フリーターが語る渡り奉公人事情

ターミネイターにならないために--フリーターの本当の姿を知ってください!

勉強よりも生存

2006-12-21 22:20:27 | 現状
排除の合図

ある労働経済ジャーナリストの講演会のあとの飲み会での出来事だ。
メニューを見て注文をとったところで、「初対面の人もいるので自己紹介してください」と主催者から声がかかった。
ひとりひとり自己紹介をしていく。やがて自分の番がまわってきた。

何から話そうか、迷ったが、登校拒否のことから話すことにした。それは元祖リストラ学校教育への拒否反応でもあったのだから。
そうすると、まだ自己紹介を終えないうちに、ある地域労働組合のアクテイヴィストが大声でこう言い放った。
「あなた、勉強しないといけないよ。もっと勉強をしないといけないよ。」
穢れたものでも見出したような興奮と憤りのなか、彼女は何かに取りつかれたように、怒鳴りちらす。
その後、とてもわたしが自己紹介をできない状態になったことは言うまでもない。
その席ではなるべく他の人と話すようにしていた。
それでも彼女はわたしをジっとにらんでいた。ちょっとしたわたしの発言に片っ端からかみつき、嘲笑し、その価値をひきさげることを執拗に試みた。それはとても侮蔑的な視線、身振り、表情を伴った。
原因不明の敵意・悪意・敵対心は、神経に毒を注ぎ込むようなものだった。
彼女は、労働組合に所属するものとして、自分よりも文化資本の低いものに恥辱をくわえたのだ。
わたしのほうは、なぜ勉強しないといけないのか、その勉強が具体的には何を指すのかわからない。
ただ、彼女は集団を前にして、わたしにマイナスのイメージを植えつけ、わたしを孤立させ、つぶしたかったのだ。

組織は勝った

家に帰ってから、寝込んだ。3日間くらいは、しんどくて外に出られない状態がつづいた。

その後、その講演会を主催した人たちからイベントのお知らせがぱたりと来なくなってしまった。
また、別の用事があって電話連絡をすると、
「いっしょに運動している仲間でもないのに、電話をかけるは失礼・非常!!」
「少しは勉強もしなければならないだろうが。あなたの知能は小学生なんだから! ほかの人はみんな一所懸命勉強をしている。なのにあなただけが進んでいないんじゃないか!」
といった内容の説教をえんえんと数十分も聞かされるハメになった。
まあ、典型的な進歩主義者の教説である。こういう説教がかつてインディオたちを殺していった。

話をもとに戻そう。その「勉強しろ!!」のアクテイヴィストは「、わたしへの排除をいじめをあおっていたのだ。
こんなことがあると人間不信・社会不信が強まる。

まるで中産組合

労働組合は、こうしたタチの悪いアクテイヴィストをどうにかするべきだ。一生懸命勉強して中産階級に成り上がれとあおる活動家をかかえていてどうするのか。これでは労働者階級の労働組合じゃない、中産階級の中産組合ではないか。このような「階級的裏切り者」を、学校教師の言うことをうのみにする「耳穴っ子(ハマータウンの野郎ども)」をのさぼらしてはいけない。

だいたい、働きまくってしんどくて、あるいは失業ストレスでぼろぼろの人をつかまえて何が勉強なのか。18歳以上の成人女性をつかまえて、もう一度義務教育のカリキュラムをやり直せとでも言うのか。
元祖リストラ学校教育を崇拝する儀礼をすすめる労働組合って何だ? 裏で文科省から接待でも受けているのか??

これなど極端な例だが、これまでのつきあい+取材を通じて考えるに、日本の組合はあまりにも学校化されている。
一方的な知識注入型の「学習会」。フリースクールへのひどい中傷。不登校者への罰として差別としての「勉強をしろ!!」発言。
学校の外で子どもたちが育つことは、組合にとって都合が悪いようだ。それは、学校教育でつちかわれる従順さが労働組合という組織を維持するために必要だからだ。
つまり、彼女はこう言っていたわけだ、「学校に行かないなんてとんでもない。もっと従順な奴隷になって、組合の組織に尽くしなさい。滅私奉公こそ尊い。学校よりも自分のいのちや人権が大切だとはケシカラン!!」
それは、ある関東のフリースクール主催者が、登校拒否の子どもを牧場でこき使い、労働基準法違反をしていたと主張するある20代のアクテイヴィストの発言とのぴったり重なる。(この主張は事実の逆である。件のフリースクーラーは、そういう業者を告発する側である。そのことをわたしが紹介すると、それをそのままひっくり返す形で彼は汚い中傷を言い立てたのである。)
それから、失業者に大学の学籍を与えるという治安対策(?)という、交通事故があるとよくないから子どもを学校に閉じ込めようというのと同じ発想の「政策提案」がなされたのも、やはり「学校の外に救いなし」という学校化の発想による。

