D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Atavachron('86)/Allan Holdsworth

2006-02-12 16:04:30 | allan holdsworth
Holdsworth先生が'86年にEnigma Recordsからリリースしたソロ作通算第5弾となる盤です。

これはあのSynthaxeを本格的に導入した最初のアルバムということで話題を呼びましたね。
Synthaxeとは、名前のとおりSynth(esizer)+Axe(斧:ギターのメタファ)からなる造語の名称を冠したギタータイプのMIDI-Controllerです。
基本的にシンセのサウンドが嫌いと言い続けてきた先生ですが、おそらく音源のすばらしさとギター的なアプローチが容易に可能となった点などに惹かれたようです。
ハード面等、詳細はこのサイトにお任せするとしますが(笑)なんとAl DiMeolaもレコーディングで使ってたとか・・。
最近YAMAHAからEZ-EG(AG)という「なんちゃってギター」が出ましたが・・微妙に似てますね。こいつは一応MIDI-Controllerの仕様になっているようなので、使い方によっては・・?
まあルックスは×ですけどね・・ちょい気になる存在です。

#1.Non Brewed Condiment:
「天然調味料」というこのタイトルは、自ら音色に対する妥協が必要なくなった状況と読むべきでしょうか。
それほどこのSynthaxeにハマっちゃいましたってとこかな・・なんか不思議な雰囲気の曲ですね。
脱ギター的なフレージングに増して、まるでKeyboardのようなバッキング・・ギターはどこ?って感じです。
メンツは、先生(synthaxe,g)、Jimmy Johnson(b)、Gary Husband(d)のトリオです。

#2.Funnels:
この曲はQueen Mary Jazz Festivalというイベント参加の折に創った曲なのに当日演奏はしなかったそうですが、Queen Mary号という船の3本の煙突からイメージしたそうです。
'84年の初来日の頃、「名前は言えないけどいずれはバンドにもキーボードを入れたいんだ・・」というコメントがありましたが、前作でもパーマネントなメンバーは入っておらず、今回もゲストで2名の参加に留まっていますね。
この曲ではBilly Childsという人をフューチャーしてます。
ネットで調べてみると、Chick Corea人脈のJazz Pianistでグラミー・ノミネート経験もある方の名前が引っかかりましたが、彼のHPでは先生の作品に関して一切記述は無く、関連サイトでも紹介がないんですよね。
もしかしたら別人がいるのかも知れませんが、Windam Hill関係ということでカナダ・ルート繋がりでのチョイ参加的なノリだったと考えるのが妥当でしょうか。
この曲ではキーボードだけでもエレピ、ハモンドにストリングス系のシンセなど、結構被せまくりの上にギターのバッキングでも凝ってます。
メンツは、先生(gのみ!)、Billy(keysソロも!)、Jimmy(b)、Gary(d)です。

#3.The Dominant Plague:
「大流行の疫病」というタイトルですが・・レコーディング当時なんか風邪でも流行ってたんでしょうか?
今回ChadはDrumsでのゲスト扱いですが、この曲ではなんと打ち込みです・・ははーん、Chadになんかあったようですな。
キーボードのゲストは2人目A.P.つまりAlan Pasquaです・・ソロのみですけど、この方は色んな引き出しを持っておられます・・すばらしいミュージシャンですね。
メンツは、先生(synthaxeソロも!)、Jimmy(b)、そしてChad Wackerman(d)、Alan Pasqua(keys-solo)です。

#4.Atavachron:
先生はSynthaxeでほとんどKeyboardistと化してますね・・まるで新しいおもちゃに熱中してる子供のようです。(笑)
使い方としてはバッキングの構築がメインなのですが・・そんなに面白かったのかな。
Keyboardソロで再びPasquaが先生のガンガン飛ばすgソロと互角に渡り合っています。
メンツは、先生(synthaxe,g-solo)、Jimmy(b、Gary(d)、Alan Pasqua(keys-solo)です。

#5.Looking Glass:
なんとこの曲のみ、なつかしやTony WilliamsがDrumsで参加です・・Lifetimeの頃ほどの煌きは感じられませんが嬉しい参加です。
KeyboardはPasquaではなくあえてBillyというのがミソでしょうか・・SynthaxeのせいでKeyboardがテーマ以外よく分かりません・・。
メンツは、上記Tony(d)とBilly(keys)のほか、先生(synthaxe,g-solo)、Jimmy(b)です。

#6.Mr.Berwell:
雷雨~雨の雫のSEをバックにドラマチックに展開される、ちょっと映画音楽みたいな変わった曲調です。
メンツは、先生(g,synthaxe)、Jimmy(b)、Gary(d)、Alan Pasqua(keys-solo)です。

#7.All Our Yesterdays:
先生のSynthaxeとRowanne Markという女性Vocalとのコラボです。
Rowanneはこの後‘Secrets('89)’でも参加してますが素性は不明です・・ネットでも直接引っかかるサイトが見当たらないんですよね。
'89年のGordon Beckソロアルバム‘Dreams’でGordonとコラボってます・・この辺のつながりなのかな・・。
この曲でちょっと面白いのがインプロビゼーションとして先生とChadがクレジットされてる点ですね・・Drum-pad操作によるデジタル音源でのパフォーマンスが収録されてます。

「自由な表現方法の確立」というのがこのアルバムのテーマだったのかも知れません。
なんか嬉しくてたまらない・・てな先生の気持ちが伝わってくるような気がするのは私だけでしょうか。

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2 コメント

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3曲目の見解 (Acchan Ikeuchi)
2015-07-30 22:23:04
解説楽しく拝見しました。3曲目の曲名を見て、あぁ、なるほどなと思ったので私なりのコメントを残します。このアルバムを発表したのは1986年ということで、その前年にdavid lee roth のEat 'em and Smileというアルバムが出て一躍steve vaiブームが来ました。多くのギタリストがステレオでコーラス・ディレイを掛けたサウンドでワウやハンマリング&プリングライン、フロイドローズテクニックを取り入れ、何かギターロックを聞いたら、またか、という程、まさにThe Dominant Plague が起こったのです。ーという風に私は捉えています。allanらしくないサウンドで?と思っていたのですがタイトルを和訳していただいたお陰でピンときました。こういう話を特にどこかで聞いたわけじゃないですが、80Sの流行に乗っかっていた私はそう感じます。
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Acchan Ikeuchi様 (elmar35)
2015-08-02 10:01:29
初めましてw
なるほど、そういう解釈もありかもですね。
ただ、Allan的に流行りのギターサウンドには全く興味が無かったのは明らかですので、個人的には少々疑問デスが。
興味深いコメント、ありがとうございますw

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