◆イラストレータやフォトシィップをどう使っているのか?
【回答】その7
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
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■学生さんからのご質問
学生さんからのご質問ですが、今やデザイン作業に欠かせないでデザイン系ソフトであるフォットショップ、イラストレーターについてのご質問でしたので、中小企業の方もご興味がおありだと思い、取り上げさせていただきました。
ご質問の内容は以下の通りです。
「こんにちは。質問させていただきます。使用ツールについてですがフォットショップ、イラストレーターをご使用とのことですが実際に仕事の現場でどのような用途でご使用になられているのですか?」
乙丸様、ご質問感謝です。
フォットショップ、イラストレーターを実際にどのように使っているのかとのこと。
そうですね。デザインしていると当たり前ですが、学生や素人の方には、それらのソフトを実際にどのように使っているかというのは、素直な疑問だと思います。
学生の方はご存知だと思いますが、一般の方はフォットショップもイラストレーターもご存じないと思いますので、基本的なところをお話しておきます。
イラストレーターは、全くの0から絵を描いてレイアウトをするためのソフトです。現在では、雑誌や書籍やカタログなどの印刷物は、ほとんどすべてイラストレーターで作成されています。と言うよりも、イラストレーターはもともと、2次元の印刷物を作成するために作られたソフトです。
そして、フォトショップはその名前が示しているように、フォト(写真)を加工するためのソフトです。つまり、0から絵をおこすと言うよりは、既にある絵(写真)を加工するために生まれたソフトです。ただし、ソフトフォトショップでも0から絵を描くことができます。また、ソフトフォトショップは1画素ごとのデータを加工することができ、イラストレーターに較べて、ずっと繊細な表現が可能です。
まとめると、フォトショップは写真などの画像データを扱うソフトであり、イラストレーターは、フォトショップで加工した画像と、イラストレーター上で作った絵や文字などをレイアウトするソフトだと言うことができます。
本来、雑誌や書籍やカタログなどの印刷物を作成するためのソフトであったフォットショップ、イラストレーターが、スケッチを描いたり、製品のグラフィックを検討するために大変有効であったために、工業デザインでも頻繁に使われるようになりました。
現在では、イラストレーターで図面が描けるプラグインがあったり、イラストレーターでDWGなどの汎用2次元CAD図面のデータが開けるようになっています(AI 10以降)。イラストレーター自体が、工業デザインに近づいてくれています。
■イラストレーターをどう使っているか
では、印刷物と違う工業デザインにおいて、イラストレーターはどのように使われているのでしょう。
製品開発の順に考えていくと、まず、スケッチを描く際に使われます。もともと2次元のソフトですので、立体的なスケッチは得意ではありません。三面図に着彩をするような平面的なスケッチに向いています。
最近では、「Shade(シェード)」「Rinoceros(ライノセラス)」「Solidworks(ソリッドワークス)」などの使いやすく表現力の豊かな3次元ソフトが出てきており、イラストレーターはもっぱら、平面的な三面図スケッチや製品の操作部などのグラフィック表現を検討するために活用されています。
3次元CADソフトでスケッチを描く場合、効率を考えると、どうしても三図面があったほうが有利です。三面図での検討段階であれば、三次元CADソフトよりもイラストレーターのほうが扱いやすい。
と言うわけで、イラストレーターのような2次元スケッチソフトと三次元CADソフトは棲み分けができています。
イラストレーターは、操作が簡単で、グラフィック表現の機能が充実していますので、アイデア展開レベルで、ラフな三面図とグラフィック的な要素を検討するためにとても有効です。
また、デザイナーであってもアイデア段階のようにたくさんのスケッチを描かなければならないときには、三次元よりも、二次元のほうが早く簡単に描けますので、とても有効なツールです。
上に書いたように工業デザインにおいて、イラストレーターは2次元スケッチ作成に威力を発揮してくれますが、もともと印刷系のソフトですので、プレゼンテーション資料の作成や製品グラフィックスの版下作業にも大活躍してくれます。
■フォトショップをどう使っているか
実はイラストレーターに較べると、工業デザインにおいてフォトショップの活躍の場はあまりありません。
もっとも活躍するのが、3次元CADソフトで描いたスケッチの修正作業です。
3次元CADソフトでスケッチを描き、ビットマップデータに落とし込むさいに、データの抜けがある場合が間々あります。その際に、その修正をフォトショップで行ったりします。
また、3次元CADソフトのスケッチにハイライトを追加したり、背景と合成したり、スケッチをより魅力的に見せる場面で使われます。
それ以外では、やはりプレゼンテーション資料で使う写真の加工などです。
上記のように工業デザインにおいてフォトショップはあまりメインの業務には使われませんが、最後の味付け、隠し味としてスケッチやプレゼンテーション資料をより魅力的にみせるために使われています。
「デザインの神様はディテールに宿る」なんていいますが、フォトショップはそのディテールの味付けをしてくれるとても大切なソフトです。
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早速のコメントありがとうございます。
少しはお役に立てたようで、安心しました。
これからもよろしくお願いします。
木全賢 拝