不合理ゆえに我信ず

文(文学・芸術・宗教)と理(科学)の融合は成るか? 命と心、美と神、《私》とは何かを考える

天才の直覚と鈍才の直覚

2006-02-01 15:02:09 | 哲学

ソニーがひところ、超能力研究に取り組んでいたのは、けっこう有名な話ですよね。「ESPER研究所」は井深大さんの肝いりで作られました。(いまはもうありませんが。) これは、ソニーの最優秀技術者のひとりで、実績も豊富だった土井利忠さん(音楽CDをフィリップスと共同で発明した人でもあります)が、井深さんを説得したから行なわれたのではないかと、私は密かに思っていました。最近のニュースによると、ソニーはアイボの製造も中止したそうです。(アイボも土井さんが生みの親です。)土井さんは、ソニーをいまのように業績悪化させてしまった、戦犯のひとりなのかも知れません。

最近の土井さんは、ここにおられます。
http://www.sonyidl.jp/laboratory/index.html
戦犯の引退後の悪あがき? (なんて言っては、たいへん失礼なのですが。)「天外伺朗」というペンネームのトンデモ系(?)サイトは、閉じてしまわれたようです。

私は、かなり前から、土井さんが書いた文章を新聞や雑誌で見るたびに、切り抜いて保存していました。土井さんの「あの世」系の本も、いろいろ読みました。テレビ番組に出たこともあって、それも見た私は、「この人は天才だ」という印象を、ずっと持っていました。

土井さんは「霊界」という言葉は使わず「あの世」と表現します。また、宗教くさい文学物語めいた話も、ほとんどしません。しかし精神の不滅性については、科学者らしい表現で、いろいろ語っています。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396103549/503-7729268-7834366

天才には天才の直覚というのが、あるだろうと思っていたのです。(なので若い私は、はまったのでした。)まだ実証できてはいないが、真理をつかんでいるのではないかと。

土井さんの会社のHPから、いくつか引用します。

■引用はじめ■
http://www.sonyidl.jp/idea/index.html

●PCクラスタシステム“IDEA”

我々の研究の目標の一つは、「機械が自らのセンサー系・モータ系を通してインテリジェンスを創発する原理モデルを解明し、それをコンピュータ上に実現すること」です。我々はこのモデルを「インテリジェンス・モデル」と呼びます。

PCクラスタシステム“IDEA”は、この研究分野での世界最高クラスの計算パワーを確保し、またそれにロボットを接続した世界唯一の環境を実現することで、「インテリジェンス・モデル」の研究を促進するために導入されました。すでに2004年9月1日より稼動しており、2004年11月のスーパーコンピュータTOP500ランキング(TOP500 Supercomputer Sites)において、319位にランクされました。

http://www.sonyidl.jp/idea/jirei.html

●“IDEA”の利用事例

1) オフラインの学習やシミュレーション

ニューラルネットワーク、統計的学習など、インテリジェンスを構成する要素技術は数多くありますが、どれも大きな計算パワーを必要とします。IDEAを使えば、従来の1/100以下の時間で、大規模なオフライン実験を行うことが可能です。例えば、1/100とすれば、今まで1日かかっていた学習実験やシミュレーションが0.01日、つまり14.4分で終了します。このターンアラウンドタイムの短縮は、研究の進め方そのものを変えるインパクトを持っています。

2) オンラインでロボットを接続したリアルタイム実験環境

インテリジェンスを実装し検証する一つの道具として、ロボットは非常に有用です。我々は、IDEAとロボット、例えばQRIOをネットワークで接続し、IDEAをロボットのリモートブレインとして使う実験環境構築の計画を持っています。これによって例えば、計算機パワーの制限からこれまで十分に行えていなかった画像処理をIDEAで行い、その結果をロボットに送り返す、といったことが可能です。世界にも例がないこの環境の下で、「インテリジェンス・モデル」の研究を強力に推進します。

