「もしもし、お母さん、サスケが死んじゃった!」
めったにかかってこない二女からの電話。
「ええ?いつなの?」「いま・・・」泣き声。
2週間前、後ろ足に出来た腫瘍らしきものを切除して今日は抜糸に行って
帰ったばかりだという。
とる物もとりあえずバスに乗る。デパートの地下を通るから花束を買う。
暖かい電気カーペットの上でなでて泣いている。
やわらかく温かく生きているのと変わらない。
5.2kGもあるからなでていてもうちのペンパの骨ゴツゴツとは大違い。
気持ちはわかるがとりあえず床の冷たいところに移す。
こんなことってあるのか、という信じられない気持ち。
臆病でめったなことに他人の前に現れないサスケだった。
昔、二女が海外出張の折、1週間ほど朝のえさやりに通った。
「今日は母ちゃんが帰ってくるよ。ばあちゃんが来る最後だよ。おりこうだったね」
というとどこからかふっと現れてシャリときちんと並んで私を見送った。
いかにも人間語を解するような賢そうな表情だった。
大きな病院の行き帰りでストレスが嵩じたせいだと二女は言いながら泣く。
シャリとサスケは亀のコハクとともに独身の二女の大切な家族だった。
でも生きているものは必ず死ぬ。2年前の夏の盛りにシャリが死んだ。
そして同じ15歳で今サスケを亡くした。
泣いている二女に「生きているものは必ず死ぬ」と
泣かないばあさんは娘と自分に言い聞かせる。
この日病院での<人間ドック>ならぬ猫の精密検査もしているからその結果から
突然死の原因も明らかになると思う。
猫のお好きな方は昔二女が作ったホームページの中の幼いシャリとサスケ
を見てやってくださるとうれしいです。
http://www.geocities.jp/nekome_hanten/index.html