大福 りす の 隠れ家

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みち  ~道~  第125回

2014年08月12日 15時06分00秒 | 小説
『みち』 目次



『みち』 第1回から第120回までの目次は以下の 『みち』リンクページ からお願いいたします。

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『みち』 ~道~  第125回



「それと・・・土いじりをしてる? お花か何か育ててるのかしら?・・・第1,2チャクラが結構いいんだけど・・・何か心当たりある?」

「心当たりって・・・土は苦手ですし、お花も育ててませんし・・・それにそのチャクラって言うのがもう一つ、何か分からないから・・・」

「あ、そうだったわね。 うーん、なんて言おうかしら お花には縁がないのね?」

「はい 全く」

「地に足が付いてるって言うの? 第四チャクラを境に第一から第三チャクラは肉体のチャクラとも言われてるのね。 そうねぇ具体的には・・・アウトドア派?」

「いえ・・・インドア派です」

「そうなの?・・・じゃあ、なんだろうかなぁ・・・」

「あ、アウトドアっていうんじゃありませんけど ここ最近2回ほど山に登りに行きました」

「山登り?」

「はい。 どうして登ったのか自分で訳が分かりません」 思い出して溜息をついた。

「訳が分からなくて登ったって、どういうこと?」

「はい。 1度目は 何だか急に山に行こうと思ったんです。 山登りなんてしたことがないんですよ、それなのに・・・」

「2度目は?」

「大きな勘違いから始まったんですけど 最初から山に登る気なんてなかったから途中で下りようと思ったんです。 そしたら『登りなさい』 って言う声が聞こえたような気がして・・・結局登っちゃったんです」

「ええ! うそ! あ、嘘って疑ってないわよ。 えー! そんな事があったの?」 更紗さん、少し声が大きいですよ。

「後の筋肉痛が酷くって」

「あ・・・あははは! 琴音さん最高ね!」 もうちょっと静かにしていただけませんか?

「それこそさっき言ったインスピレーションよ。 それに確かあの時言ったわよね。 閃きって」

「・・・はい」 あの日の事を思い出しながら返事をした。

「山に登るようにってお陰様が琴音さんに仰ってたのよ。 それを琴音さんがちゃんとキャッチしたのよ。 だから琴音さんにとっての理由がないから訳が分からないのよ。 それにキチンと『登りなさい』 って声を聞いたじゃない?」

「聞いたって言っても 頭に聞こえたって言うか・・・響いたって言うか・・・」

「それがそうなのよ。 あの時も言ったでしょ? 会話でもないけどって、耳で聞いて口で答えるわけじゃないのよ」

「あ、そういう事ですか」

「きっとお陰様がチャクラの調整をしようとして下さったのかもしれないわよ。 山っていうのはとても良いのよ。 でもたった2回でねぇ・・・。 ずっとインドアなんでしょ?」

「はい」

「植物や土に触れたりっていう事はなかったんでしょ?」

「はい。 ずっと会社と家の往復だけで園芸もしてませんし、ついでに言うとペットも飼ってませんし、遊びに行く事も殆どなかったです。 たまに遊びに行ってもお店の中です」

「そうなの。 働き者ね」 更紗は温かい眼差しで琴音を見た。

「そんなんじゃないです。 趣味がないだけです」 そんな事を言われたことがない琴音は更紗の眼差しもあり照れながら言ったが更紗の頭はまたすぐに本題に戻った。

「うーん、でもそれだけじゃないと思うのね。 単に山に登るだけじゃなくて登ること自体にも何かあって・・・そして何よりもその山に理由があると思うの」

「登る事に何かがあったんですか? それに山に理由?」

「登った時の状況が私には分からないから何とも言えないんだけど、でもその山は何かご縁のある山だったかもしれないわね。 そこまでは私には分からないわ」

「ご縁・・・もしかしたら」

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