ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

想定外の非常識

2005-07-31 01:35:16 | まち歩き
映画を観る前に、軽くお腹に入れたかったので、某スープ専門店に行った。その前にスタバでずっと本を読んでいて、もはやドリンク類は不要だったので、スープのみをオーダーした。それでも辛いスープなので、水くらいは飲みたい。見渡してもセルフのミネラルウォーターは見当たらなかったので、カウンターの中の女性スタッフに頼んだ。

「はい」と満面の笑みで受け答え、手渡された水を見て驚いた。小さな紙コップに氷も入れず…と、ここまでは店の方針だろうから、まあイイ。驚いたのはギリギリいっぱいまでなみなみ注いでいること。大げさに書いていると思われるかもしれないが、本当に一寸の隙間もない。枡や皿の上にグラスを置き、冷の日本酒をなみなみ注ぐ店があると思うが、あれを想像してもらえばわかりやすいが、もちろん枡や皿の下敷きはない!しかも紙コップ、グラスより軽くて柔らかくて不安定なのは言うまでもない。

それでもまったく悪びれもなく、受け答えも感じが良かったので、何も言えなかった。案の定こぼした、しかも自分が座る椅子の上に。まあ、他人にかけなかっただけ良かったけど。しょうがないから、自分のハンカチを出して、椅子を拭く。もちろん彼女も他のスタッフも誰も気づかない。こうなると怒りを通り越して不思議な気持ちになる。

ファストフードのスタッフに「プロ」は求めていない。悪評の「こちらコーヒーになります」などのバイト用語で受け答えされても、この際どうでもいい。留学生の方がキレイな日本語を遣うと呆れることもあるが、通じれば害はない。でも何をすれば危険か、相手が困るかという想像力を持つことは、常識以前の問題。プロかどうかではなく、まともな社会人(学生であっても)としての最低限のコミュニケーション能力だと思うのだが…。こういう対応は、多分店側のマニュアルにも記載されていない、想定外のことなのだろう。大抵のことは「うっかりかな」と思ってあげる度量を持っているが、これはうっかりじゃないと思う。本人だってなみなみ注いで手渡すのは難しいはずなのだから。


週末のポタリング

2005-07-27 19:55:02 | まち歩き
ブリヂストンモールトン
ゆっくり気ままに自転車で走ることを「ポタリング」という。静かなブームらしい。1年越しでパンクを修理して以来、私も週末ポタリング派。本当は平日も自転車で仕事先に行ったりしたいが、これじゃ一体いつ着くかわからないし、第一着る服が限られる。

というわけで、自転車に乗るのは基本的に土日だけだが、元気な時には有楽町あたりまで遠出することも。といっても、性格的に「目的地を決めずに」ということができないので(本当はこれがポタリングたる所以なのだが)、買物や映画、テニスなどしっかり目的地を決め、血相を変えてひた走る。これじゃ、ポタリングじゃなくて、単なる交通手段なのだけど。

いわれてみれば最近都心でも自転車族が増えているような気がする。ただ、都市部は決して自転車に優しくない。駐車場はあっても駐輪場がないビルはたくさんあるし、道もこの上なく走りにくい。都市部で休日に自転車で走って快適なのは、霞ヶ関の官庁街と防衛庁前くらい。霞ヶ関は人が歩いていないことと歩道が整備されているからだが、市ヶ谷の防衛庁の前の歩道は自転車レーンがある。ある日霞ヶ関を自転車で走っていると、金木犀だったか、植物の香りが漂ってきたことがある。意外に東京都心部には緑が多いことを思い出した。

以前日本橋髙島屋が住民の都心回帰で、近隣客が増えたことで駐輪場を整備したことがある。新宿タカシマヤも店頭に自転車を置きやすくなっている(そこまでの道のりが大変だけど)。近隣客を大切にすると来店頻度もあがるし、自転車の方が電車や徒歩より買い上げ点数もあがると思う。何よりも車を使うより、環境にはいい。特に夏の排気ガスは体感温度を引き上げるもの。


騙されてモノを買わないために

2005-07-26 21:48:39 | コスメ・ファッション
最近、消費者を対象にした詐欺が巧妙化、あるいは多様化している。だからむしろモノやサービスをダイレクトに売りつける詐欺まがいの商法は減っていると思われがちだが、そうではない。特に高齢者や病人などの弱者を対象にしたリフォーム詐欺や病気を治すみたいなものは、今後も増えることはあっても減ることはないだろう。若年層へのキャッチセールスやアポイントメント商法も、目立つ新型商法の影に隠れてしっかり根を張っている。

最近私も詐欺まがい(引っ掛かっていないので本当に詐欺かどうかは不明)のビジネスをやっている人に出会った。そこまでして儲けたいって人が多いのだな…とむしろ憐れみさえ感じつつも、一方でそういうビジネスに騙される人も多いわけで、加害者を憐れんでいる場合ではない。マーケティングの仕事は、モノを売ることを助ける仕事なのだけど、知識とノウハウを活かして、どこかで消費者教育に関わっていくことも今後は社会的には必要なことかなとも思ったりもする。

