寒流と暖流が交わり好漁場として知られる宮城県南三陸町の志津川湾。4日朝には、昇る太陽の下にもうひとつの太陽が続くように見える蜃気楼(しんきろう)「だるま朝日」が、海面に浮かぶワカメやカキなどの養殖いかだを照らした。

 同湾は「海の森」といわれる藻場が豊富だ。藻類と海草が魚の産卵場所や水質浄化の役割を果たし、多様な生き物の繁殖やカキなどの養殖を支えてきた。

 その藻場も津波で大被害を受けたが、岩礁に根を張るコンブ類の多くはしぶとく生き残り、町ネイチャーセンター準備室によると「ほぼ震災前の水準に戻った。自然の回復力に目を見張る」。

 コンブ類2種の南限と北限に近いという湾の希少性から、町は、国際的に重要な水辺を保全するラムサール条約への来年の登録を目指している。「被災地復興を国際的にアピールする機会にもなる」と期待を込め、密集していたカキ養殖のいかだを一部で間引くなど、町は環境に配慮した地域づくりに力を入れている。