司書教諭日誌

福島県の公立小学校勤務。小規模校勤務ですが、司書教諭に任命されました。
日々の取り組みや学級指導を綴るブログです。

データ整理・夏休みの図書貸し出し

2014-07-26 20:40:15 | 図書館整備
夏休みに入り、時間がとれるようになってきたので、あれこれ始めました。

7月22日(火)

 寄贈された本の受け入れと掲示
 定期的に本を送ってくださる団体(に属する個人の方)があるのです。
 おひとりは2冊。筆文字でお便りを入れてくださいます。
 今回は絵も入っていました。
 別な方は、昆虫や生き物の本を中心に数冊。
 夏休み前なので、それに合わせた本を送ってくださったのでしょう。
 一冊一冊、メッセージも入っていました。
 ほんとうにありがたい話です。

 寄贈された本の掲示の道筋を作り、展示してきました。
 まずは廊下で展示、次に図書館内の棚、それからそれぞれの棚へ。
 という道筋を作っておけば、展示する側も楽かな。


23日(水)

 子どもたちの貸し出しカードを元に、貸出記録データをまとめました。

 ① 月ごと・学年ごとの貸し出し記録データ
   学年の人数がバラバラなので、平均も出しました。
   棒グラフにもして、1学期の貸し出しについての考察も添えてA4用紙1枚にまとめました。
   業務報告みたいなものでしょうか。
   実は、今までこういうことは司書さんにお任せしていたので
   学期ごとに統計をとったり、年度でデータをまとめたりすることがありませんでした。
   
   でも、まとめてみるといろんなことがわかって興味ふかいし、
   数字データというのは、管理職に対して「報告対象」になるなと気づきました。
   何も報告されずにスルーされた存在だったものから、「報告対象」になるってことは、
   気に留めてもらえる可能性が高くなるってこと?

 ② 貸し出し個別データ
   1学期にどんなジャンル(類)の本を何冊借りたか、一人一人のデータをまとめました。
   公立図書館でやったら、プライバシー侵害ですね。
   (ちなみに、類はタイトルからの類推なので、完全なものではありません)
   でも、担任に渡したら「いいデータだ」と喜ばれました。
   役に立てばありがたいです。
  
   本当は月別にしようと思ったのですが、煩雑になるので、学期ごとにしようと思います。


24日(木)出張

25日(金)図書貸し出し日

  今年から始めた夏休み中の図書貸し出し。
  でも、始まったばかりのせいか、23日も25日も、誰も利用がありません。
  
  そこでアピールするポスターを7枚も作って貼り、
  「ほんをかりるひとはこちらへどうぞ」という文字を一文字ずつバラバラに
  プール用玄関から図書館へつながる廊下に貼ってきたりしました。
  
  誘導文字にひっかかった子どもが図書館に吸い寄せられたのですが
  残念ながら入っただけで戻ってしまいました。
  めげません。








「はるかなるアフガニスタン」

2014-07-26 19:44:41 | 読書録
今日は、とある読書会でレポーターを務めさせていただきました。
夏は戦争児童文学というとことで、選んだのは「はるかなるアフガニスタン」です。

はるかなるアフガニスタン (文学の扉)
クリエーター情報なし
講談社


2012年度の課題図書でした。
最初に読んだときに、全く異なる世界に住む二人が文通して相手を理解していく過程が
なんて面白いのだろうと、印象に残っていた作品です。

<あらすじ>

アメリカのイリノイ州に住む6年生の少女アビーは、勉強をサボっていたため落第寸前。
中学へ進学するため、外国の子と文通してその経過や結果を報告するという特別課題ExtraCredit(原題)を与えられた。
山が好きだからという単純な理由で選択肢の中からアフガニスタンを選んだが、手紙を受け取ったアフガニスタンでは大騒ぎ。
英語のできる優等生サディードが返事を書くべきだが、村の伝統では子どもといえど男女が文通するなんてもってのほか。
そこで、サディードの妹アミーラが手紙を書くのをサディードが助けるという形に。

最初は「ばかばかしい」と思いながら手紙を代筆していたサディードだったが、「自分ならもっとずっとおもしろい手紙が書ける」ともう一通の手紙をしたため、両方を教師に渡した。
教師が出したのは、サディードの手紙の方だった。
アビーはサディードが一生懸命書いた手紙を読み、生活習慣の違い、価値観の違い、そして共通点を見出して驚き、夢中で文通を楽しみ始める。
一方、サディードも別世界のように感じられたアメリカの少女が「現実の人間になった」と親近感を抱くようになり、妹の代筆である事情や自分の考えなどを率直に知らせる手紙を書く。
深い心の交流が始まるかに思われたが……



ネタバレ注意!