組合のアクテイヴィストに自分の人生における選択・実存を陵辱され、学校・大学の囚人であることを迫られる。
こんなところにたいていの場合学校で排除され、会社からも排除された(されかけている)人たちが、どうして安心して相談できるだろうか。

生存が先、教育は後でいい

日本の労働組合は、不登校差別と学校化から抜け出すべきだ。

職よりも賃金よりも勉強のほうが大事だとする受験至上主義の労働組合などいらない。こういうことを言う人たちがなぜ労働組合に所属しているのかといぶかしく思う。
こういう説教好きの人たちは、浜塾か日能研にでも就職して、「勉強しろ!!」と言っているほうが似合っている。「なぜ?」と問う子どもには「そんなことは大学に入ってからだ」と言ったり、「勉強しないと日雇い失業フリーターになるぞ」と脅したりしていればいい。

人が生存できる条件を破壊し、教育で埋め尽くす。その流れに喜んで協力する労働組合など、なくなってもいい。
そのかわり、人のいのちと人権を学校や教育よりも優先する、仕事のなかの学びを大切にできる労働組合ならどんどん増えて欲しい。











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6 コメント

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本当になくなればいいのに (jiji)
2006-12-21 23:45:57
私は労働組合に組合費を払っている立場ですが、組合の「搾取」は経営者の何百倍も悪質だと思っています。
汗水たらして働いた手取りの数%を搾取しながら、仕事もせずに視察という名の物見遊山、勉強会という名のコンパニオン付き酒池肉林など、やりたい放題使いたい放題です。だいたい10名参加の「会議費」が1回50万円ってどんなご立派な議論したんだよ。俺はアンタのケンシキとやらを高めるために消費税並みの組合費払ってる(ていうか強制徴収)わけじゃないんだけど・・・って。
なんで組合の人って1円も稼いでるわけじゃないのにあんなに根拠なく偉そうなんでしょうか。本当にハラワタ煮えくり返ります。
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Unknown (赤木智弘)
2006-12-22 00:24:44
 これはあくまでも「学ぶ」ということが、彼らの言う「学ぶ」という範疇であるという前提の話ですが。

 人間は社会の中に入って、その自分の立ち位置の中で、いろんなことを学んだり、努力したりして成長していくのです。
 「学校」と「社会人」という社会しか持たない日本では、我々の立場は「社会に属していない」ことと、ほぼ同等です。そのような立ち位置で、人間は学ぶことなどできないのです。
 ならば、我々に対して「学ぶべきだ」と思うならば、我々を社会に属させること、すなわち社員として登用したり、給与を与えることが先にあるべきなのです。そして仕事を通して、初めて学び、努力することができるのです。
 社会の外にいる我々に対して「学べ、努力しろ」というならば、その学びと努力が社会に確実に結びつくことを保証するべきなのです。
 職業訓練をするというなら、その職業訓練を受けることによって、就業が約束されるべきだし、訓練にも給与が支払われるべきなのです。

 なんてことを考えたこともないんでしょうね。その「勉強しろ」の御仁は……
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笑っちゃうね (Unknown)
2006-12-22 10:52:25
単なる愚痴にしかならない現状に。
彼らは組織のキャンサーだ。自浄作用が無い組織は例え弱者の為の組織であっても醜悪なものにしかならないということを労働者もいい加減理解すべきだ。
参考:
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20061128/114498/
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Unknown (ワタリ)
2006-12-31 22:49:14
jijiさん、赤木智弘さん、unknownさん、いらっしゃいませ。
まとめレスで失礼します。

>jijiさん

以前面接に行った居酒屋チェーン店で、もし雇用した場合組合費が給与から児童引き落としにされることを説明されました。
それは、組合に入らないことを選べるのですか? と質問したら、相手はとたんに不機嫌に。組織の人間特有の行動ですね。
当然、採用にはなりませんでした。

ただ、労働組合は他の団体とは違う守るべき特権があります。組合が断交を求めたら、会社は断れないことが法的に保障されているのです。
また、不当労働行為もできません。
他の団体ならできないことが、組合には今のところ法的に保障されています。
ですので、上の世代の男性の権益とプライドを守ることだけに専念し、特定の会社・業界の利益しか代表できない組合には入らないほうがいいです。ていうか、偏見も侮蔑も腐敗もあるんで、相談もしないほうがいいでしょう。

そのかわり、協力者をみつけて自分で自分の組合をもつことです。労働法を学習するサイトや本もあるので、必要に応じて学ぶことです。
その方法しか、若い世代や女性や以前から組合に守られていない業界の人たちが自衛できる方法はないと考えます。

