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右肩あがりをめざして

後半の子どもたちの成績を見ていると、いくつかパターンがあります。

1 上がったり、下がったり

一番、多いパターンがこれ。良くなった、と思ったら、次の模擬試験で失敗したり、またちょっと良くなったと思ったら、また下がったり。

波があるので、どこがこの子の力だろうかと計りかねるところがあります。もちろんいいところがあり、悪いことがある、ということが入試でも起こりうるわけで、安全校では悪いときでも合格できるように、挑戦校は良い面が出たときに、届く程度に、と考えれば無難ではあるものの、なかなか決めきれないのが正直なところでしょうか。

こういう子は、まずとにかくミスを防ぐ、ということに力を入れた方が良いでしょう。成績が悪いときは、ミスが重なる。ミスが重なると力がついてきていたとしても、なかなか点数に結びつかない。そつなく解けるようにするために、具体的な方法を考えて実践することです。先日チェックリストのお話をしましたが、自分のミスを見つけるルーティンを身に付ける必要があるでしょう。ミスが減れば、自然、勉強していれば、成績は必ず上がってくるものです。

2 下がる

これは一番、まずいパターン。下がるのは、ひとつには勉強量が不足している、ということもありますが、もうひとつは精神的に何等か追い詰められている場合があります。例えば今までできたはずの問題がわからない。試験に行くのも何となくいやがる感じがする。

実は自信を失っているのです。

先先の結果ばかりを心配し始めている可能性が高いでしょう。例えば、学校で受験の話が出てきて、「自分だけ落ちたらどうしよう」みたいなことを考え出したり、「僕が落ちたらお母さんはがっかりするだろうなあ」と思ったりする。ならば、がんばればいいじゃあないか、というのは簡単だが、そう子どもの気持ちは切り替わらない。

その辺を良く見ていないと、さらに事態が悪くなります。「お父さん、お母さんはあなたがどんな学校に行っても応援してあげるからね」と話してあげるべきなのですが、しかし、とはいっても模擬試験の結果を見てがっかりしているお母さんの姿を見れば、当然、子どもたちは心配します。

用心しないといけないのは、結構明るく振る舞っている子が実はそうだったりするケース。「ノーテンキなんだから」と思ってしまうと、子どもの問題点が見つからなくなります。

成績が下がってきたら、やはり原因をしっかり探るべきでしょう。私は良く、子どもたちに「やさしい問題」を宿題に出しながら、「できること」を確認させていました。本当は勉強すれば力はどこにもいかない。ただ、それが出せないだけなので、気持ちの問題が大きい部分はあるのです。

良いところ見つけて、褒める。そして、結果を心配させない。心配したところで、結果が出るまでわからないのだから、心配するよりもできることを積み重ねた方が良い、と気持ちが切り替えられれば一番良いので、何とかその方向に持っていくようにコミュニケーションを増やして行く必要があるでしょう。

3 右肩上がり

スタートがどんなに悪くても、右肩上がりになっていれば、こんなに心強いことはない。調子に乗ってくるし、勉強にも手ごたえを感じるから、さらにがんばるようになる。ミスに対する工夫もいろいろ生まれ、本当に間違えなくなったら、最後の模擬試験で偏差値が不足していても、入試のころには合格圏に達している場合が少なくありません。

つまりは、これから右肩上がりを強く意識していく必要があります。

データの見せ方でも、勉強の姿勢でもいいから、なるべく褒めて、調子に乗っているぞ、と思わせることが大事。これは、まわりの人間が特に工夫していく必要があります。別にはれ物にさわるような態度は必要ないし、注意すべきことは注意すべきだけれど、やはりバランスが大事でしょう。


3つ叱って5つほめて7つ教えて子は育つ。」という言葉がありますが、子どもたちを上手に導いてあげてください。


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