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ミゲル・コット対ジョシュア・クロッティ(2009/06/13)

2009-06-14 19:53:33 | ボクシング
WBOウェルター級タイトルマッチ

WBOウェルター級王者ミゲル・コット選手(Miguel Angel Cotto)にガーナの前IBF王者ジョシュア・クロッティ選手(Joshua Clottey)が挑む注目のタイトルマッチはプエルトリカンパレード開催中のニューヨークMSGで行われ、熱戦の末にコット選手が際どい2-1判定を制しタイトル防衛に成功した一戦でした。(体格比較)

実力者同士の激突は期待に違わぬ熱戦となりました。
コット選手が軽く動きながらジャブ、右ストレートリードで先に先に仕掛けていき、それを鉄のガードで弾き返したクロッティ選手が反撃を狙うという、ほぼ予想通りのスタートとなった立ち上がり。
クロッティ選手の固いブロッキング、反撃のパンチは非常に鋭くパワーを感じさせるものなのですが、先に手を出してくるコット選手に対して手数が少なく、やや後手に回った印象。初回終了間際にコット選手がジャブをどんぴしゃりのタイミングでヒットさせてダウンを奪う場面もありコット選手が僅かに優位に立った試合序盤戦のように見えました。

しかし3回に偶然のバッティングでコット選手の左眉がザックリと切り裂かれたあたりからペースが変わっていきます。結構酷いカットでしきりに左目の出血を拭う仕草を見せるコット選手に対し、クロッティ選手の右ストレート、右アッパー、ダブルで上下へ打ち分ける左フックなどの鋭い攻撃が徐々に王者を追い詰めます。
コット選手もよく動きながらスピードのあるコンビネーションで対抗するのですが、7回から9回にかけてクロッティ選手の鋭い攻撃、特に右のパンチを浴びながらロープ伝いに逃れるのがやっと様子は、マルガリート選手との試合の悪夢を思い起こさせる場面の連続で、終盤に入ってクロッティ選手の攻撃の精度が落ちた事に助けられてなんとか判定に持ち込んだ、王者にとっては非常に苦しい試合に見えました。


しかし公式の採点結果は116-111、115-112コット、114-113クロッティというスプリットで王者の防衛成功。
私も上記の通りクロッティ選手の激しいチェイスが王者を上回ったとの印象を持った試合終了時なのですが、自分自身で記していたスコアを見てみると114-113コットとなっていて、より上手くポイントをピックアップしたコット選手が接戦を制した感じでしょうか。初回のノックダウンも効いていました。

より多くのパンチをより高い的中率で、より強くヒットさせていた挑戦者のクロッティ選手なのですが、コット選手が結構苦しくなりはじめていた5回にコット選手のファウルをアピールしてしばらく倒れこんだり、最終回に右ストレートでコット選手を追い詰めてチャンスを掴みそうになった場面でラビットパンチをアピールして試合を中断させた場面など、自ら好機を放棄するような行動が意味不明でした。
6回にコット選手の左フック→左フック右ストレートを浴びてからのコーナーに詰まって防御に専念した場面や(効いているようには見えなかった)、
10回以降攻撃が雑になってしまった面など、勝ちきるためのあと一歩が足りないというか、自ら勝利から遠ざかるようにしていたようにも見えるクロッティ選手の姿勢が見ていて歯痒かったです。本人にそんな気は毛頭無いのでしょうが「なぁにやってんだYO!」と言いたくなる場面が非常に多かったです。

クロッティ選手の高い能力を再確認させられる内容であったと同時に、真のトップになりきれない理由が見えたような気がしました。





コット選手は34勝(27KO)1敗。クロッティ選手は35勝(21KO)3敗。

試合動画(megavideo)


