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ドイツ・メルケル与党CDU内で異変

2015-09-13 16:57:14 | 欧州情勢複雑怪奇

イギリス労働党がどうも変化しそうだと書いたばかりだけど、ドイツにもちょっとした異変が起きていた。

独シュピーゲル誌が伝えるところでは、ホルスト・ゼーホーファーさんという、メルケル政権の与党CDU(CSU)の大物議員が移民問題に乗り出してきた。ゼーホーファーさんは、wikiによれば、

2008年10月よりバイエルン州首相およびキリスト教社会同盟(CSU)党首。その他1992年から1998年までヘルムート・コール内閣で保健相を、2005年から2008年までアンゲラ・メルケル内閣で農業・消費者保護相を務めた。2012年2月からは連邦参議院議長として、辞任したクリスティアン・ヴルフ大統領の後任が決まるまで大統領代行を務めた。(wiki

バイエルンのCSU党首ってのがでかい。全国レベルのCDUと、バイエルンCSUの違いは結構大きい。

で、この人が移民歓迎ムードを作ってるメルケル路線に反対し、移民流入を止めるべきという態度を貫いているハンガリーの首相オルバンをドイツに招いた模様。

Streit über Flüchtlingspolitik: Seehofer wettert gegen Merkel - und lädt Orbán ein
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/horst-seehofer-wettert-gegen-angela-merkel-in-fluechtlingspolitik-a-1052455.html

難民政策問題:ゼーホーファー、メルケル路線に反旗、ハンガリー首相オルバンを招く

といった感じでしょうか。右がオルバン。

さらに、

Syrien-Konflikt: Seehofer will engere Zusammenarbeit mit Putin
http://www.spiegel.de/politik/deutschland/syrien-krieg-horst-seehofer-will-mehr-kooperation-mit-wladimir-putin-a-1052460.html

シリア危機:ゼーホーファー、プーチンとの協力強化を望む

とくる。

総合すると、シリアのアサド政権をつぶしたいという一念でぐいぐい中東を不安定化させているワシントンとそれに追随して、難民を受け入れるって素敵だわ、みたいなことをやっているメルケル政権にノーを言ったって感じですかね。

ロシアと協力して、ってことはアサドを倒せばいいってもんじゃないという意味だろうから。


どうなるのか余談を許さないところだけど、イギリスとドイツという、アメリカの欧州支配の重要拠点で何やら反旗が・・・なにやら狼煙が上がってまっせ、みたいな感じ。

 

■ シリア問題はこう進めたい by 西側

シリア問題は、2年前の例のアサド政権を倒せの大キャンペーンもそうだったけど、またまたアサドは悪い、ロシアも悪い、な、俺らは正しい、だからシリアを空爆しよう、という誘い水をいっぱい流している感じ。

おそらくこんな感じのシナリオなんじゃないのかな。

 

  1. ISはテロリストだ、ISを倒すために空爆だ→実際にはシリアを空爆する(難民はここで発生する)
  2. 私たちは移民を受け入れるべきだわ(経緯を問わない)  →シリアの人数が減ればシリア国内で暮らせなくなるから人も散らばりシリアの反撃拠点が手薄になる
  3. シリア難民は西側テリトリーにいるので、この人たちを前に出して反アサドがシリアの合意、にする。
  4. アサドが悪いからこうなったのよ、のキャンペーンを張る。
  5. アサドを倒すしかない。見なさい、悪のプーチンが仲間なのよ。キャンペーン盛り上がる。
  6. ロシアがからむから冷戦になるのよ。中東の不安定化はロシアのせいよ。ウクライナだってみんなそう、ロシアさえいなければ世界は平和なのよ、etc.
  7. その間、(1)を続け、シリアのアサドの本拠地を叩き、アサドが倒れたら、ISを倒す。
  8. やれやれ、中東を安定化させなければだねとシリアに親米政権樹立。シリアを混乱させたのはロシアだ、で幕を引く。

 

という感じでしょうかね。日本は(6)で大喜びとなりそう。

で、なんでドイツに異論が出て来たのかというと、(6)がまず嘘だってのが見えてるってのが一つだけど、根本的には(8)でも収まらないと見たからではなかろうか。ワシントンは結局中東からバルカン、ウクライナまでずらりと混乱地帯にするつもりだ、という危惧が出て来たからではなかろうか。

もとより、ドイツの東部(旧東ドイツ)、南部(バイエルン)あたりにはイスラム圏から移民が多数来るなんてことをまったく歓迎していない地域が多数ある。

これを放置すると、国内が紛糾するし、欧州内でも東部、バルカン地区におけるドイツの信用は真っ逆さまになりかねない。

(バルカン地区は、オスマントルコの支配が終わったから独立した地域。さらに、ハンガリー、オーストリアも長年のオスマンとの戦いの記憶のある地域なので、イスラムグループの大量移民は断固拒否のメンタリティー優位)

経済界としても、欧州を統合してそこで儲けてロシア、アジアでもう一段、ってなことを考えていたのに話が崩れちゃうオッズが高まる。

ということで、このへんでちょっと話止めなならんばい、ってな感じになってきたのではあるまいか。

 


 

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1 コメント

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『日本のリベラル』が過大評価したメルケル (ローレライ)
2015-09-15 16:25:40
『日本のリベラル』が『聖人扱い』するメルケルの実像はオバマ同様に過大評価されていた。
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