APECを前にして日中首脳の会談が決まった。しかし、その前提として文書を取り交わしたそうだ。
日中首脳が会談へ 前提として合意文書発表 異例の対応
2014年11月7日21時21分
http://www.asahi.com/articles/ASGC76F6NGC7UTFK01B.html
安倍晋三首相と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)開催中の北京で9日か10日にも首脳会談を行う見通しとなった。日中両政府は7日、会談の前提となる「日中関係の改善に向けた話し合いについて」と題する合意文書を発表した。歴史認識問題で「双方は、歴史を直視」することや、尖閣諸島(沖縄県石垣市)など東シナ海の海域での「緊張状態」について「双方は、異なる見解を有していると認識」などとする4項目からなる。会談前にこうした文書が発表されるのは異例だ。
今日になると、
こうしたなか、APECの閣僚会議に出席するため北京を訪れている岸田外務大臣は、日本時間の8日午後、中国の王毅外相とおよそ50分間にわたって会談しました。両外相の公式な会談は2年2か月ぶりで、記者団に会談の冒頭が公開されました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141108/t10013055021000.html
ということなので、日中関係は「正常化」に向かいます、ってことらしい。
日本は尖閣を日本領だと主張し、あっちはあっちに主張がある、その上で友好を確認するということは、領有権については決着しないんだから、事実上「棚上げ論」に戻ったという意味ですかね。
■ 世界はG2だよ by ケリー
さてしかし、「正常化」というのはどういう正常化なのかわからないけど、結局なんというか、日本の側が正常化を望んだという印象は否めないんだけどどうでしょう。というのは、APECで会談できないってのはマイナスだという判断ですかね。
アメリカのケリー国務長官なんか、米中関係は不可欠の関係だとさかんに中国との関係の大切さを訴えているところを見ると、日本がふくれている場合じゃないっていう感じで背中を押されたようにも思う。どうだろう。
米中関係「世界で最重要」 ケリー国務長官
http://www.sankei.com/world/news/141105/wor1411050009-n1.html
日豪外相会談「日中関係改善に期待」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141108/t10013055801000.html
というわけで、アメリカは今後ますます中国に言い寄るであろうことが想像できる。
過去半年の間に、中露、そしてインドが接近してしまったから、米としてはロシアに持っていかれないように、言い方を変えれば、中露にくさびを入れるためにチャイナを大事にするっていう方向になるんだと思う。
つまり、中国包囲網変じてロシア外しを構成するために、日本も一役買ってますという状態でしょうね。これって、去年には考えもしなかった話のような気もするけど。
といって中国は別にロシアとの関係を悪化させる必要も事情もないので(内陸からのエネルギーを確保できれば戦略的に優位になるだけだから)、中国だけまるまるお得な状況。
私は、日本外交の一部の人たちは、このままでは米中共同管理、共同封じ込めが続くのが嫌なのでロシアに活路を見出した、と理解しているんだけど、元に戻るってことですかね。(このへんで書いたこと:米外交政策内の私たちの位置を考えれば・・・)
■ 歴史認識問題
さて、上の合意認識を示す文書の内容に、歴史認識問題が入っていることがなんとも嫌な感じがする。
尖閣は、そもそももう日中間でおおざっぱな調整は済んでるんだろうけど、双方は異なる見解を有している、というのはつまり尖閣はほぼ正式に係争地になりました宣言のようにも思える。
どうとでも取れる文章だけど・・・。一連の石原さんがらみのある種のスタンドプレーは結構な「無駄」だったと私は思う。
で、歴史認識は、「歴史を直視」する、んだそうで、これは中国側がかねがね言って来た、歴史に対する「適切な態度」、とか、日本を洗脳するのは止めろといった点を日本側が認めたようなものじゃないか、という読みをする人もいる模様。The DiplomatというサイトのShannon Tiezziさんという人の記事。
Second, both sides reached “some agreement” (“some recognition,” according to the Japanese translation) on overcoming political difficulties in a spirit of “facing history squarely and looking forward to the future.” This is as close as China could get to fulfilling its demand for Japan to adopt a “proper attitude” toward history and stop “whitewashing Japan’s militarist past.”
http://thediplomat.com/2014/11/a-china-japan-breakthrough-a-primer-on-their-4-point-consensus/
これもまたどうとでも読めるわけだけど、確かにここでこういう文言を使った以上、来年戦後70周年の際にいろいろいろいろ中国が問題を突きつけて来た時に日本が抗議し、となった時に、合意の文言を忘れたのか、みたいに使われるんだろうななど想像する。
■ 高村さんは何をしているのか
奇妙な感じなのは高村さん。
高村自民副総裁:露下院議長と会談「友好国」と説明
http://mainichi.jp/select/news/20141108k0000m030077000c.html
【モスクワ真野森作】訪露中の高村正彦・自民党副総裁は7日、プーチン露大統領側近のナルイシキン下院議長とモスクワで会談した。ウクライナ情勢に関連した日本の対露制裁について、ナルイシキン氏は「非常に失望している」と改めて表明。高村氏は「力による現状変更は認められない」と述べつつ、「ロシアが友好国であることも鑑みている」と日本の立場を説明した。
ナルイシキンさんの発言は9月ぐらいからのロシア政府の考えから外れていないと思う。ロシア政府は、9月の4回目の経済制裁を非常に不満に思っていると繰り返し述べている。
一方日本は、西部先生がひっくり返って怒っているあの文言、「力による現状変更は認められない」が日本の立場らしいのでそれを繰り返す。
わからないのは、今更何でそんなことを確認しあうのか。
ぶっちゃけ高村さんはイランがらみでアメリカのお使いとしてロシアに行っているんじゃないのか、なんても思うんだけど・・・・。
日露関係は再び冷却期間に入ります宣言ですかね。なんというか、安倍政権とは何だったのかって感じになってる。
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