赤い彷徨 part II

★★★★☆★☆★★☆
こんにちは、アジア王者です。↑お星さまが増えました。

半島横断(5) チョンジュ凱歌

2007-10-11 01:26:37 | ぶらりアウェイの旅
前回のつづき

 ようやくチケットもぎりを通過してスタジアムの中へ。こちらのゴール裏を除いてスタンドはまだ閑散としていた。ピッチの上では何やら太鼓の演奏の練習が繰り広げられ(後でわかったことだが、ハーフタイムショーに向けた練習だったらしい)、メインスタンド側ではワシントンらが現れベンチに腰掛けており、のんびりムード。最近岡田主審らに対してよく行うように、試合前にピッチ内を巡回する審判団がこちらにやってくると大きな拍手で迎える浦和ゴール裏。そしてこれに拍手で応える審判団。まあ、これについては結果的に成果があったのかもしれないw



やがて選手たちがアップのためにピッチに現れると、「赤き血のイレブン」のチャントが始まり、いよいよ臨戦態勢に。陽が沈み徐々にあたりが暗くなり、開始時間が迫るにつれて人が増えていく向こう側のゴール裏とバックスタンド。何だかんだと3万人以上の観衆が集まったようだったが、試合中の反応を見る限りじゃバックスタンドは普段サッカーを見てない、恐らくはヒュンダイグループの企業動員っぽい感じがありあり。

浦和のゴール裏にも、物珍しさか韓国人が何人か紛れ込んでいたのを目撃。うちひとりのおっさんは「オノシンジ、オノシンジ」と呟きながらうろうろしていて、変なところで伸二の知名度をあらためて実感させられる。そうこうしているうちに、まだ練習中だってのに向こうのゴール裏2階で発炎筒が焚かれる。人間やっぱり火を見ると興奮するのか、これでさらにテンションが上がる。試合開始後は浦和側でも無数の発炎筒が焚かれ、日本国内では消防法の関係で禁止されていることもあってか興奮はますますもって高まり、いよいよ血沸き肉踊るといったモードに。


この日の発炎筒第一号。怪しい手が透けてますがシンレイ写真じゃありません・・・

試合内容については今更語るまい。自分もかなりテンパっていて、ハーフタイムには若干息苦しくなるほどだったが、そんななかだからこそ開始早々の達也のゴールには大いに勇気づけられた。普段のリーグ戦なら開始早々のゴールにはきょとーんとしてしまうのだが、いきなりネジが2、3本飛んで行った感じ。

相手のゴール裏が発炎筒を焚いて火力に物を言わせてくることはある程度想定していたが、まさか試合中のピッチの、しかも「浦和の選手に向けて」ロケット花火のようなものを打ち込むことまでは予想していなかった。そして審判の判定が気に喰わない時や試合後には無数のペットボトルがピッチに投げ込まれ(ただしこれについては浦和でも投げ込んだバカがいた)るなど、物々しい雰囲気。挙句の果てには試合終了時にチョンボクの選手が審判に中指まで立ててたようで、まあなんつーかもう・・・・・・・面白いねw

試合を2×0で快勝して意気揚々としていたところ、突然打ち上げ花火が上空に2発上がり、盛り上がる浦和ゴール裏。自分とこのクラブが無様に負けたのに花火を上げるとは、スタジアムの雰囲気と違って随分と懐の深いものだと感心しつつ、しかしまた随分と凄い勢いで警備がこっちに走ってくるななどとその場では思っていたのだが、後でどうやらこっちのゴール裏が上げたものだったことを知る。チョンボクに負けたのはせいぜい火力くらいだとな思っていたが、結局火力でも浦和が圧勝だったようでw

それにしても"We Are Diamonds"歌ってるときはさすがに目から汗が出ました。いや、常日頃から滝沢先生に「勝ってから泣け」って指導されてるオレは途中で堪えましたけどね。

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さて試合後。チョンジュ市内の中心部に宿を取っていた自分は、簡単に言えば埼スタで試合を観た後浦和駅近くに出て宿泊先に行かねばならないような状況であったため、タクシーを拾う必要があった。念のため試合前にボランティアの日本語が出来る女の子に聞いたみたところ、タクシーは試合後ホーム側の方で拾えるとの案内を受けていたのでその点ではやや安心していたのだが・・・。

