ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

デリバリーサービスの不親切

2005-04-29 19:06:44 | 日記・エッセイ・コラム
pizaいわゆるピザなどの調理品のデリバリーサービスを頻繁に利用する人は、どれくらいいるのだろうか。例えば撮影スタジオみたいなビジネスユーザーを別として。多くはたまに利用するレベルの客だと思うのだが…。私もせいぜい数ヶ月に1度くらいのレベル。メニューはたくさんあるが、整理されていない。だから悪いと言われればそれまでだが…。

先日急にある有名な中華料理のデリバリーサービスチェーンにオーダーの電話をかけた。応対した男の子の声を聞いた瞬間、嫌な予感がした。「はい」の返事が既にサービス業のそれではない。書くと同じ「はい」だが、若い男の子がよく学校の先生など、どうしても「うん」や「おお」とは言えない相手に対して、答えるときと同じ気のない感じの鼻にかかった「はい」だ。そしてオーダーするメニューがことごとく「それは今やっていません」のオンパレード。断り方もこのワンフレーズのみ。5品くらいこれが続いた時点で、メニューが古いことに気づいた。そのことを相手に告げると「それじゃ、今もうないですね」と一言。一緒にいた友人が「やめれば」と言ったので止めて、「お届けケンタ」を頼むことにした。同じく古いメニューだったが、「定番メニューはいつでもありますから」と掲載位置も含めて教えてくれて、気持ちよく注文は完了。そもそも最初の「はい」から、まったく違い、プロのサービス業の「はい」だった。中華のメニューの方は結局その後全部捨てた。

電話で注文を受ける仕事は簡単なようで対応が難しい。話し方一つで相手の様子や心持ちはわかる。競合も激しいから、メニューをコロコロ変更して、商品に新鮮さを出すというのはよくわかる。でも全部変えてどうする?レイアウトをできるだけ統一して、定番メニューと季節メニューを明確に分けて、季節メニューの有効期限を示せば、多少古いメニューでも注文できる。実は私が住むマンションはある時から無断で外部からポスティングができなくなった。だからほとんど最近のメニューがない。それでもドミノピザ柿家鮓のメニューは定期的に入ってくる。管理センターか警備員に頼んで入れさせてもらっているのだと思う。

デリバリーサービスは、コンビニやファミレス、ファストフードと比較して、脇役のポジションから抜け切れていないようにみえる。ヘビーユーザーをつかみ難いという業態の限界はあるだろうが、もう少し工夫のしどころもありそうだ。


蛍光灯と白熱灯

2005-04-27 17:55:09 | 日記・エッセイ・コラム
light

いちばん長い時間点けている部屋の蛍光灯が切れた。

室内のメインライトとして使われる多くの照明器具は、ほとんど昼光色というのだろうか、白い透明感のある光のものがついてくる。最初から設置されていた廊下のダウンライトや玄関の照明器具は、白熱灯や 電球色(“ウォーム色”ともいう)の蛍光灯、簡単にいうと黄味かかった暖かい色だ。リビングに置いている間接照明もダイニング部分につけた照明も白熱灯。つまり各部屋のメインライトである照明だけが白く、それ以外は暖色ということになる。何ともアンバランスで、訪ねてきた人に指摘されたことがある。確かに外からマンションの各部屋を眺めると、白と暖色、色とりどりなわけだが、暖色の方がオシャレに見えるから不思議だ。

暖色の光には、人の心や脳を落ち着かせる効果があるという。反対に昼光色、昼白色には、脳を覚醒させ、クリアにする効果がある。

そこでメインライトをすべて取り外し、仕事やパソコンに向かう小部屋を昼白色に、寝室とリビングを電球色の蛍光灯に換えた。これだけで随分部屋の印象が変わる。引越しでお金が入用の時には、照明器具は後回しになることが多いが、インテリアに光は大切なポイントになる。また、確かに今ではリビングにいると、何となく落ち着いてきて、早く眠くなるような気がする(いいのか、悪いのか)。

ところで余談だが、私は最近まで白熱灯と蛍光灯がどうもごっちゃになっていた。一般的には蛍光灯は白(今は電球色など暖色も多いが、やっぱりメインは白)、白熱灯は暖色が中心だ。名称から連想するイメージは逆だと思うのだが、どうだろう?近所の電器屋でも、「暖かい色の蛍光灯を」というと、店番のオバサンが自信満々出してきたのは昼白色だった。仕方がないので小部屋で使う1セットだけ買って、残りはビックカメラで買った。店の人がわからないのだから、商品説明の仕方を考えた方が良いのでは?


