名古屋場所11日目 琴奨菊が、白鵬に勝つ(羽黒蛇)
本場所を見ていた感想としては、あれよ、あれよという感じで、琴奨菊が白鵬を寄り切った。
立合いに、左四つになったのが勝因。
私は、正面から見ていたので、白鵬の、上手を取りに行こうとして取れない右手を見ていた。
琴奨菊の右上手は見えなかったが、上手をがっちり引きつけて、がぶり寄り気味に前に出る。
「がぶり寄り気味」と書いたのは、腰を上下させる「完全ながぶり寄り」には見えなかったから。
相撲の動きとしては、途中四つに組んで止まった場面が長かったが、一直線で琴奨菊が寄り切ったことになる。
現在の力の差では、長く攻防のある相撲になると、技を繰り出すことができる白鵬が上なので、琴奨菊は、「こういう相撲でしか勝てない」という相撲を取ることができた。
2日前の記事で、私は、
強さ(攻める力): 白鵬80、琴奨菊80 (これを85にできれば、勝つチャンスあり)
上手さ(技) : 白鵬100、琴奨菊70
と書いたが、今日の一番は、
強さ: 同格
立合いの上手さ: 結果として、白鵬80、琴奨菊100
相撲の上手さの大きな差を、横綱が繰り出す前に、攻め抜いて勝った一番だった。
相手の身長が高ければ、攻めてくるところを、かわしながら、白鵬が技を繰り出す可能性もあり、琴奨菊は背が低いことが、今日の一番では有利に働いた。
羽黒蛇
ーーーーーーー
名古屋場所11日目観戦(羽黒蛇)
12時20分に入場、三段目途中から観戦。自由席(当日販売のみ)が買えて、正面好位置で観戦。
幕内の取組より、感想を書きます。
お客さんは入っていません。三割くらいでしょうか。
大道
宝富士
新入幕同士、勝ち星があがらない二人、どちらが自分の相撲を取りきるか。
攻める大道、守る宝富士。攻防はあったが、宝富士反撃の場面なく、大道が、寄ってから、上手投げ。
栃乃洋
臥牙丸
体の大きい臥牙丸。胸から背中の厚みは、幕内一番であろう。横綱武蔵丸を彷彿させる。
臥牙丸の持ち味は、その大物感だけで、相撲が下手。
今日も、栃乃洋に、一方的に横から攻められて、何もできずに負けた。
時天空・すそ払い
高安
押して攻める高安。土俵際に追い込まれて二度回り込む時天空。
押しきれずに、とったりを見せる高安。
四つに組む両者。巻き替えの応酬。
高安不利な四つになった途端に、時天空の足が飛ぶ。
高安は、四つでも相撲がとれるが、攻めが止まったところで、時天空のペース。この一番は、攻めをしのいだ時天空が、相撲を面白くした。見ごたえがあった一番。
時天空が、文句なく、勝った一番だったが、物言いがついた。
「手をはいたのではないか、と物言いがついたが、軍配通り」
雅山・押し出し
魁聖
押し合いから、雅山が、珍しく、引き技を見せずに、押し出し。
魁聖は、浅く差して攻める作戦だったようで、雅山も引き技を簡単には使えない。使ったら、一方的に負けただろう。
魁聖は、一気に攻めて叩かれるリスクより、ねちねち攻めても攻め勝てるとふんでの作戦。予想外だったのは、ベテラン雅山が、力を出し切ったこと。
豪風・引き落とし
栃煌山
左に変わって手を高く、叩いた豪風を、よく見てついていく栃煌山。豪風を土俵際に追い詰めた時の腰の構えも安定、四股を踏んだ時のよう。あと、ひと押しで勝ちという瞬間、体をひらりと、もう一度叩いた豪風に対して、両手をついてしまった栃煌山。
稽古で、克服すべきは栃煌山。相手が変化しても、ついていく稽古。特別メニューが必要。
豪風が勝てたのは、運動神経のたまもの。
続く。
ーーーーーーー
名古屋場所11日目観戦 その3(羽黒蛇)
三段目の途中から見ました。三段目は淡々と取組が進んでいった感じで、攻防のある相撲を見せるには、技も未熟という印象。
幕下になると、攻防のある、見ていて面白い相撲が何番かありました。勝った力士の四股名を書くと、
松本
荒海
萬華城 体重が重たいのに、運動神経があり、動きがよい若手力士
舛東欧
南海力
十両土俵入り前の二番は、いずれも立合い変化。
直江が変化した後、攻めて、若乃島に勝つ。6勝0敗。
北園の変化についていった琴勇輝が勝つ。
十両では、次の二番がよかった。
千代の国が、攻めきれずに、華王錦に逆転負けした一番
芳東に、抱え込まれて、動きが封じられた、双大竜が、我慢に我慢を重ねて少しずつ態勢を作り、寄り切った一番
*******
お互いに力を出し合っても、攻防のある相撲になるとは限らない。
