ブログ「教育の広場」(第2マキペディア)

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「天タマ」第04号

2006年09月12日 | 教科通信「天タマ」
「天タマ」第04号 (1998年10月30日発行)

市立看護専門学校 哲学の教科通信

 皆さん、〔恋愛のタイプの〕心理テストの結果はいかがでしたか
? 自分の思っていた通りの「恋愛のタイプ」と出ましたか? 

 「先生は私たちが興味を持っていることまでわかっているなんて
、すごいな!と思った」と書いてくれた人もいましたが、皆さんが
率直な感想を書いてくれるから一人でに分かってくるのです。授業
は教師と生徒の共同作品です。

 それにしてもこの心理テストに取り組む皆さんの態度は真剣その
もの。圧巻でした。

 「好意度診断テスト」の方はどうでしたか? 何番で盛り上がり
ましたか? アンケートを取ってみましょうか?

     組織はトップで8割決まる

──ここの病院の或る病棟に実習に行った時、私は「何て居心地の
よいナースステーションなんだろう」と、そこに入った瞬間に思い
ました。その前の実習ではすごく居づらい雰囲気で、そこに居たく
ないと感じていました。それを先生(指導教員)に話したら、「こ
こは婦長さんがしっかりしているってことだよ」と教えて下さいま
した。

 確かにその通りだと思います。そこのナースステーションでは、
看護婦同士、看護婦と医師、助手、その他の医療スタッフとの間で
穏和な会話が時々ありました。もちろん婦長も含めて。そして、常
に病室に患者さんの様子を伺いにいく婦長の姿が見られました。前
の病棟はみんな黙々と働くばかりで、余裕なんてものはなく、堅苦
しいだけだと思いました。

 ★ とても好い実例を紹介して下さったと思います。これはこの
通りだと思います。しかしここで終わっては哲学の授業の意味があ
りません。ここに止まらないで、もう一歩先まで考えて欲しいので
す。そこで、次の問題を考えて下さい。

 A病院では、分かりやすく点数で表しますと、婦長の出来が90点
から30点まで大きくバラついていたとします。B病院ではそのバラ
ツキが小さく、どの婦長も60点以上だったとします。この違いは何
によって説明されるでしょうか?

──講師の考え。総婦長と院長の違いによる。

 「ここのような大病院では院長の目が全てに行き届くのは難しい
のではないか、忙しいから」という同情論もありました。これから
皆さんも世の中に出ていくと「忙しい」という言葉をよく聞くと思
います。

 「忙しい」って何でしょうか。「仕事がある」ということだと思
います。しかし、全体を見るのはトップの「仕事」ではないのでし
ょうか? 忙しいからしなくて好いというものではないと思います


 つまり、ここには2つの場合があります。(1) 仕事量が人間の能
力を越えていて、誰がやっても無理な場合と、(2) そのトップの能
力と情熱が不足しているために、すべての任務を全うできない場合
と。

 (1) の場合は組織を小さく分割するしかないと思います。(2) な
ら、適任者に代わってもらうべきでしょう。「忙しい」の中身を検
討しないで、これを放っておくのは正しいとは思えません。

   欠点を根本的なものと部分的なものとに分けること

──私たちが嫌いになる先生は、根本的に60点以下だから、アンケ
ートをしても意味がない。問題はそれをどう伝えるか、どうやって
その先生に分かってもらうか、である。根本的に嫌いな人は、その
人の全てを受け入れられなくなっているわけで、その人が学校を辞
めるか、私たちがやめるか、どちらかしかない。何かが起こらない
限り、和解は絶対にない。お互いがお互いをさけ、悪循環を引き起
こす。生理的に受け付けないとはまさにこの事なのだろうか?

 ★ 少し感情的ではないかなという気もしますが、正直な気持ち
ではあるのでしょう。どうしたらよいのか、授業で考えましょう。

 このテーマは難しかったようです。設問を、「授業要綱の(4) を
どう考えるか」とすると具体的になって考えやすかったかもしれま
せん。

   下位の人の話を聞くときには、その場で反論するな

──私達は〔カウンセリングの〕授業で、人との接し方、聴く態度
などをならう。人の話を聴く時は、否定・批判をせず、まず共感的
・理解的な態度で接するべきだと、先生達が教えているのに、その
先生達の中に、私達の言ったことに対してすぐに反論・批判をする
人がいる。これでは説得力がない。

 ★ 同趣旨のレポートがかなりありました。私は、哲学の第1前
提は感情的にならないことだと思っています。私の通っていた大学
院の或る教師はよく大きな声を出していました。私は教室から出て
きてしまったこともあります。

   アンケートの発言(「自分の考えが一番正しいと思い込んで
いる」及び「理解不可能な人」)について

──生徒の意見はひどいと思う。今まで、先生の授業を受けて、ど
う思っていたのか。心の中で批判ばかりしていたと思う。かわいく
ない。信頼関係が成立していない。生徒は根本的欠点と思っていた
。のに、約束だった上の人への相談をせず、アンケートで言ってい
る。ルール違反である。

