東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

豚ばら肉のクリーム煮込み

2007年01月17日 | 賄い料理

本日は、フランス家庭料理の定番の一皿をご紹介します。

豚ばら肉のクリーム煮込みです。

フランスでは仔牛肉を使いますが、今回は賄い料理ですので代わりに豚肉を使いました。

正式なメニュー名はBlanquette de veau(ブランケット ド ヴォー)ですが、豚肉を使いましたのでBlanqette de porc(ブランケット ド ポー)になります。

フランス修行中のビストロで働いていた時のメニューにありましたし、星付きのレストランでも賄い料理でよく作りました。

そこで今回も、賄い料理を通してフランス料理を学びたいと言う気持ちから、この古典的な料理に挑戦してみました。

作り方は、カットした豚ばら肉を一度湯がき、ブイヨンと香味野菜と共に軟らかくなるまで蓋をして煮込みます。

豚肉を取り出して、漉した煮汁を煮詰めてから、バターと小麦粉を混ぜた物と生クリームを加えて濃度をつけて、塩、コショウで味を調えます。

そこに煮込んだ豚肉と、色付けない様に火を通した小玉葱とマッシュルームを加えて温めます。

仕上げに生クリームと卵黄を混ぜた物を加えて、軽く火を通して完成です。

付け合せにはバターライスを添えています。

見た目にも真っ白で、優しさと素朴さが伝わってきます。

以前、日本にいるフランス人の友達に「今何が食べたいか?」と聞いた時に、真っ先に出た言葉がブランケット ド ヴォーでした。

付け合せも「Riz(お米)がいいよね。」と言ってみたら本当に嬉しそうに喜んでいました。

とても懐かしかったのだと思います。

自分もフランスにいた時は寂しい気持ちもありました。それと同じ様に、遠い日本に来ているフランス人の友達も寂しいのかもしれません。

フランスでブランケット ド ヴォーを食べると、いつも新潟の母親の作るクリームシチューを思い出していました。

国や言葉が違っても、今まで食べてきた料理で故郷を懐かしむ気持ちは、誰でも同じだと思います。

人それぞれ、懐かしい思い出、嬉しかった時、辛かった時、寂しかった時、色んな記憶と共に料理があります。

自分の作る料理を食べて、お客様にはどんな記憶として残るのでしょうか?

少しでも幸せな記憶として残ることが出来たら、料理人としてこれ以上の喜びはありません。

 

 

 

 

 


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