9月にシリアへの空爆に参加したイギリスではあったけど、続行できる見通しが立たない模様。
どうやら下院の外交委員会で労働党に反対され、このまま押しても、与党保守党内でも反対者が出る可能性があるので議会の承認手続きまでもっていかない、いけない、という成り行きのようだ。
David Cameron drops plans for vote on Syria air strikes
New report says the Prime Minister is yet to make the case or produce a clear plan for military action against Isis
http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/david-cameron-support-for-syria-air-strikes-is-incoherent-mps-say-a6718746.html
まぁこうなってくるのも、折からのブレアの責任問題と無関係のわけはなく、中東全体の混乱をブレアとブッシュ時代の無責任で違法な戦争のせい、という見解が世間的に広く支持されていることが強い背景事情となっていることは疑いない。
ということで、オーストラリア、カナダも変わっていったことだし、英グループ全体としては、あれはネオコンの違法な戦争だ、私たちはちょっと違う(!)という立場を泥の中に築こうとしているんでしょう。
中東全域のみならず、広くアジア地域で反・西側的な反抗が蔓延していくことは、20年先、30年先を見たら何にもいいことないしね。
しかも、just war(正しい戦争)と自分たちで主張し続けられるとも思ってないわけだから、余計にそう。
■ 筋が悪すぎる
あと、セイモア・ハーシュの告発文書で去年有名になったけど、そもそも、
化学兵器を使ったのはアサド政権側ではない、と結論したのは、イギリス、ロシア、一部アメリカの諜報&軍関係の諜報機関だと言われている。
で、そこからすれば一番罪が大きそうなのはトルコなんだよね。このへんで書いたこと(ちょうど真ん中へん)。
サマリーは、
- シリア政府に対する「反政府軍」とか呼ばれていたグループの一つ、アル・カイダ系のアル・ヌスラ戦線を支援していたのはトルコ。
- 化学兵器を使ったのはシリア軍ではない。そもそも、ロシア、イギリス、アメリカの諜報グループが分析をしていて、かなり早い段階から化学兵器を使ったのはシリア政府ではないと結論が出ていた。
- オバマが、化学兵器を使ったのはシリア政府以外に考えられないと語っていた時、米の統合参謀本部はそれは誤りだと知っていた。
- しかし紆余曲折というか政治的にというかメディア的にというかでアメリカがミサイル攻撃をするという話になってしまったが、それを押しとどめたのは、シリア軍は使ってないと米の情報機関が断固主張したため。
http://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/88a4d5597c149615a6a0440e89d52235
影で何が起きているかを見れば常にきれいごとではないしろ、シリアのアサド叩きは筋が悪すぎるという判断がイギリスにはあるものとみえる。
で、多分、サウジはイギリスとロシアが別々にアプローチして態度を軟化させるんじゃないかと思う。問題はやっぱり、トルコであり、クルドを巡るイラン、シリア、トルコの問題というのが意外に大きいのでは?
サイクス・ピコ条約がいけないのだ、とか簡単に言う人がいるけど、でもトルコはどちらかといえばこれで国土を保全されたと言うべきではなかろうか・・・? だってその時点でも既にクルド民族が広範囲に存在していたのにそこを無視したわけだから。
現代のサイクス・ピコだとか言われないように、各民族リーダーがしっかり出てきて話し合う場を作って、思う存分罵り合って、その過程で共存の道を模索してくださいませ。
シリア問題のウィーン会議2015に出ていた、イギリス、フランス、イタリア、ロシアってそれぞれサイクス・ピコ条約の当事者およびそれを黙認した人たちなので、そこが証人となって、新たな枠組みを作るってのはいいんじゃないかと思うな。
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オスマン帝国復活って何を目的にそんなこと言ってるんだろうかと疑問なんですけど何なんでしょう。欧州側に攻め入るつもりでしょうか(笑)。