だいずせんせいの持続性学入門

自立した持続可能な地域社会をつくるための対話の広場

原発震災(10)共感とともに

2011-03-20 23:11:56 | Weblog

 今日は、豊田市の野外イベント「とよたまちパワーフェスタ」で田中優さんのトークライブがあり、コーディネータの中根桂子さんに呼ばれて私も一部ステージに上がっていっしょにおしゃべりした。田中優さんはap bank天然住宅などの活動をとおして、環境、住宅、森林、そして原子力の問題に取り組んでこられている。今回は、前々から決まっていたイベントであるが、内容は福島第一原発の事故についてのトークとなった。

 優さんの弾丸トークは論理明快でとてもわかりやすく魅力的である。今回の事故については、「心配しすぎるものよくないし、かといって安心しきってもいけない」とのことで、私もまったく同感である。また、原子力発電所を止めてもやっていけるという話は、私の話よりもっと過激で、原発を全部止めても何の問題もない、ということだった。つまり、すべての発電設備がフル稼働するのは、夏の何日かの電力ピークの時だけであり、年間で10時間程度でしかない。それ以外は設備の一部は止まっている状況である。
 現状では原子力発電所が出力調整できないので、原子力優先で火力や水力発電所が止まることになる。そうではなく、火力・水力を優先すれば、ほとんどの期間は原子力を動かす必要はない。問題は電力ピークの時で、その時にも原子力を動かさないとなると、2割の節電が必要である。
 その節電をどのように達成するか。電力ピークにおける需要の9割は企業のものである。優さんは欧米での例を紹介された。あるところではピーク近くの企業向け電力価格を通常の11倍にしている。それで企業はいやがおうでも節電する。また別のところでは、ピーク電力枠を市場で売買する仕組みにすると、結果として価格が上昇して企業は節電する。これらの方法で2割程度のピークカットは十分可能とのことである。なるほどと思った。

 聴衆はどんどん増えて200人はいたのではないだろうか。皆、食い入るように聞き入っている。女性が多い。若い人も目につく。

 トークライブの後半から私もステージに上がって、優さんと中根さんと3人でおしゃべりした。私は、マイクロ水力発電や地中熱利用、薪ボイラーなど自然エネルギーの取り組みの話をした。事前の打ち合わせはまったくなかったが、うまくかみあったトークになったと思う。
 最後に中根さんから「今の私たちにできることはなんでしょう」という問いかけ。優さんは、「今ここの足元でできることをやってください。被災地で小さい子どもを抱えている家族を受け入れるなどどうでしょう。これをきっかけに文明のカーブを切ることができればとてもいいですね」というお話。

 私は、前にも引用した丹羽ヤスコさんのブログの言葉を紹介した。

「毎日多くの人と話すのは、今回の災害について。
みんな、映像を見ては、嘆き、悲しみ、不安や、
自分が普通に生活している事に罪悪感を持っています。
『こういう時にこんなことをしてはいけないのかも?』とか
『被災地のことを考えたら』とか。

勿論、そういう気持ちは当然です。
でも悲惨な気持ちを持つと、そういうエネルギーを送ってしまうので
そういう状態が、もっともっと現実になります。

被災していない私達が出来ること。
まず自分が幸せであること。
そして光や暖かい気持ちを送ること。
被災した皆さんや、今まさに、
命を懸けて原発を食い止めようとやってくれている方達に愛を送ること。
きっとそれが、力になるはずです。

つい、沈んだ気分になってしまう時には
私は、胸から暖かい、明るい光があふれだして
被災地へ向かうようなイメージを持つとやりやすいです。

まだ終わっていません。
最悪のシナリオから脱して欲しいので、愛を送り続けます。 」

皆がこういう心をもって共感とともに暮らすようになるということが文明のカーブを切るということなのだろうと思う。そしてその文明に原子力はけっして似合わない、と私は思う

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9 コメント

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女性の方が… (よし美)
2011-03-21 22:16:22
女性の方が必死に身体に影響することは聞くでしょう。命を宿す身体です。


身体を大切にすることは、すなわち地球を大切にすること。何故ならわたしたちの身体は地球の一部。

ですから
地球を大切にすることは身体を大切にすること。


私の親友(画家)はミクロネシアで暮らした経験があり、自然と共生する素晴らしさを身をもって感じたので、
未来にその暮らしができたら素敵だと、イメージしているほどです。

豊かな感性がそう感じさせるのでしょう。

身体を大切にすることには感性で感じるということが深く関わってる気がします。

わたしは音楽をやっているのですが、年配男性のお客様の感性がずっと気になってました。「~は知ってる」「知ってる曲をやって」と頭で解釈する人が多く、プライドが高いのです。


わたしが女性のお客様が有り難いのは、感性で感じて「いい」と言うからです。あるいは「苦手だ」とも言う。それは命を宿して身体を大切にすることに実は直結しているかもしれません。


この地震大国にどんどん原発を建てたことは理屈の上からもおかしなことですが、

もしわたしたちがもっと感性を大切にし、大地の声を聴き、空の色、海の豊かさを命の根元と感じ愛していたなら、違った世界になっていたように思います。。

とはいえ感性はほんとうはしっかりある。私たちが得てきた頭脳、理論からなるもの、それがあり、しかし感性はある…素直に耳を済まし。目を凝らし。。自分の五感を信じると、ちゃんとある。


