっていた黒い物質を小出裕章さん
が測定して、見解を公表しています。
http://mak55.exblog.jp/16318274/

4,福島での除染がいかにいい加減か、東洋経済新報のサイトに、その実態が報
告されています。
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/c8f27c3780665edce9de6ae1521223d2/page/1/
また福島県が弘前大学の独自調査を中止させたことは前にも新聞記事を紹介しま
したが、それについて同サイトの記事です。
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/dcf336cf6c6c6293e72d5d07a66aee80/page/1/
Our Planetでは、二本松市の同朋幼稚園の子どもたち、親たちの実情が映像で報
告されています。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1391

5,福島の放射能避難基準がチェルノブイリよりも高いことはテレビではいいま
せん。双葉町長が公開した資料を紹介するブログです。
http://radiation7.blog.fc2.com/blog-entry-248.html

6,浪江町長と東電の対立について、モーニングバードの放送と昨日の会談の記
事です。
http://www.dailymotion.com/video/xs3d6t_20120711-yyyyy-yy-y-yyyyyyyyyy_news?search_algo=1
http://mainichi.jp/select/news/20120712k0000m040116000c.html
なぜ電力会社はこういうウソをいい続けるのでしょうか。こういう人々にはもは
や刑事告訴するしかありません。浪江町も考えていますが、すでに提出済の福島
県民告訴団の弁護団長河合弘之氏の記事です。
http://www.toyokeizai.net/business/society/detail/AC/cae4f7d1c430a610438941bbf3a48994/

7,政府が8月中をめどに新たなエネルギー政策を決定する方針で、約2カ月の
間に国民的議論を実施するとしていますが、これらは形だけのもので、国民の声
を聴いたというある種のシナリオにもとづく手続きでしかありません。
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/editorial/35661.html
この三つのシナリオについては、ドイチェ・べレ(ドイツ国際放送)の記事を参
考にして下さい。記事の最後にあるブログ主のコメントも重要です。
http://kobajun.chips.jp/?p=3425

8,再稼働が始まり、原発にたかるさもしい人々がさっそく動きだしています。
玄海町長と美浜町長の発言です。
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.2245342.article.html
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012071201000998.html

9,九州にも関東や福島の産物が来て、汚染を拡大しています。グリーンコープ
の検査で飯塚市の落花生製品にセシウム検出が見られたという記事です。
http://merx.me/archives/25659

10、前にも紹介したドイツ・グライフスヴァルト原発の廃炉工事の報告の続きです。
http://www.jrri.jp/report_201207_greifswald.html

11、北海道のりんゆう観光は、脱原発の垂れ幕を社屋にかけていることで知られ
ます。
http://www.rinyu.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=17


ここはとてもすぐれた地域雑誌「カムイミンタラ」を出していたことでも有名
で、瀬棚フォルケホイスコーレもこの中で採りあげられ、当会にも取材がありま
した。
http://kamuimintara.net/
札幌の商工会議所が脱原発を主張する際にも主導的な役割を果たしたようです。
消費税批判の講演会なども開いています。
http://www.asahi-net.or.jp/~pv8m-smz/index.html


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