Cotto edges Clottey!(Matt Richardson and Andreas Hale/fightnews)
Cotto Bloody and Bruised, Overcomes Clottey in Twelve(Mark Vester/Boxing Scene)
Cotto-Clottey Quick Quotes!(Alex Dombroff/fightnews)
Miguel Cotto Wins Split Decision Over Joshua Clottey In Thriller - Pacquiao Next?(James Slater/eastsideboxing)
写真
コット 判定勝ちで王座防衛(AFP)
MIGUEL COTTO PULLS TOUGH SPLIT DECISION(Chuck Johnson,Photos by Will Hart/HBO)
Photos: Miguel Cotto vs. Joshua Clottey Mega Gallery(boxingscene)
Cotto Triumphs at the Mecca!(Matt Richardson,Andreas Hale/fightnews Photos: Ed Mulholland/FightWireImages.com)


・USA TODAYのMichael Falgoust氏は116-112コット(Cotto-Clottey round-by-round breakdown)
・FIGHTHYPEのBen Thompson氏は115-112コット(Round-by-round: Cotto Vs. Clottey)
・ESPNのDan Rafael氏は116-111コット、テディ・アトラス氏は4ラウンドをイーブンと見た114-114(Cotto finally puts ghosts behind him)
・boxingnews24のManuel Perez氏は116-112クロッティ(Cotto Defeats Clottey on Gift Decision)
・ダグ・フィッシャー氏のこの記事ではプエルトリコ人記者(?)のJose A. Sanchez氏の「多くのプエルトリコメディアがクロッティの勝利を支持していた」との声を取り上げています。サンチェス氏自身の見方も115-113クロッティ(Clottey can't catch a break)
・boxingsceneのT.K. Stewart氏は115-113クロッティ(Miguel Cotto Gets a Gift in Madison Square Garden)
・HBOのハロルド・レダーマン氏は114-113コット
・braggingrightscornerのFrank Gonzalez Jr.氏は114-113コット(COTTO WINS A CLOSE ONE OVER CLOTTEY)
・ネバダ州の元ジャッジ、チャック・ジャンパ氏は114-113コット(Judge Giampa's take)

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18 コメント

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Unknown (大和)
2009-06-15 08:10:56
私の採点では114-113でクロッティでした。かなり競った試合でしたね。
クロッティが5Rで倒れこんだ後に中々起き上がらず、その後も何故か足を引きずっているのを見て時間稼ぎか減点を呼び込むためかと思いましたが、よく見るとクロッティを倒したコットが下がりながらクロッティの左足を踏んでいました。その後もクロッティはフットワークが乱れたり踏ん張りが利かなくなってるシーンが見られたので結構なダメージがあったのではないでしょうか。

実力伯仲の好試合とはいえ、詰めが甘かったクロッティとアウトボックスに切り替えたコット、そして幾つかのトラブル。両者が実力を出し切ったというよりも消化不良を感じました。是非再戦で決着を付けて欲しいですね。
これからパッキャオとメイウェザーを中心に中量級がお祭り騒ぎになると思いますが、今のところコットはそこに参加するには役者が一枚落ちると感じます。
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Unknown (管理人)
2009-06-15 12:20:34
>大和さん
5回のあのシーンはよくわからなかったので何度も見直したのですが、足踏んでましたかねぇ?
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/ce/3f7c9fbb827319a806e60e8c3a190666.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/38/e844f44db41d499681248375d872f280.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/12/fd/48d0a65f642a409dab304337851f3742.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/32/0b/face25e48a943a260b559ebdb64045be.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2b/71/488c94d090b9e5e1d4d9bc9635bd03e5.jpg
問題の場面を見ると、持ち上げらてから落とされた時にキャンバスに叩きつけられた衝撃orわきにコットが頭を突っ込む形になった時にコットの肩がタックルのようにぶつかった衝撃が大きかったのかな?と感じたものの、
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/e3/b0d7acf88d853da6eae51f2e03a90b41.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/73/10/e695fb58c4fe3fd7c058d3b135b7ed4e.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/d1/b6a51fbbe3bbf57fe5eb0a1bd0dd27b3.jpg
再開後のクロッティ選手のリアクションがそれとは違う感じで、よくわからなかったです。

