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イラン抜きの中東の安定なんてあるわけないでしょ by ローハニ

2017-05-28 21:42:23 | アジア情勢複雑怪奇

イランの大統領選挙で再選されたローハニ大統領が、アルジャジーラのインタビューで、まったくもって忌憚のないことを言っていた。

Iran's Rouhani denounces US' Middle East ignorance
http://www.aljazeera.com/news/2017/05/iran-rouhani-denounces-middle-east-ignorance-170522204903139.html

米大統領のトランプが、イランをテロリストに資金を出してるだのへちまだのと言ったことに対する反応で、せんじ詰めれば、トランプは中東を理解していない、と。

「イラン抜きで中東地域の安定を回復できるなんて誰が言えるんでしょう?イラン抜きでこの地域が完全な安定を体験できるなんて誰が言えるんでしょう?」

とまで言ったそうです。

私も同感。トンランプが知っているのはイスラエルだけ。

で、なんでイランがここまで言えるのかというと、実際にアルカイダ→ISという、出世魚みたいに名前を変えて行っているそれら、私の言葉でいえば「こじらせた傭兵軍団」と戦っているのは、シリア、イラン、ヒズボラ、ロシアだけだから。

それに対して、サウジアラビア、カタールが主な資金源で、武器だのトレーニングを施しているのはアメリカ、「こじらせた傭兵軍団」にモラルサポートを与えてしまっているのは西側メディア全体。

そして、シリア、イラン、ヒズボラ、ロシアのうちで、ロシアは作戦を検討したりメディアの強み、外交の強み、説得力のあるパブリケーションを持つという、他の国ではちょっと真似のできない力があるので、実際問題リーダーには違いない。が、地上の兵隊を大量に出しているのは、シリアであり、イラン、ヒズボラ。

だから、アルカイダ、ISという、こじらせた中でもマジでヤバい人たちになっている集団、要するにテロリスト(国連で各グループを指定している)を本当に潰そうというのなら、最終的にはこれら歩兵がどうしても必要。

それに対していえば、アメリカはもし本気で、本当は自分たちが雇っていたも同然だとしても、もう収集つかないから事態を片づけるというのなら、アメリカ兵を充当する必要がある。それに関して、彼らにはその力はある。欧州の他のNATO諸国にはない(本当に使える軍を持っているのはトルコとイギリスぐらいであとは良い兵器をいくらか持ってる、というのが関の山)。が、自分で蒔いた種のために、一体どうやって大量の歩兵を向かわせることができるのか。

1930年代とか1970年代ぐらいまでなら、本当はおかしくても、世界中の新聞の8割を押さえておけば、ソ連がなんといおうが話を通すということもできたでしょう。

しかし、現在、ここまで、「こじらせた傭兵軍団」に金出して、サポートして、トレーニングさせてるのは誰なのかが明々白々になってしまった中、米兵をどうやって地上に送り出せるのか(つまり死ぬ確率は劇的に上昇する)、というのは実に実に実に深刻。対応を間違えればアメリカ内で悶着が起きる(米兵が拒否する、というのだって考えられる)。

というわけで、トランプ政権であっても、オバマ政権であっても同じことで、彼らには決定打はないでしょう。

私のトランプ評価は、前から書いている通り、敗戦処理内閣としていいんじゃないか、で、変更ないです。

で、現状は、彼は上手くやれていない、というもの。ただ、彼だけの責任にできるかというと、なんせ、ISがシリアにいたっていいじゃないか、と言ってしまっている集団がアメリカ内にいることを考えれば、米国内の妄想派の力が強すぎて、トランプ政権にできることにはおのずから限界ありすぎ、とも言えるでしょう。

ISはシリアに残せばいいだろう by NYT

その上、敗戦処理内閣だというのに、何かできるような気がしちゃって、バカみたいに、シリアにミサイル打ち込んだりしているので、さらに、敗戦処理から遠ざかっている感じ。

サウジとイスラエルを訪問して、地獄のジハード同盟を組んでみたって、どうなるもんでもないでしょう。

 

■ 石油を金の代わりにもできるんだよ、by イランとロシア

そんな中、ロシアとイランは、やっぱりoil for food式でやろうかな、と言い出した。

Russia & Iran sign oil-for-goods trade agreement
https://www.rt.com/business/389712-russia-iran-oil-goods/

oil for foodというのは、代金決済を石油でやろうという方式。つまり、イランには換金性の高い石油ってものが大量にある。が、イランは西側の制裁によって、金融決済が不自由なわけ。

イランと取引する銀行が米当局から制裁をくらう、みたいなことになるのを恐れて、銀行さんが関与してくれない。だから、そこを抜かして、ロシアから物品がイランに輸出して、その代金をロシアはイランからの積み出しの石油でもら、という恰好。

前から言ってるんだけど、2016年にイランの制裁が解除されたのでこの話は立ち消えとなったらしい。しかし、イランの制裁はまだアメリカが完全には解除していなので、やっぱり金融決済に不自由があるらしく、では、やっぱりこの方式にしようかな、とロシアとイランの当局者たちがお話してます、というのが上の記事。

多分、ロシアもイランも、現実的には可能な話なので、これを出すことによってアメリカの様子を見ているじゃないかという気がする。つまり、またまたトランプ政権が、大した戦略があるわけでもないのにイランを敵視して騒いだりしている。この真意を確かめるために、この手の話が出てくるのではないのか、と想像する。

で、これはつまり、ロシアとイランはここまでと同様、非常に強い協力関係にあることを示したものだし、中国の新華社がわざわざ、ローハニ大統領は、これまで以上にロシアとイランの関係を強化すると言っているという記事を出しているのも、この傾向に対するちゃんとした観察だと思う。

Rouhani says to boost Iran's ties with Russia in new term
http://news.xinhuanet.com/english/2017-05/27/c_136321079.htm

 

ということで、アメリカってか西側は詰んでますなぁって感じですね、ほんと。テロ対策、テロ対策とかいいながら各国でやってることといったら自国民の監視体制強化ですからね。笑っちゃう。サウジになんか言ってみろよ、でしょう、ほんと。これを最初にできる西側リーダーは誰なのか、興味深々。

 


 


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2 コメント

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『関東軍退治』 (ローレライ)
2017-05-29 06:41:36
『関東軍退治』の『ワルシャワ条約の中心はイラン』である事を無視する『西側忖度外交』で動きの取れないトランプ大統領。
できなかった (ブログ主)
2017-05-29 08:11:13
ローレライさん、

いや気付いているからこそ、ロシアと仲直りしてロシアとイランの間を乖離させようとしたんでしょう。これはこれなりに理解可能。

でも失敗しちゃったの!

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