羽黒蛇、大相撲について語るブログ

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平成26年・2014年7月場所前(真石博之)

2014年06月30日 | 相撲評論、真石博之
7月場所の資料をお送りいたします

○遠藤人気のおかげだけなのか新横綱誕生も多少は影響したのか、大相撲人気は復活して明らかに客の入りがよくなりました。1場所10日も満員御礼が出たのは17年ぶり、若貴人気以来のこと。それにしても、遠藤の人気はすさまじく、力士が入場する国技館の通用門は黒山の人だかりです。そこに、日大カラーの濃いピンクの着流しの遠藤が現れると嬌声がドッとあがり、そして、蜘蛛の子を散らすようになります。

大鵬も、長嶋も、早明ラグビーも、若貴も、「爆発的な人気」はミーチャンハーチャン、オンナコドモ、いってみれば、競技そのものにさして興味がない人たちを引きつけてこそ、初めて起こる現象のようです。



○その遠藤。夏場所には変化がありました。体つきが変わるほど筋肉がついたことと頭で当れるようになったことです。4日目の鶴竜戦では、頭で当ったあと突っ張り2発で横綱を突き起こし、素早く両差しになって一気に寄り切りました。負けた時に、土俵下で悔しそうな顔をするのも、記者たちに無言を通すのも、負けん気の強さで、上にあがるのに不可欠な資質でしょう。ただ、大砂嵐の一発に尻餅をついたように、負け方がみじめなのは、当りの強さ、前に出る力に欠けるからでしょう。身体の芯を強くすることです。



○2、3年前まで、遠藤のようにみじめな負け方をしていたのが嘉風でした。新小結の初日に日馬富士を破ったのは、すぐに引いた横綱の雑な取り口につけいったとはいえ、素晴らしい出足でした。結局は6勝に終ったものの、内容のある良い相撲を見せてくれました。白眉は9日目の稀勢の里戦の24秒。大きな相手をスピード豊かに攻めつづけ、何度も何度も窮地に追い込んだ一番は、「記憶に残る相撲をとりたい」と本人が言う通りの内容でした。師匠の尾車も「120%の力を出した」と満足そうでした。嘉風は140kg。幕内の平均がこれ位ならば、相撲は面白くなるでしょう。しかし、現実は160kgなのです。



○さて優勝争い。毎場所、10日目までは星を落とさない白鵬に対し、他の2横綱が7日目までに2敗してしまい、しらけた展開となりました。白鵬が負けるのは11日目以降ですが、その11日目の相手は5勝5敗と振るわない豪栄道。白鵬は、踏み込んで直ぐに相手の首を抑えての叩きでバランスを崩し、勝負あったかに見えた次の瞬間、前に出たところ、俵を伝って素早く回りこんだ相手はそこにおらず、つんのめって右足親指が土俵を割りました。先場所も6勝6敗の琴奨菊に負けており、調子の悪い相手を甘く見るところがあるのでしょうか。ちなみに、最近10場所での白鵬の戦績を見ると、10日までは98勝2敗と無敗に近いのに対し、11日目以降は38勝12敗、勝率7割6分と極端な違いがあります。



○注目されなかったせいか、夏場所の稀勢の里は落ち着いていました。11日目には、9勝1敗と好成績の勢を相手に、十分に相撲を取らせてから余裕をもって料理していました。ところが、その日に白鵬が負け、俄かにトップに並んだ翌12日目の1敗対決。前日までの冷静な仕切が時間一杯で急変。顔を真っ赤にして、2度のつっかけは明らかに早過ぎ。3度目もつっかけかけて重心を後ろに戻したところで白鵬に立たれてしまい、またまた「ミスターガッカリ」となりました。そのあと、2横綱を降しての13勝2敗は来々場所に繋がる成果でしょう。ところで、碧山に喫した1敗を「不覚」とする声もありますが、初場所に続いての連敗。神経質な立ち合いを見ると、自分より重くて出てくる力士を苦手にしていると感じます。



○12日目の結びの一番。激しい突っ張り合いから豪栄道が鶴竜を叩き込んで軍配が上がった瞬間、控えの白鵬から物言いがつきました。控え力士には物言いをつける権利があるのですが、実例は少なく、貴ノ浪以来のことと記憶します。審議の結果は、髷をつかんだ豪栄道の反則負け。見逃した5人の審判の失態ですが、行司には「反則」を判定する権限はないそうで、従って、差し違いにならないのだそうです。

翌々14日目の結びの一番、庄之助は死角に入っていた日馬富士の足が出たと推測して稀勢の里に軍配をあげました。ところが、目の前で足が出ていないことを見ていた湊審判が物言いをつけ、VTRを見たところ、日馬富士が髷をつかんでおり、結果は稀勢の里の勝ち。立行司の差し違えになるはずのものが、ならなかったというわけです。こうして、横綱の反則勝ちと反則負けが揃ったのは史上初めてことです。



○体重が増えて前に落ちやすくなり、叩く相撲が増えたためか、髷をつかむ反則は増え、ここ10年では年に3回はあるとのこと。相撲規則の禁じ手反則には「頭髪を故意につかむこと」と記されているだけです。心の中はのぞけないのですから、故意か故意でないかは分かる筈はなく、この規則は全く無意味です。むしろ、勝負に影響したか否かで審判が判断するとか、北の富士のいう通り、取り直しにすべきでしょう。



