木村秋則さんと3冊の本について
木村秋則さんを世に知らしめたといっていい最初の本「奇跡のリンゴ」は、無農薬でリンゴを作るという無謀な挑戦と成功、そこに至るまでの木村さん一家のたどった波乱の人生の道筋を、取材したライターの目で書いたものでした。
その次の「リンゴが教えてくれたこと」は「奇跡のリンゴ」と重なる部分はあるものの、木村さん自身の著書であり、学者も顔まけの木村さんの観察力によって、自然の力とすごさ(それは、私たちが思っている以上の、今まで気づくことができない発見だった)を知りました。
この2冊を読んで、新しい農業のあり方を示してくれた木村秋則さんという人にすっかり魅了された私。
戦後、日本は復興し平和になったけれど、反面、自然を破壊し搾取することに何のためらいもありませんでした。
農業においては、農薬の使い過ぎが、農家の健康をむしばみ、土をだめにし、土地や河川、ひいては海までも汚染している現実には、食糧生産と言う大義名分の下、私たちは、目をそむけ続けてきました。
愛知県で、最先端の農業技術を導入した農地が、たった10年で砂漠化してしまいました。それを、木村さんの指導のもと、短期間で復活させた事例があります。
この事例は、農業の将来の希望の事例です。
自然と共鳴しながら、人間と自然とが、お互いに生かしあう関係になってゆくこと・・・
木村さんは、もしかしたら、農業だけでなく、日本人だけでなく、人類全体がこれから目指すべき方向性というものを示してくれるような、何か役割がある人なのだろうと、ひそかに感じていましたが、「すべては宇宙の采配」で、さらにその思いを強くしました。
「リンゴの絆」の人々
木村さんの農薬や肥料を使わず、土や環境に負荷をかけずに収穫を得るという自然栽培農業を、船にたとえるなら、命を守るノアの箱舟だと思うのです。
この2月に出た「リンゴの絆」は、箱舟の船長木村秋則さんと、木村さんに引き寄せられるように集ったその乗組員、仲間たちの紹介です。
飯田史彦さんの魂の仮説によりますと、ソウルメイトと言うのは、この世に生まれる前に、あらかじめ、「今生では、こういうことをしようね、こんな試練をともに乗り越えてゆこうね」と約束し、ともに輪廻転生を繰り返してきた、魂のレベルの仲間であるのですが、まさしく読みながら、ソウルメイトという言葉が浮かんでくるのでした。
そうしたら、木村さんのリンゴを世に知らしめてくれた「レストラン山崎」のオーナーシェフ、山崎隆さん(ヤマさん)がやはり、ソウルメイトという言葉を使われて、木村さんに対して、時空を超えた縁の存在を感じていたそうです。
こういうことは、本人じゃなければわからないものですが、そういう縁って確かにあるんだと私も思います。
山崎さんのほかに、表紙写真左側の中学の同級生、ダルマモーターの太田昭雄(アキ)さんは、木村さんがカマドケシと言われ、人々に笑われ馬鹿にされ、親戚にさえ相手にされなくなり、回覧版も回ってこなくなったときでも、変わらぬ態度で彼を支え、物心両方にわたって助けてくれました。
どん底になったときの相手の態度で、人の本質が見えるっていいます。そういった意味でも、木村さんは勉強されたことでしょうね。
弘前大学教授の杉山修一先生は、木村さんが独学と観察によって得た今までと違う農業の常識に対して、学者の立場から裏付けをしてくれました。
木村さんの不思議体験の多さから、何かオカルト系の人のような取り扱われ方をするなら、木村さん自身も、不本意でしょう。そういった意味でも、木村さんの自然栽培農法に対する杉山教授の科学的な裏付けは、何より意味があると思います。
また、木村さんのリンゴを消費者に届けるためにネックだった流通の問題を解決してくれたのは、ナチュラルハーモニーの河名秀郎さんです。
いい加減なことを言って自分を利用しようとする流通業者が多い中、木村さんは、河名さんと初対面であったのに、「害虫や病気の原因は肥料にある」という共通の概念を持っていて、話がつきなくて楽しかったと述懐されています。
立場も仕事も違う、それぞれの方たちの根底に、どこかでみな、木村さんと同じ思いが流れていたのだと思います。だからこそ、時が満ちて、呼び合い共鳴し合ったのではないでしょうか。
奥さまへの感謝
それから、以下は、あとがきにかえて、苦労を共にされた奥様に伝える言葉の中に書かれていたことです。
人生に点数をつけることは難しいですが、「○=×」と言うのが、意味合いとして近いですね。いいことも悪いことも表裏一体ということです。
本題のテーマとは違うのかもしれませんが、なんだか、この部分にやけに共感してしまった私めです。
そうなんですよね、以前はあれは良い、これは悪い、なんて自分でもよく言っていたのですが、上っ面しか見てなかったんじゃないかなってね。
いいと思っていたら、そのあとにどんでん返しがあったり、悪いと思っていたことがよくなるきっかけになったりして、全く「○=×」表裏一体なんですよね。
だから、起こることはみんな結局いいことなんだって、肯定的にとらえるほうが、精神衛生上はずっといいかもしれませんね。
最後の最後に書かれた、奥様への一言にも、胸がきゅんとしてしまいました。
「地球で一番、立派な女房です」って。
「世界で」じゃなくて、「地球で」っていうところが、特にね・・・
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>人生に点数をつけることは難しいですが、「○=×」と言うのが、意味合いとして近いですね。いいことも悪いことも表裏一体ということです。
いい言葉ですね。
願わくば、〇×ともに楽しみ切っていける人間になることが私の理想です。できるかな~(笑)
○×ともに、楽しみきっちゃう・・・
そんなこと、言えそうで言えないですよ、大ちゃん。
やっぱり凄いお方だ。
調子のいい時はいいけれど、精神的な苦痛や肉体的な苦痛のさなかにあると、先が見えなくて、泣きたくなってしまうことありますよね。
こういうとき、少し自分を客観的・俯瞰的に見て、今、自分は、天に試されているのだって思うことで、少しは楽になれるのかな~?
これだけしんどいんだから、次は、きっとでっかい○が来るぞって(笑)
待てば海路の日和あり、っていうし(笑)