私が出会ったビジネスは、高級ブランド名をちらつかせることで、オーダーメイドスーツを売ろうというもの。詐欺かどうか微妙なのは、はっきりそのブランドのスーツとは言わなかったことだ。「そのブランドの生地で作る高価なスーツ」という切り口だ。エルメスと同じ工場で作っている、エルメスと同じ革の製品だといってバッグを売るケースもあるので、これだけでは法律的には問題がないのかもしれない(これでオーダースーツに偽のタグがついてくれば話は違うが)。でもその会社の明らかに強引で常識外れなセールストークは、使用している世界的ブランド名を冒涜するもの。また、ブランド名はチラつかせるくせに、その販売している当事者企業についてはどこにもディスクローズしていない。これでは生地の出所もかなり怪しいと言わざるを得ない。オーダーメイドスーツなんて、商品があがってくればどこの生地を使っているかなんかわからないし、既に手遅れだ。

そのビジネスが詐欺かどうかはともかく(個人的には買った本人が納得できずに、あるいは不安な気持ちになりながら、高額商品を買わされたら、法律的にどうであれ、詐欺だと思う)、引っ掛からないためには商品と消費に対する正しい知識と信念を持つか、そういう知識を持った人に相談するしかない。いずれにも自信がなければ、その場で即答しないのが一番。返事が少し遅れたからって消費者側が不利益を被るとしたら、それこそ詐欺に違いないのだから。どうしても断る自信のない人は、カードや身分を証明するものを持ち歩かないのも手。そういう意味では巣鴨信用金庫がはじめたキャッシュカードを発行しないサービス(がんじがらめの安心口座)は、高齢者に向けた防犯策として有効かもしれない。

*お断り:高級オーダーメイドスーツ販売会社が必ずしも詐欺まがいと考えているわけではありません。このブログは企業としての情報公開の姿勢、商法、セールストークなどが常識を逸脱した会社について記載しており、こうした会社が横行していることは、まじめにオーダーメイドに取り組んでいる企業にとっても不利益であると考えています。


女性を装飾品にする会社は女性に嫌われる

2005-07-23 01:42:14 | まち歩き
最近(…でもないか?)大手企業の会長職に2人の女性が就任した。三洋電機野中ともよさんとダイエー林文子さん。ちなみにこの2人の能力や資質を疑問視するつもりはまったくない。広報への使われ方が装飾品みたいなのが気になるだけだ。

「女性がターゲットの製品やサービスだから、女性の視点が必要」という感じの記事へのとり上げられ方も何だか古臭い。野中さんや林さんが経営者として優秀だから、資質があるから起用したと書けば良い。

まあ、それでも記事は記者が書くものだから仕方ないとしても、林会長が画面の中心でリズムに乗る「一の市」のテレビCFはいかがなものか?経営者を出すのが悪いのではないが、それならば「一の市」以外のCFで出すべきだろう。彼女がトップになったので、こういう生活者視点の新しいプロモーションを実施するとか、こういう品揃えに変わったとか、変化を訴求するCFならわかる。相変わらず「一の市」じゃ、トップの顔が変わっただけじゃないかと、観る側は思う。ダイエーに行ってみたいとは思わない。そして何よりも本質的なことを忘れている。女性の敵は女性であるということ。ダイエーのターゲットの大部分は、主婦。スーパーウーマンのような存在に対して心底好意的な人はそんなにいない。

働く女性は働く女性で、女性を広告塔のように広報起用する企業に好感を持つのではない。育児休暇が十分にとれるとか、いったん離れても復帰できるとか、独身女性であればやりたい仕事をさせてもらえるとか、そういうことだと思う。

林さん自身は、元は車のトップ営業。小売店を知らない経営者で大丈夫かという声もあるみたいだが、それは周囲がフォローすればいいことのような気がする。そのフォローすべき人たちが顧客の本質を知らないとすれば、それはやっぱりまずい。今のダイエーはそういうまずい状況なのだ。


このケーキ、1つだけください

2005-07-15 01:15:44 | まち歩き
tom379_1パティスリーで、1ピースだけ買うのはバツが悪くて、食べるのは自分だけなのについつい2個3個と余計に買ったことはないだろうか。実は男性にこのパターンが多いらしく、1つだけ気兼ねなく買えるコンビニデザート人気を彼らが支えているらしい。

ところが来る客来る客、ケーキを1個だけ買って帰る店がある。コンビニではない。ちょっとお高めのフランス生まれのパティスリーだ。

『アンジェリーナ』はモンブランの専門店(一部モンブラン以外も)。1個450円でずっしりと重く、そして甘い。これでも日本人の嗜好にあわせて、パリ本店より少し小さめらしい。やっぱり欧米人の食への感性はヘビーだな~

PICT0036でもこのケーキに「1個客」が多いのは、商品特性だけの理由ではないと思う。パッケージをきめ細かく用意しているのだ。1個用はモンブランの形に台がくり抜かれ、安定感も抜群。どう考えても複数個用の箱に適当な仕切りを入れて、不安定なパッケージングをする他のショップと歴然とした対応の差がある。スタッフも1人しかいないのだが(新宿ルミネ店)、パッケージが機能的なのか本人の能力なのか、テキパキとスピード感があり、1個客を次々さばいていく。

主力商品が基本的に同じデザイン、大きさなのでできる芸当かもしれないが、こういう些細な気配りが顧客の心に響くこともある。特にケーキを買う女性心理は複雑。ダイエットとの綱引きの中で、誘惑に負け…それでも2個は多すぎる、1個なら大丈夫だろうって、全然大丈夫じゃないのだが、言い訳しながら買っているのだから。