「飯田市上飯田の大平街道で、一匹の犬が一週間以上も飼い主を
待ち続けている」というニュースが、「多く読まれた記事」の
トップになっている。
大平街道は、私も虚無僧で越えたことがある。車の通りも少ない。
人など通らない。まして今は雪で通行止めになっているという。
飼い主に置き去りにされたのだろうか。以前にも、鎖でつながれた
まま 山中に放置された犬がいた。ひどい飼い主だ。
写真で見ても、ガリガリにやせ細っている。雨や雪に打たれても
じっと道路に座りつづけ、道の先を見つめているという。
渋谷駅の「忠犬ハチ公」は、飼い主の帰りを待っていたの
かもしれないが、実は、通行人が可愛がって餌をやって
いたので、餌がもらえるので毎日来ていたのだとか。
標高1000mの積雪の大平街道では、餌をくれる人もいない。
この記事で「救援」に誰か向かったのだろうか。東日本震災や
福島の原発被災地域の犬同様、哀れさを誘う。
以前、高野山の山中を虚無僧でさまよっていた時、一匹の
茶色の犬が現れた。近くに民家はない。人恋しいらしく、
尾を振って、私の着物の裾にまつわりつき、どこまでも
どこまでも着いてくる。弘法大師は犬に導かれて、高野山の
霊地にたどり着いた。私もそんな不思議な気持ちになった
ものだった。