白鵬・琴奨菊の前の、5番で、お互いに力を出し切った相撲が続いたが、攻防のあったのは、若荒雄・栃ノ心だけだった。
若荒雄4-7:押し出し
栃ノ心4-7
押し相撲対四つ相撲の一番。えてして、どちらかが先手を取ると一方的になりがち。
この一番は、栃ノ心の地力が、若荒雄を上回るので、攻める若荒雄が、守る栃ノ心。
いつ、若荒雄の攻めが途切れて、栃ノ心が回しをつかむかと思いながら見ていたが、若荒雄が辛抱強く、攻め続けて、押し出した。
相撲だけ見ていると、若荒雄が攻め続けて、攻め勝った一番だったが、私の頭の中では、最初は余裕を持って対応していた栃ノ心が、回しをとれば勝てると思いながら、取れずに逆転負けという印象でした。それだけ攻防のある、面白い相撲だった。
鶴竜 7-4:叩き込み
豪栄道2-9
低く攻める豪栄道、ひらりひらりとかわす鶴竜。攻めきれず前に落ちた豪栄道。
立合い先手をとることは出来るのだから(上手さはあるのだから)、攻めの力が続けば勝てるようになる。
稀勢の里6-5:寄り切り
豊ノ島 5-6
いつもは双差しを狙う豊ノ島が、左四つ右上手。稀勢の里は、腰の構えよく、前に出ただけで、豊ノ島土俵際。
稀勢の里は、基本通り相撲を取り、無理して攻めなくても相手を圧倒できたという、よい見本の取り口だった。
把瑠都9-2:引き落とし
安美錦1-11
立合いから相撲巧者の安美錦が低く攻める、把瑠都左足一本で土俵際残り、体をかぶせるような引き落とし。余裕があったように見えた。
日馬富士11-0:寄り切り
琴欧洲 8-3
立合いの出足鋭い日馬富士が、途中で左上手を取り、一方的に琴欧洲に勝つ。
日馬富士が調子がよく、琴欧洲が調子が悪いと言えばそれまでだが、調子のいい相手に、勝つための工夫が見られないのが残念。例えば、思い切りかいなを抱え込みにいって、相手の動きを封じるとか、場所ごとに異なる作戦でのぞんだ方が面白いのではないか。
もっとも、作戦失敗して、一方的に負けるリスクもあるのだが。
羽黒蛇
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本場所を見ていた感想としては、あれよ、あれよという感じで、琴奨菊が白鵬を寄り切った。
立合いに、左四つになったのが勝因。
私は、正面から見ていたので、白鵬の、上手を取りに行こうとして取れない右手を見ていた。
琴奨菊の右上手は見えなかったが、上手をがっちり引きつけて、がぶり寄り気味に前に出る。
「がぶり寄り気味」と書いたのは、腰を上下させる「完全ながぶり寄り」には見えなかったから。
相撲の動きとしては、途中四つに組んで止まった場面が長かったが、一直線で琴奨菊が寄り切ったことになる。
現在の力の差では、長く攻防のある相撲になると、技を繰り出すことができる白鵬が上なので、琴奨菊は、「こういう相撲でしか勝てない」という相撲を取ることができた。
2日前の記事で、私は、
強さ(攻める力): 白鵬80、琴奨菊80 (これを85にできれば、勝つチャンスあり)
上手さ(技) : 白鵬100、琴奨菊70
と書いたが、今日の一番は、
強さ: 同格
立合いの上手さ: 結果として、白鵬80、琴奨菊100
相撲の上手さの大きな差を、横綱が繰り出す前に、攻め抜いて勝った一番だった。
相手の身長が高ければ、攻めてくるところを、かわしながら、白鵬が技を繰り出す可能性もあり、琴奨菊は背が低いことが、今日の一番では有利に働いた。
羽黒蛇
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名古屋場所11日目観戦(羽黒蛇)
12時20分に入場、三段目途中から観戦。自由席(当日販売のみ)が買えて、正面好位置で観戦。
幕内の取組より、感想を書きます。
お客さんは入っていません。三割くらいでしょうか。
大道
宝富士
新入幕同士、勝ち星があがらない二人、どちらが自分の相撲を取りきるか。
攻める大道、守る宝富士。攻防はあったが、宝富士反撃の場面なく、大道が、寄ってから、上手投げ。
栃乃洋
臥牙丸
体の大きい臥牙丸。胸から背中の厚みは、幕内一番であろう。横綱武蔵丸を彷彿させる。
臥牙丸の持ち味は、その大物感だけで、相撲が下手。
今日も、栃乃洋に、一方的に横から攻められて、何もできずに負けた。
時天空・すそ払い
高安
押して攻める高安。土俵際に追い込まれて二度回り込む時天空。
押しきれずに、とったりを見せる高安。
