DEEPLY JAPAN

古い話も今の話も、それでもやっぱり、ずっと日本!
Truly, honestly, DEEPLY JAPAN!

正教会&カトリック教会

2016-02-07 00:41:47 | 欧州情勢複雑怪奇

ロシア正教会のキリル総主教とローマカトリックの法王がキューバで会うらしい。ラテンアメリカ諸国をまわって2月12日が両巨頭の会合予定日であるらし。

左:フランシスコ法王、右:キリル総主教


この会合は、カトリック教会と正教会の1000年越しの亀裂を癒す試みと考えられている模様。

といっても、ローマ法王はカトリックのトップだけど、ロシアのキリル総主教はあくまでロシア教会という自治教会の首長なので、これでバランスしてるとはいえない。

正教会は概ね各国ごとに自治教会になっていて立場は互いに平等だから、ロシアがいくら大きくてもキリルさんが正教会を代表しているとはいえないのだが、なんせサイズが大きいので全世界の正教徒の2/3ぐらいは現在のロシアにいるだろうと言われているため、ロシアの教会の動向が大きい。

そしてそのロシア正教会は、長いことというか現在に至るまでといっていいと思うけど、カトリック側がロシア正教会側に浸透して、侵入して切り崩そうとしていると批判している。

従って、ロシア正教会とバチカンの関係というのが問題で、今回の組み合わせでの会合は史上初めての会合であるようだ。

実際問題、この問題は宗教というより、the West とロシア世界の関係のある種の本丸なんだろうという気さえする。

■ the West vs ロシア世界

ロシア正教側というかロシア側住民が、カトリックはロシアまたはスラブ地域に浸透しようとしてる、という時の例証としてわかりやすいのは、東方典礼カトリック教会あたりか。

なんだそのへんな名前は、なんだけど実際へんなといえばへんな話で、典礼はそのまま正教会でいいからカトリック教会に忠誠を誓え、みたいな宗派。

この派が盛んなのがウクライナ、ポーランド・・・。

と、平時であればああそうですかですんだろうけど、昨今の動きを見ていれば、やっぱりこれってカトリック側の東方侵略構想と言うべきものがあってですね、ってなロシア正教会およびロシア人の認識もまんざら嘘じゃなかったじゃんかよ、とならざるを得ない。

だってこれってつまり、教義上の理屈は相応についていたとしても、そんなことは平信徒にはたいてい及ばないんだから、信徒さんの毎日の生活は同じですよ、でもあなたたちは今から別のご主人の下に入りますって話でしょ、これ。

もちろんこれによってロシア教会側はこの行動によってこのへんを裏切者扱いしてきたので、それによっていわゆる迫害、弾圧ってなこともあったらしい。

が、しかし、過去200年ぐらいを考えれば、実際問題政治的、軍事的な侵略方向は東から西ではなくて西から東なわけですよ。そのたびにこのへんの、私の習俗はスラブですって感じの人たちがロシアとの関係で見た時には、いいやでもお前はカトリックだ、だからこれこれの言うことを聞くべき、になって事実上反ロシアになって、それはすなわちロシア側からみれば、あいつらは裏切者だから用心しろ、になってここに紛争ラインができる。

で、現実に起こったことを見ても、つい最近の90年代の終わりのユーゴスラビアの紛争でも、the West のセルビア空爆では正教会も当然に無残な姿をさらしていたし、ご丁寧にというか、後から入り込んできた人たちが正教会跡におしっこするとかなんとか奇妙にいやらしい憎悪が漂っていた。

さらに翻れば、ナチスに過剰に加担しつつ、正教徒をマジで、鬼畜ってあんたらかい的な勢いで迫害していた歴史もあるのがカトリック。またまた場所はセルビア、クロアチアなど要するにスラブ人居住地かまたはドイツ系との混在地。

カトリック聖職者のウスタシャへの関与

カトリックの聖職者達が正教徒のセルビア人にローマ・カトリックに改宗しろ、しないと・・・という行動に実際出て、これでもかという迫害行動が行われる。殺害された人数およびその方法、手続きなどがなんてか、著しく酷い。

さらに、これらの蛮行は第二次世界大戦が終結してもおさまらず、聖職者らはセルビア人やユダヤ人から奪った金品等を持ったまま逃げ、それをバチカンが支援したと考えられている。いわゆるバチカンのラットラインって話。

そういうわけで、何をどう考えても、私には、少なくとも過去100年のこのバルカンからウクライナあたりにおける動乱についてカトリック側に責任がない、関係ないとはまったく考えられません

NATOとカトリックの勢力拡大の方向が一緒ってどういうことですかって話ですよ。

しかるに、メジャーな歴史書や手に入りやすい本はこのへんの経緯にまったく触れない。

今回も、ウォールストリートジャーナルが上のローマ教会の法王とモスクワ総司教の会談の話を詳しく伝えていたし、東方典礼カトリックの問題に触れていたのもよかったが、カトリックとナチ、あるいは第二次世界大戦についてはまったく触れていない。つまり、ロシア側または正教会側から見た時のカトリックの姿がまったく書けていない。

つまり、結局、そういわけで、いろいろいうけど、まぁその、あんたら仲間なんですね、という状況からますます明らかになるなぁって感じの今日この頃。記念に記事のURLを置いておこう。2月12日以降また読み返す機会があるかもしれない。

According to a Vatican statement, the meeting will be “the first in history” between a Russian Orthodox patriarch and a pope.
http://www.wsj.com/articles/pope-to-meet-russian-orthodox-leader-in-cuba-1454673252

ということは、今回の会談も、このへんで触れたことと同期してるということでしょうね。

覇権にモラルは不要なのか

ナチズムファンの方、朗報です!?

冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた

 


 


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« TPP調印だそうです | トップ | クルドかトルコ、どっちを取... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
『十字軍の侵略』 (ローレライ)
2016-02-07 08:50:40
『ドイツ騎士団』とか『十字軍の侵略』は『正教会』がターゲットだった『負の記憶遺産』がある事はイスラム世界ほどには語られて来なかった、不思議。
返信する
みんな夢の中 (ブログ主)
2016-02-07 17:20:05
そこなんですよ。前にも書きましたが西欧のローマ教会にとっては、イスラムよりもとにかく正教会が敵なんだと思います。イスラムを使ってコンスタンチノープルを取ったって感じさえしますし。

イスラムとthe Westが敵同士なんてまやかしだと思います。でも、彼らこそそのローマ法王派vsコンスタンチノープルの正教会派の悶着の生き証人でもあるんですよね。そこで、シリアを潰したいのかなとか夢想してます。

このへんはしかし、語られてないってことはなくて地味にロシア世界&一部イスラム世界が目覚めつつあるかもな、って感じはありますね。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

欧州情勢複雑怪奇」カテゴリの最新記事