IBFクルーザー級タイトルマッチ
IBF王者のスティーブ・カニンガム選手(Steve Cunningham)とキューバ出身の暫定王者ヨアン・パブロ・エルナンデス選手(Yoan Pablo Hernandez)とによるIBFの王座統一戦はドイツで行われ、6回負傷判定でエルナンデス選手が勝利した一戦でした。
初回にエルナンデス選手の左フックで痛烈なノックダウンを喫したカニンガム選手。両者が接近・交錯した場面で死角から飛んできたキューバ人の左を耳の後ろに決められて倒された米国人のダメージは深刻なものに見え、ここで試合が終わってしまうと思えた強烈なダウンシーンでした。
しかしラウンド終了のゴングに救われる形で休息を得たのも良かったのか、カニンガム選手の2回の動きからはダメージの影響はさほど感じられません。エルナンデス選手が正規王者に対して敬意を払い過ぎなのか、狙っていたためなのか定かではありませんが極端に手数が少ないのも手伝い、カニンガム選手が左ジャブから自らのリズムを組み立てていきます。
3回には良い右フックや右ストレートが入る場面も作った米国人。5回にはサウスポーに対するリードとしての右ストレートを使う場面を見せ、ボディも効果的に決めて徐々にペースを自らのもとへと引き寄せていた流れの中での負傷判定決着。
3回に偶然のバッティングでエルナンデス選手の髪の中から出血、さらに5回に今度もバッティングでエルナンデス選手の眉間のあたりが切り裂かれ、ラウンド終了後のインターバルでの試合終了でした。
公式のスコアは59-54、58-55エルナンデス、57-56カニンガムの2-1エルナンデス。シロート採点57-56カニンガム。
初回のダウンもあってこの時点でのスコアではエルナンデス選手リードという見方も仕方ないところでしょうか。ただ59-54ってのはちと疑問でもありますけれど。
エルナンデス選手が手数も少なく負けていたと私は見た試合でしたが、エルナンデス選手の恵まれたサイズと左の強打を生かした待ちのボクシング、不恰好な懐の深さを感じさせるボクシング、ってのをこの人なりに完成させてきているのかもと思わせた試合でもありました。
カウンター気味に決める左アッパーのボディブローなんか見事でしたし。エルナンデス選手の強い左に対する警戒・プレッシャーがあってカニンガム選手がはっきりとペースを握り切るという状況まで持って行けていないように見えた流れでした。
エルナンデス選手は25勝(13KO)1敗。カニンガム選手は24勝(12KO)3敗。
Hernandez Gets Split Nod On Cunningham, Wins Title(Alexey Sukachev/BoxingScene)
Yoan Pablo Hernandez Upsets Steve Cunningham Via Suspect Technical Decision(Scott Christ/Bad Left Hook)
Cunningham: They Stopped The Fight To Take My Title!(Luke Furman/BoxingScene)
Hernandez dethrones Cunningham(Karl Freitag/Fight News)
写真
Photos: Proksa, Hernandez Capture Gold in Germany(Wilhelm Springer/BoxingScene)
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ジョーンズとの試合がキャンセルされ、急遽決まった感のあるこの試合、とても勝機があるとは思えなかったのですが、なんと…。
とりわけ1Rのショートの左は見事でした。即ストップでも文句を付け難いほど効かせていましたし。
だんだん盛り返されて、後半へ黄信号が灯っていたところでの「幸運な」負傷判定でしたから、結果的にはあの一発で決まった試合です。
採点は、僕はエルナンデスの左の有効性をとって、57-56エルナンデスでした。58点でも有。
微妙な結果ではありますが、この選手の過去数年間からすれば、ちょっと考えられない進歩なのは間違いなく、なんとも感慨深いものがあります。
再戦したら、今度もエルナンデスが不利なのは間違いない。
ストップのタイミングと採点について問題視する声も少なくないみたいなので、再戦ということになっていくのかもしれません。
しかし私も本当に驚いた試合でした。まさにボクシングはやってみなければわからない、という内容でした。