あの場面がクロッティ選手の演技だと決め付けているわけではないんですが、5回はクロッティ選手の右が何度もコット選手を捉えていて流れが大きく傾きかけていた状況だったので惜しいと感じました。あとこの日のキャンバスはかなり滑りやすい箇所があったように私には見えました(広告部分?)。

再戦はどうなんでしょうね?
http://www.boxingscene.com/?m=show&id=20435
http://www.fightnews.com/?p=14013
メイマルケスが延期になってしまったようですし・・?(確定っぽいですね・・)

http://www.boxingscene.com/?m=show&id=20444
11月4日コット対パック、という話も出ているようですが、この日のコットの試合を見てパック大丈夫だろみたいに見るのはあまりに危険だと私は感じます。
対パックを当然意識しながら見ていた試合でしたが、パックファンの私から見てコットは凄く嫌で怖い相手に見えます。
初回のダウンを獲った場面なんかを見ると、私的にはモズリーよりもメイよりもコットは嫌=怖い、相手ですねぇw
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Unknown (管理人)
2009-06-15 15:42:22
>大和さん
確かに踏んでますね。
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/18/84/33f8074c3c4ab1c92e73a62e3d1d7196.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7f/02/34962d2d35cfa1ffd1b9aad9457589ab.jpg
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/a3/abb68e01e7e6b6016875a1772fa5e2cb.jpg

試合後のリプレイが分かりやすいですね。ラウンド間のインターバルでのリプレイ(踏むシーンの前で終わる)ばかりを見ていてわかりませんでした。失礼しました。


http://www.boxingscene.com/?m=show&id=20450
クロッティはコットのタックルによって膝を痛めた&減点をしないレフェリーに対する不満を述べているみたいです。「コットに投げ落とされた時にキャンバスに膝を叩きつけられて痛めた(I hit my knee on the floor [when Cotto threw him down])」との主張のようです
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Unknown (yoshi)
2009-06-15 19:31:00
私的採点では自分も114-113でクロッティでした。採点表見返すと7回からすべてクロッティに振り分けていました。コットはマルガリート戦で犯した、自らロープにまっすぐ下がる悪い癖?を見せましたね、あれではファイタータイプの選手ならガンガン攻められますよ。そこを攻め切れなかったクロッティはトップになる何かひとつ足りない選手でしょう。コットは後半のフィジカルにも問題ありとみました。
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Unknown (大和)
2009-06-15 20:08:22
>管理人さん
私も軽く見直しましたがクロッティはむしろ右足の方を気にしてたようですね。

それにしてもメイウェザー×マルケスも延期ですか・・・。
となるとパッキャオ×コットの線が濃厚に思えてきますが・・・う~んコットがパッキャオに勝てるとは到底思えないんですよねぇ。ちょっとコットに辛めになる傾向があるのは自覚してるんですが。
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Unknown (管理人)
2009-06-15 20:15:13
>yoshiさん
私の採点は
1,2,6,10,11,12がコット、3,4,5,7,8,9がクロッティで6ラウンドづつ取り合ってダウンの分コット勝ちになっていました。
ただ確実とは言い難いラウンドが2,3,4,5,10,11,12と7ラウンドもあって(あくまで私個人の見方&ラウンド毎に微妙さの程度が違う)、この7つを私は上述の通りコットが4つ、クロッティが3つ取ったと見ましたが、これらが偏った場合117-113クロッティから117-110コットまでありってのが私の見方ですね。

そろそろエキサイトマッチでの放送が始まると思うので、浜田小泉両氏の見方とそれを見た人たちの意見に興味がありますね。
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Unknown (管理人)
2009-06-15 20:25:06
>大和さん
メイマルケスが9月、コットパックが11月、という話しが出ているので、この勝者同士がぶつかり合うって流れになっていくのかもですね? まあボクシング界の先のことはどうなるか全く不透明なんですがw

