大福 りす の 隠れ家

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みち  ~未知~  第115回

2014年07月08日 14時10分08秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第110回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~未知~  第115回



週末、雨。

待ち合わせ場所はバイキングをしているホテルになった。 現地集合、現地解散というわけだ。

「ホテルに行くんだからGパンっていうのもね・・・ちょっとはお洒落しておいたほうがいいわよね」 暦との待ち合わせ場所に傘をさして向かった琴音。

朝起きた時には車で行くつもりであったが 時間が経過して行くと雨が降っているのにもかかわらず何故かバスと電車で行こうと思いなおした。

ホテルに着くと折りたたみ傘を畳んで、鞄の中が濡れないよう厳重にビニール袋にも入れて鞄の中に入れた。 ホテルへは早目に着いたが、しっかりと本を持って来ているのでロビーで本を読んで時間を潰した。 

暫くたち

「琴音!」 振り向くとそこに暦の顔があった。

「相変わらず本を読んでるのねぇ」 琴音が持っている本を覗き見ると

「なに? 字ばっかりじゃない!」

「当たり前でしょう。 漫画じゃないんだから」

「わ、頭が爆発しそう」

「そんな事言っても 学校の役員なんてしてたらプリントとかで字ばっかりでしょ?」

「そうだけど、それでもA4数枚くらいじゃない」

「本って結構面白いわよ。 暦も読んでみればいいのに」

「絶対読まない」

「そこまで拒否する? ま、いいか。 行こうか」 本を鞄に入れ立ち上がった。

「ここのホテルのバイキングって結構美味らしいのよ」

「へぇー、そうなんだ」

「1階らしいんだけど」 案内板を前に暦が探し出した。

「あ、ここ、ここ。 現在地がここだから・・・こっちね」 暦が先に歩いた。

歩いて行くと

「わ、賑わってるあそこがそうじゃない?」 琴音が言うと

「そうみたいねぇ。 入られるかしら?」 受付で聞いてみると

「大丈夫ですよ。 団体さんがもう出られますから」 そういわれて中の人たちの胸元を見てみると『○○ツアー』 と書かれたバッジを付けていた。

「ああ、ツアーのお昼にここが入ってたのね。 琴音どうする? 中の人が出て行ってからにする?」

「そうね、ちょっとゴタゴタしてるわよね」 そういった途端、次から次へとその団体さんが出て行った。

「あ、もう出るみたいね。 暦、入ろうか」

「そうね」

「じゃあ、大人二人でお願いします」 しっかりと琴音が支払った。

「素直にいただきますでいいの?」 

「勿論じゃない。 でないと一生言われそうだわ」

「そんなにタチ悪くないわよ」 さっきのゴタゴタした雰囲気とは全然違って充分落ち着いて食べられる。 

テーブルの場所を決め、一人が鞄の留守番だ。 交互に取り皿に取って来た。

「暦のも美味しそうだわね」

「でしょ」 まずは和食を取って来た暦であった。 琴音はサンドイッチ。

「もう、琴音ったらこんな所へ来てもパン食なの? もっと違うものを食べなさいよ」

「美味しそうなサンドイッチだったから、ついね」

「偏食にも程があるわよ」

「ああ、お母さんに怒られてるみたいだわ」 それからはお皿が空になると洋食、中華と続けざまに取って来た暦。

「暦、胃の中がおかしくならない?」

「美味しいものに国境は無いわよ」 

「国境!? そう来る?」

「美味しいものを美味しく頂く。 それが食べられる食材の何よりもの幸せだし、食べる方の礼儀よ」

「へぇー 暦がそんなこと言うんだ」 

「何言ってるのよ 私そんなに冷血人間じゃないわよ」

「冷血人間だなんて言ってないけど・・・へぇ~」

「お婆さんがよく言ってたのよ。 うちのお婆さんよく山菜を取りに出かけるじゃない? 山の恵みで山菜を食べさせてもらってるんだから感謝していただきなさい。 ってよく言われたものよ。 だから美味しくいただくって言うのは大切な事よ」

「山の恵みねぇ」

「そうよ、せっかく命を差し出してくれたのにそれを残して捨てたり、イヤイヤ食べたりって失礼じゃない?」

「そう言われればそうだけど。 暦がねぇ・・・」

「ちょっとその言い方何よ、もう! それより琴音の食べるのをさっきから見てると お野菜とシーフードばっかりね」

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