司書教諭日誌

福島県の公立小学校勤務。小規模校勤務ですが、司書教諭に任命されました。
日々の取り組みや学級指導を綴るブログです。

「君死に給ふことなかれ」

2017-01-22 15:20:12 | 読書録
古川薫さんの「君死に給ふことなかれ 神風特攻龍虎隊」(2015、幻冬社)を読みました。

きっかけは、新聞の書評欄に古川さんのインタビュー記事が載っていたこと。
作者の実体験を元にしてという点に興味をひかれ、ずっと読みたいと思っていましたが、やっと読む機会を得ました。

あらすじは、こちら ⇒ http://www.gentosha.co.jp/book/b9028.html
(幻冬社サイト)

いちばん心に残ったのは、学徒出陣で特攻隊に送られた兵士たちの「引き返し」が多かったというくだりでした。
「8月15日の敗戦時を待たず、すでに新しい時代がはじまろうとしていた。
 軍人としての精神教育を受けていない大量の高学歴の人々が、
 いきなり凄惨な第一線においやられたこのときから、
 旧時代の戦場モラルは崩壊しはじめたのだ。」(本文より)

この作品に描かれる沖縄戦最後の特攻隊の隊長は、2度引き返しています。
引き返したのは機体の不調だけではありません。
臆したのでしょう。
それでも、「また出撃させてください」と志願し、上官は「今日は休め」と言います。
地上では、出撃したあと30分は滑走路の灯を消さなかったといいます。
引き返してくるかもしれない機体を迎えるためです。

誰も死にたくないし、死なせたくはない。
なのに死地に赴かなくてはならない状況に追いやられるのが怖いことです。

作中、華族の妾の子で、厄介払いのため学徒出陣させられ、特攻隊として出撃するも引き返し、
収容所のような「振武寮」に入れらるがそこを脱走し、
内務隊では精神疾患のふりをして体罰からも逃げ回る「宮田(仮名)」という人物が描かれています。
なんとも逞しい人物です。
この人が、戦後どのような生き方をしたのか知りたくなりました。

映画「この世界の片隅に」は、日常の暮らしの延長に戦争を描いて
なんといいましょうか、「戦争」を特別扱いしていないところが新鮮でした。

戦争や特攻隊といったテーマの作品を敬遠しがちなのは、
読んでいて辛いことが予想されるからかもしれません。
そして、「戦争はいけない、平和が大切」といった、決まり切った感想しか持てないだろうなと
傲慢にも読む前からわかったような気になってしまうからかもしれません。

でも、この作品を読んで、あの時代が特別だったのではない、今も、これからも起こりうることなのだと感じました。
だからこそ、語り継ぐことが大切なのだと思います。

作者の古川さんは80代。
戦場には赴いていませんが、実際に兵役についた世代としては最後の方にあたる方です。
貴重な証言を残してくださいました。

ZUR ZEIT

2017-01-14 01:27:24 | 学級・学校
図書委員会の1月の活動は「絵本賞」

山田養蜂場や毎日新聞社やSLAが行うあれではなくて、学校独自のローカルな絵本賞です。
ポスターを書いたり、ポストを準備したりする手間はかかるのですが、今年はかつて作ったものを再利用して準備を軽減化しました。

POPを、せっかくなので手書きで書けたらいいなあと思ってます。

1 好きな本を選び、紙にお勧めの言葉を書いて封筒に入れ、エントリー用ポストに入れる。

2 エントリーされた本に「お勧めの言葉」を添えて展示する。

3 展示された本を読んで、「絵本賞」に応募する。

今年で3回目になります。
どうにかしても、盛り上げる方法を考えなくては。

冬休みの仕事など

2017-01-08 21:52:32 | 図書館整備
冬休みにはカウンター下の本を整理し、サルベージするものと廃棄するものに分けました。
廃棄するものは、リストを作って教育委員会に提出する手順を取ります。

2年前の冬に職員作業で一気に書架から抜いてもらった本のうち、類書がないかどうか、修理できるのではないかなどと一冊ずつ手に取って判断し、「棄損」と「廃棄」のものを抽出してリスト化しました。
2年間もカウンター下に唸らせておいたとは、気の長い話です。なかなか時間が取れなくて・・・
昭和40年代の本などが混じっていて、村上勉さんの絵が若い感じで新鮮でした。

1・2学期の貸し出し統計も、やっとまとめました。
1学期はカリキュラムの都合により日数が少なかったので微減でしたが、2学期は前年比で500冊以上増えてびっくりしました。
確かに貸し出しが多いなあとは思いましたが、嬉しい数字です。

東京でクラナッハ展を見たついでに、ナルニアの国で買い物をしてきました。
今回購入してきたのは原画展をやっていた、きくちちきさんの「ゆき」という絵本。
雪の表現が多彩で雄弁です。
戦争関係のブックリストの新しいのは購入見送り。
憲法関係の「憲法くん」「やさしいことばで日本国憲法」「三島由宇、当選確実!」などを購入。
松元ヒロの「憲法くん」、おもしろいですね。

東京国際子ども図書館の「おとく弁当」ランチが安くて美味しくて得した気分です。
中身はお任せなので、他のランチで余ったおかずなどを入れているのかな?
意外な穴場を見つけました。