土曜日、用事があり、明治神宮前ラフォーレ近くで地下鉄を降りた。まだ昼ごろだったが、人出がすごい。その多くがFOREVER21とH&Mに向かう。約束の時間まで間があったので、両方に入った。H&Mは銀座店を入れて3回目だが、一番込んでいたように思った。もちろんオープニング時を除いてだから、FOREVER21効果なのだろう。隣接しているこの2店舗のシナジーとプラス ラフォーレで、原宿周辺の人出がここに集中している。
FOREVER21はさすがにまだ店内はイモ洗い状態。探せば21歳でなくても着られそうなアイテムはあるにはあるが、やっぱりH&Mやその他の競合と比べて安いけど、違和感がある。ちょうど21歳の頃、初めてまさにLAに行き、巨大なデパートかGMS(JCペニーかMacy'sだったような)で服を見た時の違和感と似ている。大量に陳列されている色とりどり、大味のデザインでテロテロの素材の服や服飾品。そっけない接客と縫製のよくないものが当たり前に紛れ込む店内。とても着られないと、その時は思った。
でもむしろ年齢的なギャップを感じるはずの今の方がそういう売り場を見ても平気になっている。それはそういう服や文化が、飛行機に乗らなくても東京の街中にあることに慣れたからだ。21歳の時には持っていなかったブランドのバッグやアクセサリーを今は持っているが、21歳の時には着なかったヤスモノの服も着ている。それは私だけでなく、アラフォーと一括りにされる女性たちは、使えるお金は少ないのに服にお金をかけていた時代を経ている人は多いと思う。
ちなみに用事があったのは、明治通りの渋谷方面。通りは一気に閑散として、あるファッション店の前では誰でも参加できる(買わなくても)抽選会をしていて、それでも人は少なかった。こんな一等地に大きな店を構えているのだから、この店にもブームはあったのだろう。ブームはつくることができるが、継続は難しい。
帰りに新宿で本屋に寄った。発売日に60万部以上が売れたという『1Q84』を持ち、レジに並ぶ人、人、人。今回のブームは完璧につくられた感があるが、この人のブームは今に始まったわけではない。私が最初に読んだのは『ノルウェイの森』だが、確か21歳くらいの時。活字離れといわれて久しいけれど、長年トップセールを維持する作家は彼以外にも何人かいる。『不毛地帯』が近々ドラマ化される山崎豊子さんもその一人。ブームというには失礼な感があるが、多くの人が質の高いものを好む傾向は確かにある。
ブームを仕掛ける側も、どこを狙うのか悩ましい。なぜなら私たちがFOREVER21の服を「着られるかも」と思うのと同様、リアルに21歳の人たちも山崎豊子原作のドラマをきっと観る。年齢でターゲットを計れないと言われて久しいけれど、まさにそんなことを実感する。