もし本当にコットとパックがやるならば、契約体重がどの程度になるのか注視したいですね。コットにとって無理難題に思える数字をパック側は要求していいと思います。そしてコット戦に固執する必要はないとも思います。
パックはウェルター級の選手とウェルター級で戦うにはやはり小さすぎると私は思っています。
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Unknown (チャビ)
2009-06-16 13:06:37
昨夜WOWOWにて観ました。
僕の採点では、114‐113でクロッティでした。
でもやはり、どちらに入ってもおかしくないラウンドがたくさんあったと思うので、コットはうまくポイントを拾えたんだと思います。

それにしても、コット対パックが実現したら楽しみです。
僕はコットが勝つチャンスは大いにあると思います。

コットは、マルガリートやクロッティという強固なフィジカルを持つ相手に苦戦してますが、パックは決してそういうタイプの選手ではありません。
またパックは、マルケスのようなハイレベルなテクニックを持つ選手に苦戦しています。

おそらくコットは、パックにはフィジカル負けしないし、パックはコットのテクニックに苦しむと思います。
試合展開としてはやはり、パック対マルケスのような感じになるような気がします。
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Unknown (ふみ)
2009-06-16 18:12:08
115-112でコット。クロッティのややなまくらなボクシングではプエルトリカンの声援でポイントがコットに流れると見ていて、その予想は当たりましたが、ここまで接近するとは思ってませんでした。

コットについては、いまだウェルター級に完璧に順応するだけの肉体・スタイルが作り切れていないのかな? という疑いが、転級後ずっと拭い去れません。パワーで押し切れず、後半のスタミナにもやや不安を抱える。Sライト級とウェルター級の間は7ポンドと大きいですし(見た目の体の大きさならば紛うことなきウェルター級なんですけどねえ)。

ということで、ウェルター級の肉体的なアドバンテージを必ずしも活かしきれず、ディフェンスの穴も露呈した(右アッパー打たれすぎ)コットは、パッキャオ陣営にすれば美味しい相手のように見えた可能性は高いのでは。逆にそれが油断に繋がらないかが心配です。

まあ、Sライト級とウェルター級の7ポンドについては、パッキャオも同じことが言えるんですが、こんなこと書いている間も、パッキャオは子供の頃には食えなかったような旨い飯をモリモリ食って、さらに体を大きくしてそうな気がしてならない。w
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Unknown (管理人)
2009-06-16 19:43:48
>チャビさん
パックの相手として現実的な名前のメイ、モズリー、コット。
試合の条件(体重とか)によっても変わってきますが、パックはこの3人誰とやっても敗戦するリスクを抱えていると思います。
逆にパックが勝つパターンってのも想像可能なんですが、コットはパックが「快勝」するのが一番難しい相手のように私には思えるんですよねぇ。
仰るようにコットの高い技術が脅威になるような気が私はしています。
ローチを中心とするパック陣営が相手をしっかりと選んで欲しいですね。最近調子こきすぎなアラムには少し黙っていてもらいたいですw(アラムが対コットに熱心)

>ふみさん
コットのこの日の苦闘の理由はいろいろあるんでしょうが、やはりカットによる影響ってのは少なくなかったと私は感じています。
切らなかったらきっちり勝っていたか、ってのはまた違うとも思うのですが。
7回8回9回はマルガリ戦を見ているようでコット自身も相当苦しかったと思うのですが、この日の結果がコットにとって
マルガリ戦同様のピンチに陥ったが、それを乗り越えて掴んだ勝利
なのか、再びマルガリ戦の悪夢を味わってしまったヒヤヒヤの勝利
なのか、どちらなのかで今後のキャリアが変わってくるんでしょう。

コットは足を使えるので、ブロッキングに頼るディフェンスではなく、ステップワークを駆使したディフェンスをすれば随分良くなるように思えるんですけどねぇ。ブロッキングしながら少しのバック・サイドステップを加える
・・・まあ素人考えですねw
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