古川薫さんの「君死に給ふことなかれ 神風特攻龍虎隊」(2015、幻冬社)を読みました。
きっかけは、新聞の書評欄に古川さんのインタビュー記事が載っていたこと。
作者の実体験を元にしてという点に興味をひかれ、ずっと読みたいと思っていましたが、やっと読む機会を得ました。
あらすじは、こちら ⇒ http://www.gentosha.co.jp/book/b9028.html
(幻冬社サイト)
いちばん心に残ったのは、学徒出陣で特攻隊に送られた兵士たちの「引き返し」が多かったというくだりでした。
「8月15日の敗戦時を待たず、すでに新しい時代がはじまろうとしていた。
軍人としての精神教育を受けていない大量の高学歴の人々が、
いきなり凄惨な第一線においやられたこのときから、
旧時代の戦場モラルは崩壊しはじめたのだ。」(本文より)
この作品に描かれる沖縄戦最後の特攻隊の隊長は、2度引き返しています。
引き返したのは機体の不調だけではありません。
臆したのでしょう。
それでも、「また出撃させてください」と志願し、上官は「今日は休め」と言います。
地上では、出撃したあと30分は滑走路の灯を消さなかったといいます。
引き返してくるかもしれない機体を迎えるためです。
誰も死にたくないし、死なせたくはない。
なのに死地に赴かなくてはならない状況に追いやられるのが怖いことです。
作中、華族の妾の子で、厄介払いのため学徒出陣させられ、特攻隊として出撃するも引き返し、
収容所のような「振武寮」に入れらるがそこを脱走し、
内務隊では精神疾患のふりをして体罰からも逃げ回る「宮田(仮名)」という人物が描かれています。
なんとも逞しい人物です。
この人が、戦後どのような生き方をしたのか知りたくなりました。
映画「この世界の片隅に」は、日常の暮らしの延長に戦争を描いて
なんといいましょうか、「戦争」を特別扱いしていないところが新鮮でした。
戦争や特攻隊といったテーマの作品を敬遠しがちなのは、
読んでいて辛いことが予想されるからかもしれません。
そして、「戦争はいけない、平和が大切」といった、決まり切った感想しか持てないだろうなと
傲慢にも読む前からわかったような気になってしまうからかもしれません。
でも、この作品を読んで、あの時代が特別だったのではない、今も、これからも起こりうることなのだと感じました。
だからこそ、語り継ぐことが大切なのだと思います。
作者の古川さんは80代。
戦場には赴いていませんが、実際に兵役についた世代としては最後の方にあたる方です。
貴重な証言を残してくださいました。
きっかけは、新聞の書評欄に古川さんのインタビュー記事が載っていたこと。
作者の実体験を元にしてという点に興味をひかれ、ずっと読みたいと思っていましたが、やっと読む機会を得ました。
あらすじは、こちら ⇒ http://www.gentosha.co.jp/book/b9028.html
(幻冬社サイト)
いちばん心に残ったのは、学徒出陣で特攻隊に送られた兵士たちの「引き返し」が多かったというくだりでした。
「8月15日の敗戦時を待たず、すでに新しい時代がはじまろうとしていた。
軍人としての精神教育を受けていない大量の高学歴の人々が、
いきなり凄惨な第一線においやられたこのときから、
旧時代の戦場モラルは崩壊しはじめたのだ。」(本文より)
この作品に描かれる沖縄戦最後の特攻隊の隊長は、2度引き返しています。
引き返したのは機体の不調だけではありません。
臆したのでしょう。
それでも、「また出撃させてください」と志願し、上官は「今日は休め」と言います。
地上では、出撃したあと30分は滑走路の灯を消さなかったといいます。
引き返してくるかもしれない機体を迎えるためです。
誰も死にたくないし、死なせたくはない。
なのに死地に赴かなくてはならない状況に追いやられるのが怖いことです。
作中、華族の妾の子で、厄介払いのため学徒出陣させられ、特攻隊として出撃するも引き返し、
収容所のような「振武寮」に入れらるがそこを脱走し、
内務隊では精神疾患のふりをして体罰からも逃げ回る「宮田(仮名)」という人物が描かれています。
なんとも逞しい人物です。
この人が、戦後どのような生き方をしたのか知りたくなりました。
映画「この世界の片隅に」は、日常の暮らしの延長に戦争を描いて
なんといいましょうか、「戦争」を特別扱いしていないところが新鮮でした。
戦争や特攻隊といったテーマの作品を敬遠しがちなのは、
読んでいて辛いことが予想されるからかもしれません。
そして、「戦争はいけない、平和が大切」といった、決まり切った感想しか持てないだろうなと
傲慢にも読む前からわかったような気になってしまうからかもしれません。
でも、この作品を読んで、あの時代が特別だったのではない、今も、これからも起こりうることなのだと感じました。
だからこそ、語り継ぐことが大切なのだと思います。
作者の古川さんは80代。
戦場には赴いていませんが、実際に兵役についた世代としては最後の方にあたる方です。
貴重な証言を残してくださいました。