こだわりは美学でも贅沢でもなく

2005-04-24 01:24:10 | 日記・エッセイ・コラム
takuwan京都の「大こう」*という店の漬物を母が送ってきた。先だって帰省した時に慌しく、駅の売店の適当なものしか買って来られなかったから電話で頼んだからだ。京都で生まれ育ちながら、最近まであえて積極的には漬物を口にしてこなかった。定食屋などで必ず出てくるドギツイ黄色の沢庵がどうも視覚的にも味覚的にも苦手であえて食べたいと思わなかったからだ。ある日黄色くない沢庵を京料理の店(←東京で)で食べた時に、美味しくて一人でいくつも食べたのだが、尋ねるまでそれが沢庵とは気づかなかった。ちなみに「大こう」の沢庵も味噌漬けにしてあり黄色くない。そう美味しい沢庵は黄色くないのだ、きっと。

それ以来、京都の美味しい店の漬物だけは、積極的に食べるようになった。「大こう」も実家のそばにあり、そのうちの1店舗。もちろん東京にいても、お取り寄せやデパ地下などで美味しい漬物を買うことができる。

漬物に限らず、今取り寄せグルメが流行っている。データを見たわけではないが、いちばん活用しているのは東京などの都市部在住者だと思う。ショッピングに便利な場所にいながらわざわざ遠い地方から「こだわりの味」を調達する。限定的で距離があり、時間がかかる、これまで不便だったことが、却って便利な場所、時代には贅沢になっていることは皮肉といえば皮肉だけれど…。

好景気な時代と比べて、今モノにこだわることは、あまりカッコイイことではないという風潮も一方ではある。さまざまな局面やテーマのなかで、価値観に揺らぎがあるのは事実で、それは成熟した時代においては仕方がないことだ。でもあえてモノにこだわるということは、マーケットを成長させる原動力になる。食べることに精一杯の国では、マーケットは創造されない。「何でも感謝していただく」ということは美学としては成立するかもしれないが、マーケティングという観点からは、むしろマイナスといえる。これは食だけの問題ではなく、工業技術、サービス産業においても同じことが言える。ここまでで十分と消費者が諦めると、コンシューマー製品における技術力は停滞する。世界に誇るサービス力は脆弱化する。こだわりや消費欲を持つことは、消費経済主体で動く社会にとっては必要なことだと思う。

*「大こう本店」…通販でも買えるみたいです。
http://www.daikouhonten.com/


食指が動くのはどっち?

2005-04-22 16:53:00 | 日記・エッセイ・コラム
hyouketu先日「桜の味」というタイトルで、旬がむしろ贅沢になり、ヒットのキーワードになっていることについて書いたが、この流れで同じことが言えるのは、「限定商品」と「販売一時休止商品」だろう。この間も近くのコンビニで、ある商品にPOPで「○△×は5月○日までの期間限定販売です」と書かれていた。買うつもりもなかったのに、つい2つも買ってしまった。その前にも新宿ルミネで見かけた「春限定緑茶のケーキ」にも引きつけられた(すぐに帰らなかったので買わなかったが、心残り)。私は甘いものが特別に好きではないのだが、「もう2度と出会えないかもしれない」という焦燥感が心理的に購買モチベーションをあげ、印象に残るのだと思う。飽食の時代・国特有の消費者心理だろう。