さすがに試合が物々しい雰囲気で終わったこともあり、念のためユニの上に用意しておいた真っ黒なパーカーを羽織ってカモフラージュしてホーム側へ向かった。タクシーを求めて道路をうろうろするものの、これが一向に捕まらない、というかタクシーがそもそもあんまりいなくて、これはさすがに焦った。一応前述のボランティアのお姉さんたちの名誉のために言っておくが、タクシーについて質問したところ、彼女ら自身ではわからなかったため、わざわざ駆け足でスタッフに聞いてきてまで回答してくれたので、彼女たちなりに最善は尽くしてくれたのである。ちなみに大学で日本語を勉強している女子大生だったようで、にこやかに応えてくれて大変好印象だった。つか駆け足で戻ってきて息を切らせながら応えてくれたときはむしろ萌えたw 要はスタッフ氏ねと。

引き続きうろうろしていると、赤装束の人たちが道端で佇んでいたため、すがるような思いで話しかけてみると、やはりチョンジュ市内のホテルに行くためにタクシーが必要なんだとかで、こちらも焦っていたため、図々しくもその方々3人と一緒にタクシーを待たせて頂くことに。このお三方、どうやらソウルから電車でいらして、車内で知り合った男性1名とご夫婦の計3名だったらしいのだが、電車で来るとは本当に逞しいわ・・・。

しかしそれでもタクシーは来ない。挙句に車で通り過ぎるチョンボクサポに中指を立てられる。まあ負け犬どもに「車の中から」中指立てられたところでむしろ「おうおう、くやしいのうw」という感じでうれしくなっちゃうくらいなんだけど、正直このときはもうそれどころじゃねーんだバカって感じで。。。

そうこうしていると目の前でRV車が停車。車内にはチョンボクの蛍光緑のユニが見えたので、すわ、喧嘩を売られるか、と構えたところ、車内の温和そうなチョンボクサポは意外にも「どこまで行くんだ?チョンジュ市内なら送っていくぞ」と。メガネかけた小太りなチョンボクサポがこのときばかりは天使に見えました。

車内では英語やら韓国語やらでサッカーを中心にいろいろと話した。曰く「ポンテはいい選手だ」「マグノ・アウベス(以前チョンボクに所属)は今でもオレたちのヒーローだ」などなど。一人の方が韓国語がある程度話せるようで、おかげでかなりコミュニケーションが取れていた。自分は学生時代韓国語が第一外国語だったなんて口が裂けても言えないw

そんなわけ無事チョンジュの中心部まで送ってもらい、握手をして御礼を言って別れたのだった。こんなとき、お礼として渡せる浦和グッズを余計に持ってきておくべきだったと激しく後悔。長年使っているお気に入りのタオマフはさすがに渡せなかった小物なオレ・・・。でも本当にありがとう、いやカムサハムニダ。助けてもらったから言うわけじゃないけど、韓国人のこういう情に厚いところは、オレ結構好きです。それだけにあの「沸点の低さ」が何とも惜しい。

その後は地図を頼りにうろうろして、一路宿泊先のチョンジュクワングワンホテル(全州観光ホテル)へ。途中ヤンキー車みたいなのが大音量で音楽を流しながら走り去っていって、へえ韓国にもあんなのいるんだなあなどと思っていると、どうも聞き覚えのある曲。耳を凝らしてみると「♪らぶれぼりゅうしょん つぅうぇんてぃわん フーッ!」っていまどきモー娘かよ!w

無事にホテルに到着。フロントにはそれぞれ制服と、なぜかジャージにピンクのヤンキースの帽子を被った2人のお姉さんが。2人ともかわいくて愛想がよかった。「おやすみなさいー」とか日本語で言ってくれて再度萌えました。ちなみに韓国では女性が野球帽を被っている姿をテレビでも街角でも良く見かけたので、恐らく女性のファッションアイテムとしての地位を確立しているのだろうと思う。

部屋はせっかく韓国に来たのだからと、敢えてオンドル(韓国の伝統的床暖房)部屋にしてみたが、まだ暑い時期にオンドルに泊まっても板の間に布団敷いて寝るので背中が痛くなるだけだったわけだが(´・ω・`) シャワーを浴びてテレビをつけると試合の録画中継が放送されていて、あらためてチョンボクの許しがたいラフプレーに憤るとともに、2点目が一番酷いラフプレーをしていたチョンボクの4番のクソオヤジのオウンゴールだったことを知り大爆笑。ええと、韓国語で「天罰」ってどう言えばいいんだっけ?


オンドル部屋

(まだつづく)