>赤木 智弘さん

その「勉強しろ」アクテイヴィストは、上の世代さえよければ下はどうなってもいいという発想ですね。
下の世代がいかに誤解と偏見にさらされているか、分かっていないと思います。

個々の状況やニュアンスにもよりますが、この活動家の場合「勉強しないといけない」の意味を広げるとおそらく、こうでしょう。
「勉強さえすれば、いい職につける。学校の外の学び育ちを求めて試行錯誤することは許さない。それはみなと違うから自立しておらず、本人(と親)の甘やかし・怠慢ゆえの自己責任」という論理です。
いかにも人を幼児扱いしてしかりつけるような調子でものを言っていましたから。
学校の外の学びを求めることに一部の組合関係者はそうとうなうらみを持っていて、別の20代のアクティヴィストは、中等教育で世界史・日本史・地理・現代社会・政治経済を必須にすれば、社会問題に関心のある子が育つと言っていました。
アホか、というもんです。学校の授業とか、教科書やノートやテストに労働の大変さや、職探しのしんどさや、労働法に関する知識・考え方が閉じ込められるとでも思っているのでしょうか?

実際には、労働組合は閉鎖的です。で、その組合に入り、その組合の主催する映画上映会だの労働法の学集会だのに参加すること。選択はダメ。独学もダメ。他の出版社のシンポジウムや、博物館のワークショップなどに参加するのも「勉強」じゃあない。
結局、組合にとって都合のよい価値観だけを持ち、組織に疑問を持たずに従う構成員を作るための「勉強しろ!」の説教だと思います。
そして、いつもいっしょにいる共同体世界を作るのです。組合の外の家族・友人・恋人はあってはならない存在なのです。
ただ組合のなかで四六時中、公私混同的にすごさねば立派な組合員にはなれないというしかけです。
それは、本人の自主性・自覚・バランス感覚をつぶすものであって、うながすものではありません。

こんな勉強なら、人を特定の組織や儀式に封じ込め、外の世界を見えなくさせる監獄型学習形態ならば、いらない。
それよりも「無学」とみなされるほうがよほどいい。
そんな風に思ってしまいます。

>Unknownさん

自浄作用は大切です。だけど、もう上の世代の男性が牛耳っている組合には期待できないです。
そこの組合の20代の男性アクテイヴィスト、それに30代の女性のアクテイヴィストと話してみました。20代男性は、自分が案内したい場所に人を連れて行くときに、いきなりわたしの手首をつかんでまるでモノみたいに扱いました。取材だからとガマンしたけれど、正直、気持ち悪かった。
30代の女性は、上の世代の男性のなかにも一部には貧しいグループもいることを盾にとって、上の世代に資産が集中している現実というのは嫉妬のたまもの、感情論だと飲み会で語っていました。例外と言う概念をわざと認めないのです。賢そうな彼女は人にものを教える仕事をしており、そういうデータを見たり解釈したりする技術にそうかんたんにつまづく人ではない。やはり政治的にオヤジどもに配慮し、若い世代の利害を裏切っているのです。
こういう人が、上の世代の仕切る組合やその応援学術団体の「顔」なのです。
それを嫌がる人たちは、距離をおいてグループの隅に追いやられています。
個人的には上の世代や男性の横暴や差別発言や、若者を幼児扱いするニート支援業を批判する人も、集団のなかでそういうことを言うなと圧力をかけてきます。
ちょっと批判したら、泣き落としみたいなメールがやってきて、苦情対応に苦慮したこともあります。

もうどうしようもない、というのが自分の取材した結果の判断ですが、いかがでしょうか。

若い世代が、企業別ではなく職業別の組合を結成し、活動してまわしていくこと。それしか解決策はないと思います。




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ありがとうございます (jiji)
2007-01-06 08:31:51
ワタリさん
丁寧なご回答をいただきありがとうございます。
おっしゃる通り、望む環境が欲しければともかく自分で行動を起こさないとですよね。
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Unknown (勤め人)
2008-03-18 22:15:58
こんばんは。
赤木さんの所からトラバを辿ってきました。
労働組合の件はまったくもって貴方の仰る通りです。
組合費を強制的に天引きしながら実際に彼らがやっている事と言えば、従軍慰安婦がどうとか沖縄の米軍基地問題がどうとか・・・・・・
我々はそんな政治運動をしてもらいたくて組合費を払っているのではなくきちんとした職場改善のために役立ててほしいのです。
何度となくそれを組合側には申し入れしてるのですが、馬耳東風、馬の耳に念仏でいつまで経っても何も変わりありません。
こんな労働組合なんてもう要らない!と言うのが正直な印象です。
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