ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

おごとと雄琴

2008-12-21 00:55:00 | 旅行記

今月最初の週末に温泉に行った。京都での仕事帰りに夕食に間に合う場所ということで選択肢は限られ、結局琵琶湖湖畔がいちばん近いと、おごと温泉へ。

“おごと”と聞いて、何だか怪しげな想像をする人もいると思う。という私も、ちょっと選ぶのに抵抗があり、旅館の予約をする前に、ネットで調べてみた。おごと温泉はもともと「雄琴温泉」と書き、漢字で書いたほうがなじみがある人が多いだろう。私も1年近く前におごと温泉駅が最寄の場所に用事があって出かけたが、単に駅名がひらがな表記されているだけだと思い、地名が変更になったことは知らなかった。ネット情報によると、昔の雄琴のイメージを払拭する目的で、漢字表記をやめたらしい。あまり変わらない感じもするけれど、温泉旅館も改装をして、女性客誘致に努めたことも効を奏し、年々客層に広がりをみせているという。

まあ、そういうことなら、と初のおごと温泉に観光目的で出かけた。ロケーション的には、比叡山延暦寺に向かうロープウェイの乗降口である坂本にも近く、もっと栄えてもいいはずだが、旅館の窓からもう一つの雄琴を象徴する大きな看板が見え、なんとも中途半端な様相は否めない。宿泊客も夫婦、カップルは少なく、男性同士、女性同士がはっきり分かれている。イメージ刷新も道半ばという感じだ。

男性の聖地(という表現が良いとは思わないが)を忌み嫌うわけではないが、現実的に沈みゆく業態であり、温泉地側としてはどうにかしなければ生き残れないのが実際だろう。せっかく京都に近く、最近伸びてきているらしい古都の観光客にプラス温泉と湖畔の風景を提供できるベストロケーションを活かさない手はない。


平和へのスピーチ

2008-12-10 23:34:46 | ニュース

ノーベル賞の授賞記念行事が行われているようだ。今年は日本人受賞者が多く、数少ない明るい話題の一つとして数えられている。特に京都産業大学の益川先生はユニークな言動や英語を話さないことばかりがとり上げられるが、むしろ先生がスピーチで話された少年時代の空襲体験、そして物理学者として平和運動に貢献したいという話が印象的だった。

物理学と世界平和がどう直接的に結びつくかは正直よくわからない(「環境」や「経済」との結びつきはわかりやすいが)。そもそも今回のノーベル賞受賞理由となった研究がよくわからないのだが…。でもいかなる学問や経済活動も、戦争や内紛が背景にあるかないかではまったく違うものになるということは簡単に想像がつく。

今世の中では政治家や経済学者、マスコミだけではなく、あらゆる人たちが「未曾有(みぞう)の世界大不況」におびえている感があるけれど、例えば益川先生や戦争を知っている世代の人たちにはどう映っているのだろう。理系の学者だから浮世離れしているとか、現役を引退しているから切実さがないとか、そういうこととは別に、今がどん底あるいはその一歩手前とは思えないのではないか。

戦後の混乱期を抜け出してから、まだ半世紀程度で、昔は良かったとノスタルジーに陥る時の対象となる昭和30年代、40年代の高度成長期などはほんの10数年間のこと。バブル期を幸せだったと思う感性も、幸か不幸か一般的な日本人にはあまりないようだし。そう考えれば、戦後を抜け出してからは大きな浮き沈みはなかったと言えなくはない。そんな風に考えれば、想像だけれど益川先生たち以上の世代は、本当の動乱や深い悲しみを知らない人びとが、今、経済や人びとの活動、学問への意欲が萎縮している風潮に不安を感じているのではないかと思う。


冷凍食品の行方

2008-12-03 23:39:38 | ニュース

ニュースが消費される時代に、もはや過去のことになっているが、毒ギョーザ騒動からうちの近くのスーパーの冷凍食品売り場が様変わりしたまま、いまだ戻っていない。冷食のケースがなくなったわけでも、他のカテゴリーの商品に入れ替わったわけでもない。置いてある製品の単価がぐんと上がってしまったのだ。高級レストランのブランドがついていたり、国産であることが明確な製品以外はほとんど置かなくなってしまったため、たとえば定番の中華料理系は、ギョーザにしろシューマイにしろ、500円以上するものが普通になっている。

私はそもそもスーパーに行く時には料理をする気が満々(それ以外はデパ地下とか、いっそ外食)なので、もともとあまり冷凍食品を買わないが、中華系はわりと買っていた。しかし高くなると、毒にはそれほど神経質ではない私も、まず買わなくなった。

しかし安い冷凍食品は消えてなくなったかというとそうではない。ローソンで105円の冷凍食品をさかんに販売するようになり、結構売れているらしい。スーパーの従来の品揃えとの違いは、分量が少なくなり、焼いたり揚げたりするものはほとんどなく、レンジで片がつくものばかりだということだ。やはり国内製造であることを強調されているものが多い。

ピンチはチャンスとはよく言ったもので、ちゃんと安い冷凍食品は生息している。一度経験した便利さは簡単には手放せない。また多くの人が冷食に背を向けているように見えても、それを積極的にか消極的にかはともかくも欲している人がいるということは明らかだ。スーパーで売られていた冷食の主なターゲットはお弁当需要だった。コンビニ冷食は単身者の遅めの夕食やおつまみを意識したものが多い。コモディティ化しているように見える商品でも、細やかなターゲット戦略は欠かせない。特に今のような冷食の有事には…。