 ★ 「理解不可能な人と簡単に言える人の方が、私にとっては理
解不可能な人です」と反発していた人もいます。逆に、「アンケー
トは名前を書かないから、どんな意見が出てもしょうがない。書い
てもよい範囲があるなら、〔悪い事と同様に〕どんなに書きたくて
褒めたくて、良いと評価したことも制限されなくては、フェアじゃ
ない」という意見もありました。この問題は30日の授業で詳しく取
り上げます。

   アンケートでの記名・無記名についての講師の考え

 (1) 根本的に悪い先生だと思っている人は、管理者に抗議してい
るはずだから、出席している人は一応「先生」と認めているはずで
す。すると、アンケートに欠点(と思うこと)を書くときでも、部
分的な欠点なのだから、原理的には、記名で言えないことはないは
ずです(部分的欠点を指摘されて仕返しするような教師は、その点
で「根本的に間違った教師」です)。私は、指摘してくれた人の名
前を見て、その人に対して「さすがに○○さんだな」と思ったこと
が何度もあります。記名の大メリットです。

(2) では、無記名のアンケートは要らないのか? いや、必要。
名前に用のない統計のためのアンケートの場合。記名では「ごます
り」等と思われるから書きたくない褒め言葉を書く場合。一般的に
言って、「人を褒めるのは陰で言い、批判は直接言う」というのが
原則ではないでしょうか。去年、1組のTさんの異才を2組で褒め
ました。Tさんには、「2組であなたの噂話をしちゃった」と言っ
ておきました。

     心理テスト

──自分の恋愛のタイプは、自分が考えていたのとは反対で、「本
当に?」って感じです。なかなかおもしろい。型にはまった恋愛な
んてないと思いますが、これからの私の恋愛に生かしていくのもい
いと思う。今は相手がいないのでこういう結果なのかもしれないけ
れど。相手ができたらきっと変化するでしょう。その変化が恋愛の
おもしろさ、と思っている私は、やっぱりルダス型!?でしょうか。

     「天タマ」応援歌

──「天タマ」をいつも楽しみにしています。「あ、これ私と同じ
こと考えてる」とか、「みんなこんなことを考えてるんだ」と分か
って、とっても楽しいです。病院の人や学生、先生達と「天タマ」
みたいに意見の言い合える通信があったらいいのになあ、と思いま
した。

──「天タマ」はいつもいろんな事を考えさせてくれるので、とて
も好きです。前回の授業で考えたことについて、先生がもう一歩ふ
みこんだ意見を書いてくれるので、こういうことなんだ、と再確認
するとともに、自分の考え方の偏りというか、足りない部分が見え
てくる気がします。~大変とは思いますが、ずっと続けていっても
らいたいです。

     その他

──授業の回数を重ねるごとに、だんだん先生のことが分かって(!
?)きたみたい。先生は私たちのことを〔高校生以上になると先生と
生徒の〕考え方は同じ、と言ってくれて、嬉しかった。先生方は立
場は上でも、そういう気持ちで接してくださると、私たちもやる気
になります。

 ★ これは単純ではないと思います。要点だけ言います。人間の
考え方は、2歳で言葉を使い始めて第1段階。3歳で「どうして?
」という発問を覚えて第2段階。15歳前後で思春期になって「人間
とは何か」を考えるようになって第3段階に達します。皆、ここで
「考え方としては」終わりです(だから高校生以上は教師と考え方
は同じ第3段階なのです)。ヘーゲルという哲学者が初めてこの上
の第4段階を発見しました。

──昨年までのことはいざ知らず、今年の哲学の講義はとても関心
が持て、興味がそそられる。前日に、「明日はどんな講義内容なの
かな?」とか、「レポートの感想はどんなかな?」とか、つい考え
てしまう〔・・恋人に会いに行く雰囲気ですね・・〕。この講義で
は、今まで見えなかった問題について問い正してみたり、牧野先生
個人の考えや、仲間の考えを知ることが出来るからである。

   スイートポテト・ババロア

  ──味覚の秋です。ヘルシーでシックな一品を!──

 (1) ココアスポンジをパウンド型で焼いておきます。160 度、30

 材料・・卵2個、砂糖65g,粉50g,ココア大さじ1、牛乳大さじ1

 (2) ゼラチン8gを40ccの水でふやかしておきます。
 (3) さつまいも約150gを蒸して裏ごしして、さつまいもペースト
100gを作っておきます。

(4) 牛乳60ccに砂糖30g を加えて、約60度に熱し、火を止め、(2
) を加えて溶かします。
 (5) 別のボールで卵1個をほぐし、(3) を少しずつ混ぜ合わせま
す。

 (6) (5) に(4) を少しずつ加えてよく混ぜ合わせます。ブラン
デー15ccを加えます。
 (7) 生クリーム140cc に砂糖20g を加えてホイップします。(6)
を加えて混ぜます。

 (8) 紙を敷いたパウンド型に(7) の半分を流し、冷蔵庫で冷やし
ます。
 (9) 型より一回り小さく切ったココアスポンジを中央に置き、残
りの(7) を流し、底になるスポンジをのせて冷蔵庫に。
(森山サチ子『和風ケーキ』ひかりのくに社、から)


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