四つに組む両者。巻き替えの応酬。
高安不利な四つになった途端に、時天空の足が飛ぶ。
高安は、四つでも相撲がとれるが、攻めが止まったところで、時天空のペース。この一番は、攻めをしのいだ時天空が、相撲を面白くした。見ごたえがあった一番。
時天空が、文句なく、勝った一番だったが、物言いがついた。
「手をはいたのではないか、と物言いがついたが、軍配通り」
雅山・押し出し
魁聖
押し合いから、雅山が、珍しく、引き技を見せずに、押し出し。
魁聖は、浅く差して攻める作戦だったようで、雅山も引き技を簡単には使えない。使ったら、一方的に負けただろう。
魁聖は、一気に攻めて叩かれるリスクより、ねちねち攻めても攻め勝てるとふんでの作戦。予想外だったのは、ベテラン雅山が、力を出し切ったこと。
豪風・引き落とし
栃煌山
左に変わって手を高く、叩いた豪風を、よく見てついていく栃煌山。豪風を土俵際に追い詰めた時の腰の構えも安定、四股を踏んだ時のよう。あと、ひと押しで勝ちという瞬間、体をひらりと、もう一度叩いた豪風に対して、両手をついてしまった栃煌山。
稽古で、克服すべきは栃煌山。相手が変化しても、ついていく稽古。特別メニューが必要。
豪風が勝てたのは、運動神経のたまもの。
続く。
ーーーーーーー
名古屋場所11日目観戦 その3(羽黒蛇)
三段目の途中から見ました。三段目は淡々と取組が進んでいった感じで、攻防のある相撲を見せるには、技も未熟という印象。
幕下になると、攻防のある、見ていて面白い相撲が何番かありました。勝った力士の四股名を書くと、
松本
荒海
萬華城 体重が重たいのに、運動神経があり、動きがよい若手力士
舛東欧
南海力
十両土俵入り前の二番は、いずれも立合い変化。
直江が変化した後、攻めて、若乃島に勝つ。6勝0敗。
北園の変化についていった琴勇輝が勝つ。
十両では、次の二番がよかった。
千代の国が、攻めきれずに、華王錦に逆転負けした一番
芳東に、抱え込まれて、動きが封じられた、双大竜が、我慢に我慢を重ねて少しずつ態勢を作り、寄り切った一番
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お互いに力を出し合っても、攻防のある相撲になるとは限らない。
白鵬・琴奨菊の前の、5番で、お互いに力を出し切った相撲が続いたが、攻防のあったのは、若荒雄・栃ノ心だけだった。
若荒雄4-7:押し出し
栃ノ心4-7
押し相撲対四つ相撲の一番。えてして、どちらかが先手を取ると一方的になりがち。
この一番は、栃ノ心の地力が、若荒雄を上回るので、攻める若荒雄が、守る栃ノ心。
いつ、若荒雄の攻めが途切れて、栃ノ心が回しをつかむかと思いながら見ていたが、若荒雄が辛抱強く、攻め続けて、押し出した。
相撲だけ見ていると、若荒雄が攻め続けて、攻め勝った一番だったが、私の頭の中では、最初は余裕を持って対応していた栃ノ心が、回しをとれば勝てると思いながら、取れずに逆転負けという印象でした。それだけ攻防のある、面白い相撲だった。
鶴竜 7-4:叩き込み
豪栄道2-9
低く攻める豪栄道、ひらりひらりとかわす鶴竜。攻めきれず前に落ちた豪栄道。
立合い先手をとることは出来るのだから(上手さはあるのだから)、攻めの力が続けば勝てるようになる。
稀勢の里6-5:寄り切り
豊ノ島 5-6
いつもは双差しを狙う豊ノ島が、左四つ右上手。稀勢の里は、腰の構えよく、前に出ただけで、豊ノ島土俵際。
稀勢の里は、基本通り相撲を取り、無理して攻めなくても相手を圧倒できたという、よい見本の取り口だった。
把瑠都9-2:引き落とし
安美錦1-11
立合いから相撲巧者の安美錦が低く攻める、把瑠都左足一本で土俵際残り、体をかぶせるような引き落とし。余裕があったように見えた。
日馬富士11-0:寄り切り
琴欧洲 8-3
立合いの出足鋭い日馬富士が、途中で左上手を取り、一方的に琴欧洲に勝つ。
日馬富士が調子がよく、琴欧洲が調子が悪いと言えばそれまでだが、調子のいい相手に、勝つための工夫が見られないのが残念。例えば、思い切りかいなを抱え込みにいって、相手の動きを封じるとか、場所ごとに異なる作戦でのぞんだ方が面白いのではないか。
もっとも、作戦失敗して、一方的に負けるリスクもあるのだが。
羽黒蛇
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