ブログを休んでいたので書かなかったが、昨秋世の中が尖閣問題に揺れ、フジタの社員が確かまだ拘束されていた頃、初めて上海に行った。今生の別れ(かも)と、送別会までされながら…。
ホテルと空港間までフリーの旅行だったので、公共交通機関をよく利用した。その中でも、おそらく中国が世界に誇っているであろう、中国版リニア(上海トランスラピッド)と中国版新幹線(和諧号)に乗る機会があった。
和諧号は蘇州に行くという目的が先にあったので、何の予備知識もなくチケットを購入。1等座とか2等座とか、自動券売機にある記載に、映画などでみる「やたらうるさくて汚くて混雑している」2等座が脳裏に浮かんでしまい、つい一番高い指定席を買ってしまった。
上海~蘇州間はイメージとしては東京~小田原間。もちろん日本の同等運賃より格段安い。ところがうるさくて汚いと勝手にイメージした2等座は、日本の新幹線の普通車。買ったのはグリーン車だと考えればわかりやすく、乗っているのは欧米からの観光客、日本人が多かった。乗り心地も日本並み、もしかしたら新しい分、中国の方が勝つかもしれない。
ところが問題は復路。2等座で自由席でも問題ないと往路で学んだにもかかわらず、つい安いのでグリーン車を買ってしまった。東海道線ほど頻繁に走っておらず、広い待合室にある航空機の発着ボードのようなものに、中国語(漢字なので考えれば意味はわかる)で個々の便のSTATEが書かれている。それがなんともひどい。同じ路線を走っているはずなのに、時間通りの便と1時間単位で遅れている便がある。私が買ったのは2時間以上遅れているもの。替えてくれと言っても埒が明かず(言いたいことは伝わっていたと思うが、いちいちそんな要求に窓口では対応しないのだろう)、結局同じ目に合い強行突破を試みる、知らない中国人のオジサンの陰に隠れて、一緒に正確な時刻の他の列車の2等座に立ち乗りすることに。
まあ、それで何の問題もなかったが、結局車両は他国(和諧号は日本製)から買えても、オペレーションは一朝一夕というわけにはいかないということ。だから何も日本は下を向く必要はないと思う。
もう一つ、市内と国際空港を結ぶ中国版リニアは、時速400km超を出し7分で到着する。航空機の発着があるので、時間もそんなに狂わないだろう(少なくとも私は問題なかった)。ところがその市内の駅というのが中心部からえらく遠い。暴走族のようなタクシーでも40分以上はかかったように記憶している。イメージとしては幕張に駅がある感じ。
だが例え幕張~成田間であったとしても、まぎれもなく実用化している。東京~大阪間を1時間で結ぶ必要があるかどうか私には正直わからないが、それでも日本では気の遠くなるような歳月をかけて技術開発をしている。リニアという括りでは愛知で一部実用化しているが、時速100kmでは乗客にとっては技術方式が違うだけであまり意味がない。
安全性、正確性は日本の強みであり、やたらおそろかにするのはどうかと思うが、とりあえずやってみるという気概やスピード感は必要かもしれない。少なくとも最初に技術開発に着手した人たちが生きているうちに実用化しないと、技術者のモチベーションにも影響するのではないかと私のような凡人は思う。昔の画家や音楽家ならいざ知らず、死んでから評価されてもね、と。
ちなみに中国のリニアはドイツ製で、それでも胸を張ってしまうところが、日本人がアレルギーを持つ彼らの特性なのだが。