●環境は厳しくても

今回、レポートするにあたり、ネットで少しアフガニスタンのことを調べてみた。
すると、数日前に大規模な自爆テロがあったとか、アメリカ軍がまだ大勢駐留しているという情報がすぐにヒットした。
アフガニスタン戦争(正式な呼び名ではないそうだが)は、このところあまり大きく報道されていないが
まだ完全に収束したわけではなかったと改めて気づかされ、ショックを受けた。

そういえば、この物語の最後はすっきりさわやかなハッピーエンドではない。
むしろ、国境を越えて育まれはじめた二人の友情が、現実の荒波や日常の慌ただしさに飲み込まれてあっけなく終わったという読み方もあるだろう。
(アビーの作った展示物の行く末が、まさに象徴的だ)

サディードを取り巻く環境は、本当はもっともっと厳しいものかもしれない。
アビーの周りのアメリカ人の反応も、もっと批判的なものかもしれない。
いや、アメリカのごくごく普通の、平和に生きている国民の反応としては逆にリアルなのかも。

しかし、最後の最後で作者は、美しい言葉が余韻を残すエンディングを用意してくれた。
儚いながらも、いいエンディングだ。
それは、二人の交流が「手紙」の形をとったからだろう。
本来、交流の生まれるはずのない二人を結び付けたのは、英語という「言葉」の力によるものだ。
もしも顔を合わせただけの出会いだったら、これほどまでに交流は深まらなかっただろう。
時が過ぎても、二人の心がつむいだ「言葉」は残り、生き方をじわじわと変えていくのだ。


●文通文学の面白さ

文通文学(?)といえば、超メジャーなところでは「あしながおじさん」も
私の好きな「チャリング・クロス街84番地」(ヘレン・ハンフ著)もそうだけど
(つい最近、続編の「ブルームズベリ通りの公爵夫人」が読めて嬉しかった!)
二人の間に自然にかもし出されていく、深い理解と友情を読むのが、読んでいる方も楽しい。
(そういえば、私も昔は文通魔で、1年に500通は出していたっけ)

この作品でも、二人の手紙がぐっとくるのだ!
面と向かったら言えないことでも、手紙だとかけてしまえるらしい。


●きっかけ

読書会では、お決まりのように「今の子はこういう本を読まない」ということが話題になる。
(そういう大人は果たしてどのくらい読んでいるのだろうか?)
たしかに、私も課題図書でもなければ手に取らなかっただろう。
アビーと同じように、アフガニスタンなんて遠い世界のことだと感じて、ニュースで報道されても、あまり気にもとめなかった。
だからこそ、読むって、知るって大事だと思う。

うちの学校の子たちが長崎に行く前に、珍しく力説した。
「1冊でも2冊でも読んでいって。読めば絶対に役に立つから」
素直な子どもたちなので、授業で頑張って読んだらしい。
読んで知ったことは、長崎に行ったときに必ず役に立つはず。
本で知ったことがきっかけになって、見るもの・経験したことが違う目で捉えられるはず。
そんなきっかけを作る大人になれたら嬉しい。



読書会では、参加者から貴重なご意見をいただきました。
ありがとうございました<(_ _)>


ところで、話題に出た本のタイトルが思い出せなかったのですが、
わかったので、備忘録代わりにここにも書いておきます。

クロティの秘密の日記 (くもんの海外児童文学)
クリエーター情報なし
くもん出版


アメリカ南部奴隷の少女クロティが、坊ちゃんが勉強する傍らで扇係をするうち文字を覚え、こっそり日記を書き始めます。
奴隷が読み書きすることが許されない時代に、読み書きする力で人生を変えていく少女の話でした。
こちらも面白かったです。



夏休みの図書貸し出し

2014-07-20 20:05:03 | 図書館整備
今の学校は、夏休み前にひとり5冊貸し出しをしてきたそうです。

ひとり5冊借りたとしても、150冊。

問題は貸し出し方法で、今まではプラスチック・ファイルを
ひとり5冊ずつ作って持っていました。
でも、通常貸し出しは1冊なので、のこり4冊分のファイルは図書館にずっと置きっぱなしなわけです。
使わないファイルがぞろっと100冊も(卒業生分もまぜるともっと)並んでいるのはどうかと思い
代本版がわりのファイルはひとり1冊にして、のこりは紙で作ることにしました。
色画用紙に「特別貸し出しカード」と名前を書いた紙を貼り付けて穴をあけただけのものを・・・

