北朝鮮の核実験を受け、国連安全保障理事会は11日にも米国の提案による北朝鮮向け石油輸出全面禁止などの新たな制裁決議案を採決する。中国とロシアの反対で調整は難航しているが、これまでの度重なる国連の対北朝鮮制裁は不発続きだ。なぜなのか、有効な制裁案は他にあるのか
今回の対北朝鮮石油禁輸案はいわば、「最後通告」とも言える劇薬だ。体制崩壊の危機に追い込まれる金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が折れて核・ミサイル開発を断念すれば結構だが、「窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む」となれば禁輸の結果は大災厄だ。トランプ政権はもちろん、その点は留意していて、大統領も関係閣僚も折りあるごとに、体制転覆や戦争の意図を否定している。それでも、石油禁輸にまで踏み込まなければならないほど、これまでの対北朝鮮制裁は正恩氏の高笑いを止められなかった。経済制裁は北朝鮮に経済的打撃を与えられなかったのだ