○初場所と大阪場所、連続して5人の関取が揃って勝ち越した九重部屋(千代の富士)でしたが、夏場所では5人が揃って負け越しました。勝ち越すと番付が上がり、今までよりも強い相手にあたるのですから、これは当然の結果といえるでしょう。ただ、幕内に戻った千代の国が初日の相撲で怪我をしてしまったのは残念でした。こんなに怪我の多い力士も珍しく、入門以来9年目にして7回目で9場所目の休場です。寺院の子に生まれ、小学生の時から力士への道を決めていたというだけあって、身体能力は抜群で、部屋一番の有望力士でした。ところが、その高い身体能力で他の力士が出来ないことまでやってしまうために怪我をするのだそうです。親方と同じように、前に出る相撲、怪我をしない相撲に変えてほしいものです。



○昨年2月に定年退職したばかりの前理事長の元放駒(魁傑)が夏場所中に急逝しました。享年66歳。日大(柔道部)に入学した年に、花籠親方(大ノ海)と父親の説得でしぶしぶ大相撲に入門。「黒いダイヤ」と将来を嘱望されたものの、腰高と肘の怪我で、玉ノ海梅吉をして「魁傑は未解決」の名台詞を吐かせ、大関に昇進したのは入門10年目。一方、本人の名台詞は「休場は試合放棄」で、初土俵から引退まで休場なし。誠実な人柄と真摯な土俵態度で女子学生の間で人気がありました。性格は生真面目で、大関互助会に入らず、生涯ガチンコを通し、変人扱いされたともいわれます。放駒部屋を起こし、横綱大乃国のほか、幕内5人、十両5人を育て、定年退職時に芝田山部屋に移らせた魁、若乃島が新十両になっています。

平成22年、野球賭博問題で辞任した武蔵川(三重ノ海)の後任として理事長に就任。その翌年、大相撲界を揺るがす八百長問題が発覚。八百長の存在は昔から「公知の事実」ですが、通話記録のある携帯電話が歴史上初の物的証拠として出たのです。放駒は本場所開催を中止、25人を大相撲界から追放、17人の年寄を降格にして難局を凌ぎました。しかし、時がたつにつれ、クリーン放駒に対する協会内の反発が強まり、退職後も通っていた協会別棟の相撲診療所に行っても、協会本部には顔を出さなかったとのこと。

放駒への反発には、「八百長は他でも沢山やっているのに、どうして俺だけ、どうしてうちの部屋だけ」という妬みがあるのでしょう。確かに、処分の根拠は春日錦一人の証言と携帯電話だったわけで、万遍なく行われていた八百長全体からすれば偏った処分だったでしょう。しかし、「八百長をやるバカ、やらないバカ、口にする奴はもっとバカ」という名言に、「とがめのないのを妬むバカ」が加わるとは情けない話です。あれくらい厳しい処分をしなければ、大相撲が無くなっていたことを忘れてしまったのでしょうか。



○公益財団法人として認められたあとの北の湖執行部には納得がいきません。評議員になり、すでに相撲協会員ではない元年寄3人が理事選挙で投票をしましたし、番付にも載っているのです。3月場所からは支度部屋や土俵近くで八百長に目を光らせていた監察委員の姿もありません。旧の木阿弥になるのでしょうか。

                  平成26年7月1日  真石 博之



○これでは、辞めさせられた力士は浮かばれません。

思い出していただくために、追放された関取と関取経験者を記します。

霜鳳、白馬、徳瀬川、春日王、豊桜、十文字、猛虎浪、千代白鵬、琴春日、将司、山本山、光龍、安壮富士、清瀬海、境澤、旭南海、保志光、若天狼、星風、霧の若、白乃波。

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2014年06月01日 | 相撲評論・現在の大相撲
日刊スポーツ・第3回大相撲総選挙に投票(羽黒蛇)



第3回大相撲総選挙を実施中です! ぜひ投票ください!http://t.co/V90VEJr3dO という日刊スポーツ佐々木デスクのツイッターを読んで投票。理由を書くようにと書いてあったので、




安美錦・佐田の海・松鳳山



理由:3人のうち誰かが5月場所の技能賞をとるべきでした。








日刊スポーツHPより http://q.nikkansports.com/u/a/quiz/2872 ←投票はこちらから

幕内力士の人気NO・1は誰か?

日刊スポーツでは、今年も第3回大相撲総選挙を実施します。夏場所番付の幕内力士の中から、好きな力士を3人まで選んでください。

投票は6月6日午後1時まで。1日1回投票できます。

抽選で10人の方に、投票した力士のサイン入り色紙をプレゼントします。ぜひ参加してください。

結果は6月11日ごろ発表します。






2012年第一回



1位稀勢の里 132

2位白鵬    81

3位安美錦   72

4位以下、鶴竜、豊真将、松鳳山、琴奨菊、妙義龍、隆の山、把瑠都






2013年第二回



1位稀勢の里 298

2位若の里  237

3位妙義龍  211

4位以下、鶴竜、白鵬、安美錦、日馬富士、舛ノ山、㔟、隠岐の海、








羽黒蛇