その上で、原発の多大なリスクの上に成る経済と、永久(とこしえ)に続く命のバトンは、天秤にかけられるものではないと「感じる」人が増えてくれたら、いいな。と思います。
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Unknown (miya)
2011-03-21 23:02:11
まったく同感です♪転載させて下さい♪

さきほど今度は九州で地震。
あまりのんびりしている時間もなさそうなので即刻全原発停止を求める具体的行動に移していく事が大切かと思います

まずは直下型が来たら今回より悲惨な状態になりそうな浜岡原発停止ですね。
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11倍の欺瞞 (とんこつ)
2011-03-22 07:51:17
>優さんは欧米での例を紹介された。あるところではピーク近くの企業向け電力価格を通常の11倍にしている。それで企業はいやがおうでも節電する。

この欧米の国というのを調べるとフランスなんですね。
フランスの電力使用における原子力発電の割合は約80%、原子力発電は出力調整ができない(難しい)から必然電力使用量の変化を抑えないといけない。
フランスは確かに一人当たりの電力消費では日本より少ないが、一次エネルギー消費では日本を上回る。
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ブログを紹介させていただきました (えこマッキー)
2011-03-22 07:51:32
原発をどうやって止めたらよいか悩んでいて、このブログに出会いました。私も自分のブログで毎日のように原発事故のことを書いて来ましたが、とても学ばされましたので、勝手に紹介させていただきました。

地域コミュニティー内で自給できるような小さな発電方法が、もっと研究開発されることを、強く願っています。
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まちパワー、聞きに行きました。 (まなこ)
2011-03-22 21:36:53
お話ありがとうございました。
トークライブ自体も「心配させすぎず、安心させすぎず」事前打ち合わせなかったことに驚くくらいいい内容でした。
だいずせんせいの小水力発電や足助の話も聞くだけでわくわく出来、私も参加してみたい!とまで思いました
田中優さんのお話も、これまで石油・石炭・ウラン等々の輸入のために海外へ約24兆円支払っていたのが
自然エネルギーにシフトすれば、国内の雇用が増えて地域にも還元できるなんて素敵すぎます
欧州ではどんどん普及しつつあるとのことで、日本も負けていられませんね
私も知恵を出して、実現させたいです
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ありがとうございます。 (匿名希望)
2011-03-22 23:36:50
今までの便利な生活には、感謝していました。

あまりにも便利すぎて、怖く思ったこともあります。全部が自動になってしまって、
よく考えたら「自動ドア」にも疑問を持つべきだった。

自動食器洗い機だの、掃除機だの、洗濯機だの、
自分でできることばかりじゃないか。

こうなってしまった今、
勇気を持って この負のスパイラルを絶たなければいけないと思う。

私は今24歳です。とても不安です 
私たちの故郷がなくなってしまうのがとても怖いです。

私はこれから生まれてくる子に、恨まれたくない。
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3月27日名古屋 脱原発を歩こう パレードやります (いしい)
2011-03-23 00:28:25
お知らせをコメントで書くのはルール違反でしょうか・・・。(高野先生ごめんなさい)

いてもたってもいられない、という高校生たちが呼びかけてくれて、

『脱原発を歩こう!~ストップHAMAOKAぱれーど~』をやります。ぜひご参加下さい。

場所:名古屋 栄 
   久屋大通公園バスターミナル前集合
  (三越前と中日ビルがあるところ)
集合:10時30分  
開始:11時00分~1時間程度
三越あたりを一周して、最終的には中部電力本店まで歩きます。
返信する
とよたまちパワーフェスタ (カズ)
2011-03-25 03:02:45
先日はお疲れさまでした。
GreenDropのカズです。
小水力発電の話など、新しい生活のカタチを想像してワクワクしました。
被災地に支援に行く際にも、小さな電力を貯めれる仕組などがあればいいな~なんて思いました☆
http://greendrop.sblo.jp
にて当日の動画を紹介させて頂いています。
ぜひご覧下さい。
ブログもHPにリンクさせて頂いていいですか?
またお会い出来るのを楽しみにしております。
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地球温暖化はどうしちゃったんだろう (田中憂)
2011-05-04 18:14:01
田中優氏は、ついこの間まで地球温暖化問題で熱心に活動されていて、早急に対策を行ってCO2を削減しないと地球が滅亡するとまで言っていました。
(ポジティブフィードバッグで気温上昇が止まらなくなってメタンハイドレートが溶けて云々)

ところが、原発事故が起こって脱原発ブームになると突然、CO2排出を減らすことなど忘れてしまったかのように「火力発電と水力発電を主力にすれば大丈夫」と言いだしました。

火力を中心にすればCO2の排出は大幅に増えるでしょうし、風力や太陽光などの自然エネルギーに切り替えるにも長い時間を要するでしょう。
その間、原子力を全て止めて火力・水力でということで良いのでしょうか?

今まで原子力に傾きすぎた電力供給を方向転換しようという考えは理解できますし、田中優氏が以前から反原発の立場をとっていたことも知っていますが、「あれだけ地球温暖化の危機を煽っていたのはなんだったんだろう」とも思ってしまいます。
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