■橋下徹市長は、憲法9条をどうするか、2年後に国民投票を行うという。それは無茶だ。この問題は答えのない超難問なのだ。たった2年で白黒つけてはいけない。
■たしかに日本の実情と憲法が大きく矛盾しているのは周知の事実だ。
■「戦力は保持しない」はずなのに、自衛隊は誰がどう見たって軍隊だし、「国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄」しているはずなのに、湾岸戦争のときには、135億ドル(1兆5千億円)も戦費を拠出した。
■けれどこの矛盾をなくすために、憲法を改めるとしたら、実際にどうなるか。
■すぐに思いつくのは、「自衛隊を軍隊として正式に認め、他国に侵略はしないが、他国から侵略されたら武力で反撃する」ことができるように9条を変えるというものだろう。
■そうすると北方領土や尖閣諸島や竹島の問題をめぐって、ロシアや中国や韓国と戦争が起こるリスクが格段に高まる。これらの領土は、日本にしてみれば「侵略されている」ことになるからだ。
■戦争リスクを回避するなら、上記3領土はあきらめて、相手にやってしまうことだ。
■今度は9条護持派の意見に従ってみよう。9条を変えないなら、自衛隊を廃止し、日米安保条約を解消し、米軍には全部出ていってもらって、国内の基地はすべてなくし、当然ながら外国への派兵は一切しないことになる。
■それで果たしてやっていけるか? 中国がじわじわ国境を広げてきて、尖閣諸島はおろか沖縄までも中国にとられてしまうかもしれない。実際、沖縄は昔は中国の領土だったという中国の学者がいる。
■意見はどうであれ、戦争、とくに中国との戦争だけは、絶対に避けなくてはならない。もし戦争になったら、永年のうらみから、中国は日本本土に核兵器を落とすことも容赦なくやるだろう。
■核戦争にはならないとしても、双方において非軍人の大量虐殺は必ず起こる。
■他国との係争は、外交力で解決しなければならない。そのために日本の政治家や外交関係者は、全知全能を傾注しなければならない。とにかく戦争はダメだ。
■かと言って9条護持が国民投票で決まってしまうと、現実問題として、国を守れなくなってしまう。
■憲法9条問題をうやむやにして、正面から向き合おうとしないから、日本という国が芯のないヘタレ国家のままだという意見には、ある程度私も同感だ。
■しかしいまは各国が核や大量殺戮兵器を持つ時代なのだ。この時代になったいま、武者の勇気を平家物語の時代の感覚で称賛してはならないのだ。
■日本の憲法9条問題は、本当に、超難問なのだ。
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