ラミネート加工もせず、ブッカーで補強もしていません。
かなりしょぼいものですが、それには訳があります。

なるべく近いうちに、私は代本板の制度をやめたい のです。

今のままですと、本にラベルがないし、子どもたちが本の並びを理解していませんから
元の棚に戻すのが不可能だから代本板を使用するのは仕方がないと思います。
でも、自分の名前がでかでかと書かれたファイルが本棚にささっている光景って
やはりよくないと思うのです。
まあ、うちの子どもたちは素直なのであまり気にしないかもしれませんが・・・

前の職場でも赴任してすぐに代本板を撤廃しましたが、
何も問題はありませんでした。

というわけで、代本板代わりの、しょぼい色画用紙製貸し出しカードを100枚ほどせっせと作っていたのでした。


それから、どうしても我慢できなくなって、図書館に私物の本を入れてしまいました。
「動物と話せる少女リリアーネ」1~5巻
「階段オウマガドキ学園」7冊
「ちびギャラ」1~7つ半
「しずかな日々」
「ぼくはつばめのデザイナー」
「僕と未来屋の夏」など
学期末の「こんなことやってる場合じゃないだろう」時期に、せっせと受け入れてブッカーをかけてました。
でも、さすがに売れ行きがよかった!
ほとんどが借りられていきました。
とくに高学年女子には「ちびギャラ」が受けたようです。
ちびギャラ
クリエーター情報なし
サンマーク出版


そんな新着図書を宣伝しようと、残業して図書便りも作成しました。
図書便りには、感想文の本選びのコツも載せておきました。

貸し出し日の昼休みに一回だけカウンターに立ち、本選びに迷う子に声をかけて勧めまくりました。
感想文を書く本をどうしようと迷っていた5年生の子には、全然売れない課題図書コーナーで「よかたい先生」を勧めてしまいました。
よく考えると、あれは中学年の課題図書なんですが。
でも、8月に長崎に行くんだったら読んでおいて損はない本だと思うのです。


ようやく夏休みになりました。
あまり分析してこなかった貸し出しデータをまとめたり
個人カルテを作ったりしようと思います。
せっかくの少人数、いい方向に生かしたいものです。



3年国語「本と友だち」

2014-07-20 19:54:29 | 授業支援
3年生担任から「国語の『本と友だち』という単元で図書館ツアーしてもらえませんか?」
と依頼され、水泳後の6校時という忙しい時間でしたが、図書館の利用指導をさせていただきました。

事前に打ち合わせ(雑談程度)をして大体の学習ラインと日程を決め、
授業案と資料を見せて了解を得ました。

今回の授業は、夏休みの図書貸し出しの本の選び方がメインです。
図書館の本はすべて「分類」されていることを知らせ
「分(わける)類(仲間)」の定義も押さえました。

大雑把にいうと、1~8類が「知識の本」
9類が「読み物」
知識の本にはどんなものがあるか、ツアーに出発です。

調子にのって、三角形のツアー旗を持って「ここは○○の棚です」などと説明し
手に取ってパラパラめくってもらいました。
9類や絵本が作者や書名順に並んでいるわけも説明しました。
3年生におすすめの棚(低学年向け物語)も紹介しました。

「知識の本は、めざすジャンルの棚に行って本を選ぼう。
 読み物の本は、題名や表紙・作者などを見て気になった本をためし読みしてみるといいよ」
などと、具体的なアドバイスもしました。

資料として配布したのは、NDC分類表です。
前の学校で作成したものを、もう一度見直して手直ししました。

3年生はまっさきに夏休みの図書貸し出しに来てくれました。
楽しんでくれるといいのですが。

迂闊でした

2014-07-13 12:09:22 | 図書主任
今週判明した事実(というか、私がちゃんとチェックしていなかった)

福島県双葉郡は3年間SLAに参加していません。
よって、読書感想文コンクールにも出品できないのだそうです。
だから、課題図書も買う必要はなかったのでした。
・・・・・・なぜちゃんとチェックしてこなかったのでしょうか。
当然あるものだとばかり思い込んでいたのが間違いのおおもとです。
SLAに所属すると、負担金を求められますが、確かに払った覚えがありません。
読書感想文コンクールの案内は届きましたが、それは出版社からであって
地区審査の案内も届いていませんでした。
なのに、何も考えずに課題図書を買うなんて、間抜けの一言に尽きます。


7月18日の「クローズアップ東北」に村のことが取り上げられるようです。
学校現場はとてもいい環境で子どもたちものびのび育っている一方
周りを取り巻く環境は依然として厳しいままなのだ、安穏としていてはいけないのだと
改めて現実を突きつけられた思いです。

とりあえず、自分の仕事を精一杯やることにします。