http://www.sonyidl.jp/ids/index.html

●インテリジェンス・ダイナミクス・シンポジウム

ロボットの知性の設計は、旧来の記号処理による人工知能では限界がある。この分野の研究者から、身体性、環境との相互作用などの重要性が指摘され、「認知発達ロボティクス」という新しいアプローチが模索されてきた。一方、脳科学など自然科学の分野の研究者も、観察された現象を記述する現象論的アプローチの限界を超え、ロボットと実世界との相互作用を通じて知性モデルを検証する構成論的アプローチが盛んになってきている。これら二つの方向性をひっくるめて「インテリジェンス・ダイナミクス(知能の動力学)」と呼ぶことを提唱する。本シンポジウムでは、まずこの新しい学問分野で際立った業績を上げている講演者たちにより、最新の研究成果を平易に語っていただく。
■引用おわり■

この会社の世間的な評価は、どうなんでしょうね。世界から、それなりに注目されているのでしょうか?

しかしまあ、土井さんのファンの私としては、“IDEA”が掲げている目標に、果敢にチャレンジを続けて、「認識とは何か」「心とは何か」というテツガクテーマのための、新しい視界を切りひらいてくれるものと、期待しています。

ちなみに、私の直覚は、こうです。

命のないもの(例えば機械システム)が、何かを認識するとか、心が生じるとか、そういうことは有り得ない。FacePass(注)がやっていることは、与えられたプログラムどおりの照合処理であって、正確には認識とはいえないものである。プログラムに学習能力があって、自己組織化的に性能向上するような仕組みのものであっても、「認識とは言えない」ということに変わりはない。身体性、環境との相互作用などというのも、命を持つ生物にしか成り立たない概念である。そして「生きている」という現象は、21世紀のいまでも、未解明の謎である。

土井さんは「インテリジェンス・モデル」と呼ばれる考え方のアプローチで、「認識」や「心」の秘密に迫ろうとしておられます。

なので鈍才mori夫は、逆方向から思弁だけで、「認識」「心」「生きている」という謎を考えようと思います。

■(注)FacePass 東芝の顔認証システム(入室者の顔をチェックして、登録外のものを入室させません) 私の会社ではこれを使っています。
http://www.toshiba-tie.co.jp/security/facepass/face_spec.html


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2 コメント

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アイボが生産中止になったというニュースを聞いて... (miyashu)
2006-02-05 21:07:56
アイボが生産中止になったというニュースを聞いて驚きました。アイボが前の会社内で歩き回っていたのです。「今何時?」と聞けば、ちゃんと日本語で答えるし、なでればちゃんと喜ぶし、充電が少なくなればちゃんと充電される位置に戻る事ができるし、興味深かったですね。ただ、歩き方は犬ではなく、人間が四つんばいになって歩くのと同じような動きであったので、どうしても違和感はありましたね。

ところで認証システムでふっと別のことを思ったのですが、人間はエリマキトカゲを一度見たら次に同じエリマキトカゲが現れたときには同じ種類の動物が現れたという風に思うことが出来ますが、機械は1回その姿を見ただけでそのような事ができる柔軟性を持つ可能性はあるものなのでしょうか?(笑)
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miyashuさん、ありがとうございます。 (mori夫)
2006-02-06 13:08:51
miyashuさん、ありがとうございます。

>人間はエリマキトカゲを一度見たら次に同じエリマキトカゲが現れたときには同じ種類の動物が現れたという風に思うことが出来ますが、機械は1回その姿を見ただけでそのような事ができる柔軟性を持つ可能性はあるものなのでしょうか?(笑)

それは十分可能だと思います。記憶に関しては、ロボットは人間より数倍優秀ですから。その動物の三次元立体像を、その動物の色や体の模様なども含めて、正確に記憶し、同じものを見たとき、正確に思いだすでしょう。(立体像のマッチング処理)

但し覚える対象を、プログラミングによって、あらかじめ絞っておいてやらないと、機械ロボットは、馬鹿正直に、目にするありとあらゆるものを記憶しようとするので、すぐに記憶容量オーバーになってしまいます。

これを防ぐため、「自分にとって必要なものだけを記憶する」という「志向性」とかいうものを、ロボットの脳プログラムに設定しておいてやらなければならないのですが、これがたいへんな難問で、人工知能研究者たちを悩ませているようです。
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