東京グリンツィング シェフブログ

フレンチレストランのシェフが紹介する季節の料理と食材

骨付き猪肉のパン包み焼き 

2006年12月13日 | メインディッシュ

本日は、国産のジビエの一皿をご紹介します。

骨付き猪肉のパン包み焼きです。

グリンツィングでは、京都 丹波産の雌の猪を使っています。

フランス料理でジビエと言いますと、ヨーロッパ産、フランス産の青首鴨や森鳩、山鶉、野ウサギなどの、いかにも特別な食材のイメージが有りますが、最近は国産のジビエも多く使われています。

丹波産の猪の他にも、北海道の蝦夷鹿、新潟の真鴨など沢山の種類と産地があります。

フランス産のジビエに比べますと輸送に時間が掛からないため、とても新鮮な状態でお店に届きます。

その様に状態が良いので、野生と言っても獣臭さはほとんど無く、味わいも穏やかな物が多いです。

毎年グリンツィングでは、半頭分の猪や鹿を仕入れています。

11月には仔鹿、12月には猪が届きました。

 

半頭を仕入れる事で、肩肉、背肉、バラ肉、腿肉等の色々な部位を使う事が出来るので、料理人として勉強になります。

そして、どの様に仕立てるかを考える時間も、仕事の楽しさの一つです。

今回は、骨付きの背肉の部位を使ってパン包み焼きにしてみました。

脂がのり味わいもしっかりとした背肉を、ライ麦粉を使ったパン生地で包んで蒸し焼きにすると、ライ麦の素朴な香りを付けながらしっとりと軟らかく焼き上げる事が出来ます。

ソースは猪の骨とスジから作った肉汁に、タイムで香りを付けています。そして付け合わせには、数種類の茸を添えています。

茸を一緒に盛ることで、猪がいる山をイメージしてみました。

良質で味わい深いお肉ですので、その味が分かりやすい様にシンプルに仕立てています。

野生の動物ですから同じ猪でも、毎回大きさや肉質、味わいが違います。

まだまだその違いを楽しむレベルには達していませんが、少しずつ経験を重ねることで自分らしいジビエ料理が出来たら嬉しいです。