「限定商品」と並んでモチベーションを高めるのは、製造が間に合わず「販売一時休止」ってヤツ。比較的最近ではサントリー伊右衛門、ハーゲンダッツのカスタードプディングやアズキが印象に残っている。古くはヱビスビールの黒ラベルもこんなことがあったような。「そんなに人気があるのか」→「きっと美味」→「ぜひ食べたい(飲みたい)」っていうわかりやすい気持ちの動きを誘導する。しかもどの商品も同じ稀少品でも(←ある意味)、プレミアムワインのような高級品ではなくて、誰でも1回くらいは買える。考えてみれば、ヱビスビールはともかく、伊右衛門はもちろんハーゲンダッツも広告のうまいサントリー系。かなり怪しい…。吉野家の牛丼は、企業経営にとっては正真正銘の不幸だが、ある意味商品ブランド価値はあげた。

ただ「限定商品」や「販売一時休止」は、この戦略の乱用は危険だし(特に後者)、本当に限定商品にすると、稼げる期間・金額が限られてしまう。そのなかで最近の製品でよくできているのは、「キリンチューハイ氷結」だと思う。美味しいのは食品・飲料の絶対価値としても、マーケティングもうまい。多分今こういう商品がいちばん売れるのはコンビニだと思うが、コンビニや時期によって、プレミアムフルーツシリーズの取扱いの種類が違う。定番のバリエーションも豊富で定期的に新製品が出る。プレミアムフルーツは売れていても時期が来ると引っ込め、未練がましさを感じない。氷結は焼酎ではなくてウォッカをベースにしているという。このことを隠しはしないが、あえて主張しないのは、ウォッカがあまり人気がないことを意識してのことだと思うが、どうだろう?


お願い、ALCOTT(アルコット)

2005-04-19 03:25:07 | まち歩き
MITSUKOSI41新宿3丁目界隈は、あまりロケーションは良くないと思う。伊勢丹ファンという人は多いが、結局デパートは商圏ビジネスであって、品揃えによほど差がない限り便利に勝るものはない。だから以前はあまり伊勢丹も含め、3丁目では買物をしなかった。ところが2年ほど前に新宿に引っ越してきた。そうなると、新宿3丁目が主なショッピングの行き先になる。といっても、ほとんど伊勢丹、TSUTAYA、ビックカメラの三角形を巡っているだけだったが。

それが昨年10月頃に、新宿三越にLOFTとジュンク堂が入って、たまにここもコースに入るようになった。このことは以前のブログにも書いた。その時、気の抜けた感じの地下食品売場のことにも触れたが、実はここも改装予定があったのだ。3月31日、密かに新宿三越は、 「新宿三越アルコット」としてリニューアルオープンしていた。コンセプトは「ZAKKA専門館」らしい。かといって、別に全館文字通り雑貨屋になったわけではない。どっちかというとテナント主体の駅ビルのようになっていた。でも前よりは良くなっていて、特にB2Fはガンバっている。ちなみに数ヶ月先まで予約がいっぱいでとれないと評判のアイブローサロン(眉を整える)「アナスタシア」もこのフロア。他にもエステや個性派の化粧品ブランド(いわゆる普通のデパートの1Fの品揃えとは違う)、ベーカリーやデリカテッセンなどが入っている。スィート系が多いが、どのショップも人気店だったり、あまり他には入っていないショップだったり。あっ、Johan(ジョアン)はもちろん居残っている。

ここまで三越が影も形もなくなっても、三越ブランドへのこだわりはあるようで、店名は「新宿三越アルコット」、単なる「アルコット」ではない。しつこいくらい店内放送で店名を連呼していた。そして営業時間も10時~20時。せめて21時までなら、伊勢丹が終わってからゆっくりできるのに。そもそもエステとか、デリカとか、本屋とか、雑貨とか、滞在型の業種ばかり入れているのに、何も他のデパートと営業時間合わせることないと思う。今も三越が母体だからかもしれないが、一部テナントだけでもやればいいのに。意外と新宿って、飲食店や電器量販など以外は融通が利かない店が多い。特に3丁目界隈は、結構不便な街だ。新宿ルミネの地下のデリカも決してMDが良いわけじゃないが(でも最近ここも改装している)、22時までやっているのでポイントが高い。アルコットも、せっかくだから営業時間の殻も破ってほしかった。

*アルコットは、6月1日より21時閉店になるそうです。(2005年5月追記)